2012年5月24日 (木)

本229・・エマ

・・ジェーン・オースティン著

51s7p8ysd4l__sl500_aa300_南イングランドのハイベリー村の裕福な家の娘、エマ・ウッドハウスは美しく機知に富む女性。母が亡くなり姉が結婚(ナイトリーの弟)し家を出た後、父(隙間風と消化不良を恐れる気鬱症の老人)と2人で暮らす。

ウッドハウス家の家庭教師を16年務めたテーラーは、ウェストンに嫁ぐ。ウェストン氏にテーラーを紹介したのはエマで、自らが恋の仲介役と自覚。ある日、年下の友人ハリエット・スミスに、求婚して来た男性(ロバート・マーティン)を上流ではないと断らせ、牧師のエルトンと結び付けようとするが、エルトンが結婚を望むのが自分だと解り、自らの見込み違いに落ち込む。エマに断られたエルトンは、すぐさま虚栄心の強い俗物女性と結婚。

ウェストンの前妻の息子フランク・チャーチル、ベイツの姪であるジェーン・フェアファクスが登場。明るいチャーチルには好感を持つエマだが、自分を出さないジェーンとは馬が合わない。今度はハリエットとフランクを取り持とうとするが、フランクはジェーンと秘密婚約していた。エマがミス・ベイツを侮辱してナイトリー(ドンウェルの僧院に住み、エマに意見できる唯一の人物)に嗜められ、自らの浅はかさと判断力の無さを反省。その上、ハリエットがナイトリーに恋していると知り、自分のナイトリーへの恋心に気付く。気まずいエマは、ハリエットを遠ざける・・

ハリエットは当初エマによって拒絶したマーティンと結ばれ、慎重さを心したエマはナイトリーと結婚。

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2012年5月19日 (土)

機織り・・その43

100414_3333枚3セット、その1の②

変わり半月の茶系の暈し。ちょっと面白くなったかも。

・・というか、写真を撮って修正して、という作業が面倒になって、これは以前のもの。

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2012年5月 4日 (金)

本228・・ヘンリ・ライクロフトの私記

ヘンリ・ライクロフトの私記・・ジョージ・ギッシング著

18815547南イングランドの片田舎に隠栖して、独り古典と田園の世界に心豊かに生きるライクロフトの一年を綴る。主人公に仮託して描く、ギッシング(1857~1903)最晩年の作。

大抵の人に備わっているある平衡感覚が、初めから明らかに欠けていた。知的な頭脳はあったが、それは人生の日常の問題の処理には何の役にも立たなかった・・貧しくロンドンの屋根裏で記していた生活から一変、50歳を過ぎた頃、遠い親戚からの遺産でデヴォン州の外れに始めて自分の住処を見つけ、生活のために働くことなく暮らせる境遇になり、今、四季の移り変わりを楽しみながら、静かな余生を思索に耽りつつ平和な死を望む・・

懐疑があり、迷いがあり、抑圧された悲しみがあるが、それらを貫いて流れているもの。人間の愛情に飢え雑踏の中を放浪し、しかもなおその雑踏を敵視し孤立する。現実のなまの生活から自分を断ち切れず、しかも古典へ沈潜しないではいられない。無常観を克服しようとするストイックな精神が内部に存在し、内的相克と苦しみを赤裸々に露呈してみせる。貧乏に苦しみ、様々な挫折に苦しんできた自分の姿を・・牧歌的な情緒が、ライクロフトが体験した醜悪な都会を背景に理解され、反社会性も、矛盾し対立し、アンビヴァレンスを体験した人格が最後に自分に忠実になろうとして叫んでいる告白。

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2012年5月 1日 (火)

映画150・・羊たちの沈黙

羊たちの沈黙(1991・アメリカ)

Lambs_2原作・トマス・ハリス、監督・ジョナサン・デミ、出演・アンソニー・ホプキンス、ジョディ・フォスター・・

若い女性が殺され、生皮を剥がれるという連続猟奇殺人の「バッファロー・ビル事件」。FBI訓練生のクラリス(フォスター)、クロフォード主任捜査官からの任務。元天才的な精神科医で、自分の患者を食し州立精神病院に措置入院するレクター博士(ホプキンス)を訪ね、バッファロー・ビルの精神状態の解明に。

レクターは、最初の面会で彼女を気が強く野心家と分析し両親や生い立ちについて挑発。

クラリスは10歳で警察署長だった父を強盗に撃殺される。親戚の家、納屋で屠殺を待ち悲鳴を上げる小羊の一匹を抱いて逃げるが、保安官に捕まり施設へ。夢に現れるこの記憶は、クラリスを根本から揺さぶる暗部。無力だったクラリスは、立ち竦み沈黙する小羊。

分析を依頼されたレクターは、彼女の過去を語らせるのと引き換えに情報を・・曰く、犯人は自分が以前手掛けた患者を想わせる、犯人は2階建ての家を持つ、最初に殺害された女の身辺に手掛かりがと。

上院議員の娘が誘拐される。病院長のチルトン博士が、出世欲でレクターを牢内から出し、彼の陣頭指揮の下に捜査することに協力。レクターは最後の手掛かりを語り、隙を見て病院職員を襲い脱獄し姿を晦ます。

クラリスは、最初の被害者の関係を洗ううち犯人を特定。犯人の所在を確認したとのクロフォードの連絡で自分も現場に急行するが、不気味な一軒家にFBIの姿は無い。犯人の家に単独で入り奥へ進むと、地下室の古井戸の底に閉じ込められた娘を発見、すぐ救出すると約束し犯人を追う。暗闇の中、犯人は赤外線眼鏡を装着し自分を捜す彼女を監視。犯人が銃を装填する音をさせた瞬間、クラリスは犯人の位置を確認し射殺。

訓練生の卒業式。事件解決の栄誉の中にいるクラリス・・行方不明のレクターから「小羊の悲鳴は止んだかな」と問う電話。「これから古い友人と食事でね」との犯行予言(チルトンの運命は)と共に。

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2012年4月24日 (火)

本227・・回想のブライズヘッド

回想のブライズヘッド・・イーブリン・ウォー著

4003227735第二次大戦中、目下英国本土に駐屯する一連隊の寒々とした生活。語り手のチャールズ・ライダーは由緒ある邸宅を描く画家だが、今は軍務に服し中隊長。その日、連隊は移駐してブライズヘッドという大邸宅の敷地に駐屯。部下に訊かれたライダーは「ここには来たことがある」と・・

ブライズヘッドはマーチメイン侯爵の所領で、代々敬虔なカトリックだったが、今信仰を継いでいるのは侯爵夫人と長男ブライズヘッド伯爵、次女のコーデリア。侯爵は一次大戦で部隊を率いヨーロッパ戦線に出ると、戦後は愛人とヴェニス暮らしで故郷に寄り付かず、長女のジューリアは社交界の花で信仰とは無縁に見え、次男のセバスチアンは奔放な生き方を求め監督する人々の圧力に絶えず悩まされる。ライダーはオクスフォード時代にセバスチアンと出会い、ひと夏をブライズヘッドに過ごし邸宅とその一家との関わりが始まる。

「古昔ハ人ノミチミチタリシ此都イマハ凄シキ様ニテ座シ・・」という、エルサレムを嘆く挽歌が、物語全体の情感の底流として絶えず流れ、ブライズヘッド邸とその一族の人生の崩壊を暗示。その崩壊の過程が、かつて人間が達成した文化の水準や趣味の高さに華麗に描かれる。セバスチアンの運命は、意識にも浮かばない信念ゆえに、その滅びていく姿を浮き彫りにし滅びるものの美しさを印象に残す。

公爵夫人や伯爵より、真の信仰を求めて得られず苦しむセバスチアンやジューリアのほうが神に近いのか。アフリカに姿を消して以後消息を絶ったセバスチアンとの交渉も途絶え、大西洋の豪華客船上で、数年ぶりにジューリアに出会ったライダーは、国会議員の妻となっていた彼女と激しい恋に落ち、互いの配偶者と別れ結婚を決意・・ブライズヘッドでの二年の生活後、侯爵が戻り、臨終の床で無意識に十字を切ったかに見えた時、ジューリアは翻然と自分の非を悟り「神を相手に、神と対抗できるほどの幸せを選ぶ」ことは出来ない、「悪いことをすればするほど、神が必要なの」と、ライダーに婚約解消を告げる。対し、不可知論者だがそれを理解したライダーは「それだけのことを言うのに、ずいぶん時間がかかったね」と。

再び舞台は駐屯地。ブライズヘッド邸(今は、夫人部隊として外地にいるジューリアの所有)にいるライダーに戻り、その再開された礼拝堂を訪れ、戦火にも消えなかった青銅のランプの灯が悲劇を見守ってきたのだと理解する。

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2012年4月18日 (水)

本226・・カポーティ短編集

カポーティ短編集・・トルーマン・カポーティ著

51nj0r63mzl__sl500_aa300__3∇「無頭の鷹」・・ある日、若い娘がヴィンセントの画廊に一枚の絵を持ち込む。それは、胴の爪を持った頭の無い鷹の翼が、夜闇の降りた空のように背景を覆っているものだった。その後娘は現れず絵はヴィンセントのもとに。その後何度も娘を見掛けるが、ある時とうとう娘に話し掛け、その不思議な魅力に娘を連れ帰り、ヴィンセントの所で同居し始める。娘は精神病院から抜け出して来たらしい。彼女は、絵の指導もしていた精神科医と、他の男の誰をも混同。アパートの他の住人を鋏で襲い、家主から苦情が出て娘と別れる・・当然のようにヴィンセントも行く先々まで娘に付きまとわれ、出口の無い大都会の喧騒の中を逃げ回る日々・・

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2012年4月13日 (金)

絵画405・・ミシュリーヌ・ルカヤー

ミシュリーヌ・ルカヤー(1950~)

カナダ画家。略歴不明。

Photo

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2012年4月 5日 (木)

本225・・夢の女・恐怖のベッド

夢の女・恐怖のベッド・・ウィルキー・コリンズ著

51t1hf4t7vl__sl500_aa300_★「グレンウィズ館の女主人」・・画家である「私」がある地主に釣りに誘われ、その上流にある侘しい館の女主人の話を聞く。彼女は世間から離れ過去に生き・・11才の時妹が生まれるが、程なく死んだ母に託され、妹の母親代わり。妹が社交界にデビューすると、ある男爵が現れ世間知らずな父と妹は賞賛するが、姉と友人の地主は何故か好めない。父が急死し、妹が男爵と結婚するに当たり妹の希望で姉も同居。男爵の様子に変化が現れ、刑事の訪れで偽男爵の悪党と判明。妹を連れ出すが出産と同時に死亡し、その夫は捕まるが脱走して死亡・・白痴である妹の娘と暮らす日々。

★「黒い小屋」・・イングランド西部の荒地に、石工の父と「黒い小屋」で暮らす娘。ある日、父が仕事で泊り掛けで出掛ける。母が乳母をしていたため、乳姉妹であったニフトン夫妻が寄り、夫婦の倹約話のついでに娘に財布を預けて行く。夜、性質の悪い石工二人が、母の形見の銀のスプーンと財布を奪いに来る。気丈に厳重に戸締りし対抗するが、いよいよ家を壊されそうになり、スプーンと財布を懐に子猫を抱き逃げ出す。闇の嵐の中、数マイル離れた最寄のムアー農園に辿り着き、そこの息子に救けを求め失神。高熱から回復後、農園の息子と親しくなり身分違いと反対されるが、ささやかな物を託され必死に守った女を嫁にする、と息子が宣言し大団円。

★「家族の秘密」・・父は医師で、その結婚に於いて、相手が情の薄い不実な女だと反対される中、唯ひとり弟のジョージ叔父(頭の働きが鈍く醜男だが、父を崇拝し医師として父を助けている)だけ味方に。自分も姉ほど愛らしくなく、虚弱だったため叔父によく遊んでもらった。8才、母方の叔母の所で転地療養中に、姉が死に叔父がいなくなる。姉の葬儀後、家に戻る途中、闇の中で涙に濡れた人に無言で抱きしめられる。姉や叔父の状況を誰も話してくれず、時を経ても真相が解らず、その後父が、ついで母が死に叔母は中風に。その後、再び転地療養した時、ある教会の墓地で無名の墓を見かけ、司祭から真相を・・無名の墓は叔父のもの。姉の首におできが出来、次第に醜くなるが誰も手術に名乗りを上げず、父が留守中に、父も了承していると母から手術を強制され失敗。何も知らない父は激怒し訴えると言い、母は知らぬ顔でそれに同意。叔父は皆の前に再び現れないと誓い、去った後も苦悩の日々を送った、と。あの闇の中、幼い自分を涙で抱きしめたのは叔父で、さよならをしに来たのだと悟る・・

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2012年4月 1日 (日)

本224・・凍える森

凍える森・・アンドレア・M・シェンケル著

511fxj4fl__sl500_aa300_実際の未解決事件「1922年、ドイツ・南バイエルンの片田舎の大農家で、一晩のうちに6人(家長とその妻と娘、娘の子供二人と使用人)がつるはしで惨殺された。頭部を切り落として霊媒術を使ったり、多数の容疑者が調べられるも、排他的な村人達の反発もあり捜査は難航。犯行後数日間現場に留まっていた犯人。犯人を知りうる立場の教区担当神父の証言も無い・・」を基に描かれる。

家長は作男が農場目当てで直った者で、年上の妻は結婚と同時に夫を恐れ逆らえない。娘が12才の時、実の父親に襲われ、以来2人の子供を産むが、2人とも世間体で一時的に父親と名のつく男を立てる。2人目の子供の父親にあてがわれた隣の(妻に先立たれた)農場主が、冷たくなった娘への未練で発作的に凶行を起こす。それぞれ関わった人々の証言で成り立つ。

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2012年3月26日 (月)

本223・・ポー名作集

ポー名作集・・エドガー・アラン・ポー著

413xlhix3vl__sl500_aa300_★「黄金虫」・・サリバン島で黒人召使と住む友人ルグランの下を久しぶりに訪れると、新種の黄金虫を発見したという。絵を描いて見せるが髑髏の絵で・・一ヵ月後、召使の迎えで再び訪ねると、錯乱した風なルグランに頼まれ、召使と三人で本土に渡り、ある樹木の高みにあった髑髏の目から黄金虫を垂らすと、その地底に財宝が・・ルグランが描いた羊皮紙は黄金虫を発見した場所で拾ったもので、あぶり出すと宝の有り場所の暗号。

★「黒猫」・・幼い時から動物好きで、結婚してから黒猫を飼って可愛がっていたが、酒乱により次第に虐待し始め、ある日とうとう片目をくり抜き吊るし殺すが、その夜屋敷が火事で焼け落ち、残った壁に吊るした猫の姿が・・呵責で似た猫を貰って来ると、片目であったため嫌悪し出し、殺そうとして間に入った妻を殺してしまう。妻を地下室の壁に塗りこむが、警察を騙せた勝利感で壁を叩いたため崩れてしまう・・妻の屍骸と共に、生きた猫も塗り込めていた。

★「アッシャー家の崩壊」・・幼馴染みだったアッシャーからの、たっての招待で訪れたアッシャー家の佇まいは陰鬱で荒涼としていた。アッシャーは神経を病み、感覚だけが研ぎ澄まされていた。地所と屋敷が、代々のアッシャーの血を廃れさせ今も影響を及ぼしているかのよう・・双子の妹が同様の病で亡くなり、二人で地下室に埋葬。アッシャーの錯乱は悪化し、語り手にも恐怖が乗り移り、不気味な物音が聞こえ出す。アッシャーは妹を生きながら埋めてしまったことに気付くが、とうとう死装束の妹が扉を開け現れ、兄に圧し掛かりもろ共死ぬ。屋敷を飛び出して逃げると、後ろにアッシャー館が崩れ落ち沼に飲み込まれていく。

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