愛の妖精・・ジョルジュ・サンド著

原題は「小さなファデット」の意。 ファデーは悪戯好きの妖精の名。フランスの田園地方を舞台に、双子の兄弟と野性的な少女ファデットの成長と恋愛が、繊細な筆致でみずみずしく描かれる。
コッス村の農家の家に、美しい双子(一卵性双生児)の男の子が生まれる。父親は誰からか「双子はお互いの愛情が強すぎて、離ればなれになると生きていけない」と聞いていて、それがちょっと心配だったが、双子はすくすく成長し、次第に性格の違いも出てきた。弟ランドリーは陽気で快活で、兄のシルヴィネは優しいがちょっと内気だった。しかし仲は良く、いつも一緒だった。子沢山で生活が苦しくなったので、双子のどちらかを奉公に出そうということになり、ランドリーが志願する。シルヴィネには奉公は耐えられないだろうと思ったからだ。事実、離ればなれになることでシルヴィネは見るも哀れなくらい落胆していた。
村の子供たちに魔法使いと怖れられている老婆・ファデー婆さんには、二人の孫がいた。姉ファデットは小柄で痩せていて、色は黒くておしゃべりで、からかい好きで、子供たちに敬遠されていた。もちろん双子も苦手だった。
シルヴィネは、ランドリーが奉公先の娘や新しくできた友達と遊んでいると思うと、どうしようもない疎外感に襲われた。ある日、シルヴィネが行方不明になり、ランドリーは兄が命を絶とうとしているのではないかと、慌てて探しに行くが見つからない。絶望に目の前が真っ暗になりかけた時、ファデットが現れてシルヴィネの居場所を教えてくれ、シルヴィネは無事見つかった。ランドリーはそれまでファデットとろくに話したことがなかったが、事件以降、話す機会も増え、ファデットが物知りで踊りが上手なことを知り、ファデットの魅力に気付いた。ファデットもまたランドリーと付き合ううちに、お洒落に目覚め、それまでファデットは自分は醜いと思い周りもそう思っていたのだが、見違えるように綺麗になる。二人が付き合いだしたことを知ってシルヴィネが嫉妬し、父親も世間体を気にして反対する。ランドリーは懸命に理解してもらおうするが・・ランドリーの苦境を見かねたファデットは自分が村を出て行くと言い出し、自分への情がないと言うランドリーに本心を告げ必ず帰るからと去って行く。
家族を思い、寂しさを我慢して仕事に精を出すランドリー。一年後、ファデットのお祖母さんの危篤でファデットが戻り、葬儀後ランドリーが訪ねて来、想いを確かめ合い、ファデットはランドリーの頼みでシルヴィネの病気を治すと約束する。ファデットは、お祖母さんの残した多額の現金を持ってランドリーの父親の許を訪ね、どう扱ったら良いのか相談する。父親はファデットの身辺を改めて調査し、ランドリーの言うように身持ちも気立ても良く賢い娘だと知り、二人の縁談に乗り気となるが、ひとりシルヴィネがいい顔をせずいつものように高熱を出し病気になる。母親にも頼まれファデットがシルヴィネを見舞い、祈りで熱を下げてしまう。拗ねたままのシルヴィネだったが、甘やかされ気付かずにいた自分の振る舞いで自分も周りも不幸にしていたことをファデットに諭され、愛情深く接しられたことで反省し、自ら歓びのうちにランドリーを迎えに行く。ファデットへの想いの執着に気付いたシルヴィネは、軍に志願して旅立って行き、独り立ちする。
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