2009年12月21日 (月)

本110・・泥棒日記

泥棒日記・・ジャン・ジュネ著

51ffvx9gv5l__sl500_aa240_

一部は事実、一部は虚構の自叙伝。1930年代、ジュネはボロだけをまとい、飢え・蔑み・疲労、そして悪徳に耐え、ヨーロッパ各地を放浪した。いかがわしい酒場に、木賃宿。盗み、ブタ箱、そして追放。

言語の力によって現実世界の価値をことごとく転倒させ、幻想と夢魔のイメージで描き出される壮麗な倒錯の世界。裏切り、盗み、乞食、男色。父なし子として生れ、母にも捨てられ、泥棒をしながらヨーロッパ各地を放浪し、前半生のほとんどを牢獄におくったジュネ。終身禁固となるところをサルトルらの運動によって特赦を受けた怪物作家の、もっとも自伝的な色彩の濃い代表作。

この小説のテーマは、裏返された観念大系である。つまり、裏切りは究極の献身で、ケチな犯罪は恥を知らないヒロイズム、監禁は自由である。同性愛、盗み、裏切りという三位一体の悪徳で、ジュネは、聖者にとって代わるものを追い求める。そのために、キリスト教の用語と概念を換骨奪胎する。泥棒たちは宗教儀式のごとく悪を営む。犯罪を準備する彼自身は、まるで「聖なる」生活を得ようと夜を徹して祈り続ける修道僧のように描かれる。この小説は、道徳法を超越した自己発見の叙事的航海であり、悪徳の哲学的表現であり、退廃の美学作品となっている。

| | コメント (0)

2009年12月19日 (土)

絵画35・・藤城清治

藤城清治

1924年、東京生まれ。終戦後大学に戻り慶応大卒。1948年、花森安治に認められ「暮らしの手帖」に影絵を連載。数々の受賞と展覧会開催を経て、1992年、昇仙峡に影絵美術館を開設し、今に至る。

20051016164139ydkdqm

20070411133359nmxvem

Fs29_m

Fs37_l_2 

Fs43_l_2Fs57_l_2

Fs69_m

Fs182_m 

| | コメント (0)

2009年12月18日 (金)

映画149・・男と女Ⅱ

男と女(1986・フランス)

113873viewrsz90x

監督・クロード・ルルーシュ、出演・ジャン=ルイ・トランティニャン、アヌーク・エーメ・・

66年に日本公開された「男と女(1966)」の続篇。20年前に愛し合って(アンは、亡き夫の面影とジャン=ルイの狭間で心が揺らぎ結ばれない)いたカップルが再会して、再び恋に悩む姿を描く。

20年前、スプリクト・ガールだったアン(エーメ)は、今やフランスを代表する女性映画プロデューサーとなっていた。娘のフランソワーズ(ブイックス)も大人になり、女優として活躍、母とコンビを組んで助け合って暮らしていた。アンが新作のことで悩んでいる時、フランソワーズは劇場でジャン=ルイ(トランティニャン)を見かけたと、彼女に話す。20年前にモンテ・カルロ・ラリーを制覇したジャン=ルイは、今ではレーシング・チームの総監督も務める現役のレーサーだった。20年前の彼との愛の思い出が脳裡に甦ったアンは、二人の愛の日々を映画化することを決意し、ジャン=ルイに電話をする。そして二人は、思い出のカフェで20年ぶりに再会した。かつての二人の姿を映画化したいという申し出に反対するジャン=ルイだったが、アンの真剣な説得に彼は渋々ながら承諾する。そして映画の撮影開始。スケジュールどおりに撮影が快調に進むように、アンとジャン=ルイの仲も深くなりつつある。だが彼には若いフィアンセがいた。嫉妬するアンに送り出されるかのように、ジャン=ルイは撮影現場からパリ・ダカール・ラリーの会場へと向かった。ダカールの砂漠を走るジャン=ルイの車の中で、若いフィアンセは泣きじゃくり、彼を困らせた。帰りたいという彼女を4日掛かる空港まで送り届けるため、ジャン=ルイは危険を承知で、夜の砂漠を走り続けた。パリの撮影現場では、クライマックス・シーンが撮られようとしていた。そこへ愛の言葉が綴られたジャン=ルイからの手紙が、アンに届く。彼女は胸をはずませながら、ジャン=ルイが帰ってくるのを待ち続けた。そんなある日、ジャン=ルイが砂漠で遭難(フィアンセが嫉妬し、二人で死ぬため行動)したというニュースがテレビで報じられた。アンは、すぐにでも砂漠へ駆けつけていきたかったが、仕事を投げ出す訳にはいかなかった。数日後、ジャン=ルイの消息がつかめぬまま、捜索は打ち切られようとしていた。不安と焦燥の中で、アンは地元の警察に、あと一日だけでも捜索を延ばしてほしいと、必死に懇願するのだった。奇跡的に助け出されたジャン=ルイは無事にレースをのり切る。そのころ映画も完成したが、興行的には受けない(物語は未だ終わっていないと・・)だろうと見送ることにし、起きていた事件をミステリーにし大ヒットする。ジャン=ルイがアンのもとに。二人は寄り添い、アントワーヌのボートレースを見に行く。

| | コメント (0)

2009年12月16日 (水)

本109・・妻への恋文

妻への恋文・・アレクサンドル・ジャルダン著

51qpkpgqhsl__sl500_aa240_

愛称ゼーブル(縞馬、おかしな奴)というガスパールの仕事は公証人。高校の数学の教師カミーユと結婚して15年。13才の息子と7歳の娘の父親である。彼は最愛の妻と可愛い子供たちに囲まれて愉快な人生を送ってきた。しかし、妻と出会った頃のあの愛の刺激を求めていたゼーブルは、愛の倦怠に耐えられずにいた。そして、匿名でラヴレターを妻へ送り続けるのだが・・ゼーブルは、ラヴレターの他にも色んな策を弄するのだが、カミーユとの感情はほぼ擦れ違ったまま、やがて彼女は子供を連れて家を出てしまう。残され絶望したゼーブルは病気になり、妻が戻って看病することで、自分の死によって妻との関係を永遠のものとしようとする。ゼーブルは、夫婦の理解ある共通の友人である親友の手を借りて、死後も妻と子供たちに手紙を残し、カミーユは、遺された子供たちの中にゼーブルを見出す・・

著者ジャルダンは、21歳で「さようなら、少年(ギャルソン)」で幸運なスタートを切り、本作品も23才で著しており、映画化もされた。

| | コメント (0)

2009年12月14日 (月)

映画148・・父、帰る

父、帰る(2003・ロシア)

21dt3aabajl__sl500_aa192_監督・アンドレイ・ズビャギンツェフ 、出演・ウラジーミル・ガーリン、イワン・ドブロヌラヴォフ、コンスタンチン・ラヴロネンコ、ナタリヤ・ヴドヴィナ、ガリーナ・ポポーワ・・

母子家庭の二人の少年と、12年ぶりに突然帰ってきた父親との小旅行を描く家族劇。2003年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞等。

母(ヴドヴィナ)とささやかに暮らしている、アンドレイ(ガーリン)とイワン(ドブロヌラヴォフ)の二人の兄弟。ある夏の日、家を出ていた父(ラヴロネンコ)が12年ぶりに突然帰ってきた。写真でしか見覚えのない父の出現に、混乱する兄弟。しかも父は何も語らず、家長然とした態度でいろいろ仕切りはじめ、しばらく息子たちと旅に出ると言い出す。翌日の朝、父は何処に行くかも告げず、兄弟に釣り竿とテントを積み、車で遥か北部の湖に浮かぶ無人島を目指して出発した。目的地にまでは3日掛かるらしませ、息子たちに男としての強さを教育し初める。その余りに粗暴な教え方に、イワンは時折歯向かってみるが、その度に押さえ付けられるだけだった。アンドレイは次第に父を慕っていくが、イワンは憎しみが募るばかり。そんな中、無人島に到着。兄弟は一時間だけの約束でボートで湖に出るが、イワンが魚を捕ることに拘り、遅刻。父は激怒し暴力を振るう。我慢できなくなったイワンは逃げて塔の上に登るが、追いかけてきた父が転落死してしまう。兄弟は泣きながら父の遺体を運び、無人島を脱出するが、陸地についたとたんボートが流されてしまい、遺体は湖の底へと沈んでしまう。兄弟は父の車で、二人で出発するのだが・・何故?という数々の疑問については語られず仕舞いである。

| | コメント (0)

2009年12月12日 (土)

映画147・・ハイダウェイ

ハイダウェイ(1996・アメリカ)

B000000grz_01_mzzzzzzz

原作・ディーン・R・クーンツ 、監督・ブレット・レナード、出演・ジェフ・ゴールドブラム、アリシア・シルヴァーストーン、クリスティン・ラーティ、アルフレッド・モリーナ 、ジェレミー・シスト・・

ハッチ・ハリソン(ゴールドブラム)は一年前、事故で次女サマンサを亡くして以来、自責の念に苛まれ続けていた。そのためか近頃、遺された長女レジーナ(シルヴァーストーン)との仲がしっくりしない。ある週末、妻リンジー(ラーティ)を含め三人で山小屋に出掛けた帰途、自動車事故に巻き込まれる。辛くもレジーナとリンジーは脱出するが、崖から転落し激流に呑まれたハリソンは、意識不明の重体に。病院に担ぎ込まれ、ジョナス医師(モリーナ)による懸命の蘇生医療を受けるハリソン。めくるめく臨死体験、生死の境界上で、亡き娘に出会ったその時、蘇生が成功する。現実生活に戻ったハリソンだが、その頃から、奇妙なヴィジョンが彼の眼前に去来見知らぬ少女をむごたらしく刺殺する手。折しも続発する少女殺人。ジョナスに相談するが、彼は何かを隠している様子で、自分が経営するアンティークショップの店員に、霊能者のローズ(レイ・ドーン・チョン)を紹介。彼女はハリソンに、彼が臨死の際、殺人者の魂とが交錯して互いの視界が入れ替わってしまったのだと告げる。再びジョナスを訪れたハリソンは、驚愕の事実を知る。殺人者はジョナスの息子で悪魔崇拝者のヴァサゴ(シスト)で、自らを悪魔への生け贄と供したヴァサゴに、ジョナスは蘇生を施していたのだ。そして今、ヴァサゴの魔手がレジーナに迫っていた。ヴァサゴはローズとジョナスを惨殺し、レジーナを誘拐、悪魔への供物として捧げようとする。廃墟と化した遊園地で対決するハリソンとヴァサゴ。ヴァサゴを導く悪魔たち、もはやこれまでと思われた時、サマンサに率いられた天使たちが現れ、ここに天使と悪魔の一大決戦が始まった。ハリソンの透視能力は、悪魔に対すべく、サマンサを通して与えられたものだったのだ。きらめく光の中、戦いはハリソンたちと天使たちの勝利に終わった。微笑みを浮かべ昇天していくサマンサ。見送るハリソン一家に再び幸せな日々が訪れる。

クーンツの作品郡も面白い。

| | コメント (0)

2009年12月10日 (木)

本108・・フラニーとゾーイー

フラニーとゾーイー・・ジェローム・ディヴッド・サリンジャー著

419qxiyhsdl__sl500_aa240_

グラース家の末っ子である女子大生のフラニーと、そのすぐ上の兄で俳優のゾーイーを巡る、1955年11月のある土曜日の午前中から、翌週の月曜日にかけての物語である。一家の次男で小説家のバディが書き続けている「散文で書かれた一家の記録映画」であることが明かされた最初の作品。

「フラニー」・・晩秋の駅のプラットホームで、女子大生であり自慢のガールフレンドであるフラニーの到着を待つ大学生のレーン。二人は大学対校のフットボールの試合を観戦した後に、この週末を一緒に過ごす計画を立てている。二人はさっそく気の利いたレストランで昼食を取るが、自己顕示やスノッブ的な振舞いに何の疑問を持たないエリートのレーンに対し、青年らしい潔癖さと、自らの過剰な自意識に悩み、演劇をやめようとさえしているフラニーとの会話は次第に擦れ違いを見せ始める。やがて、フラニーは耐えきれずにテーブルを離れ、店のトイレに駆け込み、バッグの中から「巡礼の道」という本を取り出し・・二度目に意識を失う。

「ゾーイー」・・週末の出来事から二日後の月曜日の朝。週末を一緒に過ごすこともなくニューヨークの自宅に戻ったフラニーは、そのまま居間の寝椅子に寝込んでしまう。幼い頃からシーモアとバディという二人の兄から植え付けられた求道的な宗教哲学や東洋思想と、相反するエゴが幅を利かせる現実世界の板挟みに遭うフラニーは「巡礼の道」という本に出てくる宗教的な祈りによって救いを求めようとする。心配した母親のベシーは、5歳年上の兄であるゾーイーに助けを求める。自らも兄たちの影響を強く受けているゾーイーは全身全霊をかけて説得を試みるが、「言葉の曲芸飛行士」である彼の饒舌さは時に脱線を繰り返し、ますますフラニーを混乱させてしまう。終いには死んだ兄のシーモア会いたいと言い出すフラニーに対し、一旦話を切り上げたゾーイーは部屋を出ると、以前、二人の兄が使っていた書斎に足を踏み入れ・・数刻後、バディの電話で妹を呼び出し本質を伝えたことで、フラニーは知恵の全てを把握したように今ここにある危機を乗り越え、夢も見ない眠りに入る・・

異質な教育(兄弟全員が異常早熟の天才として描かれていて、フラニーとゾーイーは二人の兄から、「教育は知識の追求ではなく、禅のいう「無心」の追求から始めることが最良」という考えから幼い頃より宗教哲学や東洋思想を教え込まれている)を受けてきたとことが伺え、理想とする生き方と現実世界とのギャップに苦悩するフラニーの姿を浮き彫りにしている。思春期の青年なら誰もが直面する理想と現実社会との折り合いの付け方や、さらには、自らの自意識とどう向き合えばよいのかという普遍的なテーマを扱っている。

| | コメント (0)

2009年12月 8日 (火)

映画146・・理想の女

理想の女(2004・スペイン他)

D111619461

原作・オスカー・ワイルド(ウィンダミア卿夫人の扇)、監督・マイク・バーカー、出演・スカーレット・ヨハンソン、ヘレン・ハント、トム・ウィルキンソ、スティーブン・キャンベル=モア、マーク・アンバース・・

南イタリアの避暑地を舞台に、正反対の恋愛感を抱く女性二人が織り成す物語で、1930年のイタリア社交界に舞台を移し変えて映画化。対照的な2人の女性の運命を、巧みな心理描写でエレガントに綴る。

1930年、南イタリアのアマルフィ。この町は世界各国からやって来た上流階級の人々が、ひと夏のバカンスを過ごす高級リゾートとして知られている。そこに、ひと組の初々しいカップルが到着した。ニューヨーク社交界の華として知られるメグ・ウィンダミア(ヨハンソン)と、彼女の夫ロバート(アンバース)だ。地元の社交界の中心人物であるルッチーノ伯爵夫人の案内で、町の見物に連れ出されるメグ。若くみずみずしい魅力をふりまく彼女は、たちまちプレイボーイの英国貴族ダーリントン卿(キャンベル=モア)の目をひくが、彼の口説きのテクニックも、夫を一途に愛するメグには通用しなかった。一方メグの21歳の誕生日に特別なプレゼントを贈ろうと骨董店を訪れたロバートは、そこで魅惑的なアメリカ人女性のアーリン夫人(ハント)と出会う。ウィンダミア夫妻と同じニューヨークからやって来た彼女は、華やかな恋愛遍歴を重ねるなかで、数々のスキャンダルをたくましく生き抜いてきた女だ。そんなアーリンのアドバイスに従って、純金をあしらった豪華な扇をメグへのプレゼントに選ぶロバート。以来、急速に接近したふたりの仲は、瞬く間に社交界の噂の的になる。その噂を裏付ける証拠をダーリントン卿が見つけたのは、ウィンダミア夫妻の別荘をたずねた時に何気なく盗み見たロバートの小切手で、ロバートがアーリンに多額の金を渡していることを物語っていた。出会いの日以来、メグに叶わぬ思いを寄せていたダーリントン卿は、「もしもロバートが浮気をしたら?」とさり気なくメグに探りを入れる。ロバートの誠実さを信じて疑わないメグは、自分たちは模範的な夫婦だと答えた。社交界にはもうひとり、噂を信じようとしない人物がいた。アーリンの中に、外見の華やかさとは異なる良き妻になる素質を見出し、思いをつのらせるイギリス人の大富豪タピィ(ウィルキンソン)だ。アマルフィの劇場でオペラが上演された夜、アーリンのエスコートを買って出た彼は、帰り道に立ち寄った彼女の別荘で、思い切ってプロポーズの言葉を口にする。しかしアーリンは、「私にとって、結婚は日の射さない部屋と同じなの」と言い、タピィの申し出を断る。誕生日を迎えたメグは、ロバートから例の扇をプレゼントされる。大喜びするメグだが、ロバートが外出したあと、誕生日プレゼントを携えて訪ねてきたダーリントン卿に仕向けられるまま小切手帳を開いたメグは、夫がアーリンにたびたび金を渡していることを知ってしまう。激しいショックにかられ、部屋に閉じこもってしまうメグ。そんな彼女が誕生日パーティの会場に姿を現したとき、集まった人々は息を呑んだ。なんとメグは、アーリンが着ていたのと同じ肌を大胆に露出したドレスを纏って現れたのだ。ロバートに対するメグの様子から、夫妻の間に亀裂が生じたことを察するダーリントン卿。彼から駆け落ちの話をもちかけられたメグは、自分自身の傷ついた気持ちをロバート宛ての書置きに記すと、ダーリントン卿のボートに向かう。だがメグには知る由もなかった。アーリンとロバートのスキャンダルの陰に、自身の出生の秘密(アーリンがメグを置いて家を出た母親)が絡んでいたことを。メグはアーリンに諭され、置き忘れた扇の不審もアーリンの機転で逃れられ、それによってアーリンの婚約は無かったことになるが、メグは再び夫と仲直りする。アーリンとメグの心は寄り添い、何も告げずに旅立とうとしたアーリンの許に、メグから託された扇を持ったタピィが待っていた。

原作は戯曲であるが、長丁場なだけ映画の方が解りやすいかも。

| | コメント (0)

2009年12月 6日 (日)

本107・・愛の妖精

愛の妖精・・ジョルジュ・サンド著

514b86m1d0l__sl500_aa240_

原題は「小さなファデット」の意。 ファデーは悪戯好きの妖精の名。フランスの田園地方を舞台に、双子の兄弟と野性的な少女ファデットの成長と恋愛が、繊細な筆致でみずみずしく描かれる。

コッス村の農家の家に、美しい双子(一卵性双生児)の男の子が生まれる。父親は誰からか「双子はお互いの愛情が強すぎて、離ればなれになると生きていけない」と聞いていて、それがちょっと心配だったが、双子はすくすく成長し、次第に性格の違いも出てきた。弟ランドリーは陽気で快活で、兄のシルヴィネは優しいがちょっと内気だった。しかし仲は良く、いつも一緒だった。子沢山で生活が苦しくなったので、双子のどちらかを奉公に出そうということになり、ランドリーが志願する。シルヴィネには奉公は耐えられないだろうと思ったからだ。事実、離ればなれになることでシルヴィネは見るも哀れなくらい落胆していた。

村の子供たちに魔法使いと怖れられている老婆・ファデー婆さんには、二人の孫がいた。姉ファデットは小柄で痩せていて、色は黒くておしゃべりで、からかい好きで、子供たちに敬遠されていた。もちろん双子も苦手だった。

シルヴィネは、ランドリーが奉公先の娘や新しくできた友達と遊んでいると思うと、どうしようもない疎外感に襲われた。ある日、シルヴィネが行方不明になり、ランドリーは兄が命を絶とうとしているのではないかと、慌てて探しに行くが見つからない。絶望に目の前が真っ暗になりかけた時、ファデットが現れてシルヴィネの居場所を教えてくれ、シルヴィネは無事見つかった。ランドリーはそれまでファデットとろくに話したことがなかったが、事件以降、話す機会も増え、ファデットが物知りで踊りが上手なことを知り、ファデットの魅力に気付いた。ファデットもまたランドリーと付き合ううちに、お洒落に目覚め、それまでファデットは自分は醜いと思い周りもそう思っていたのだが、見違えるように綺麗になる。二人が付き合いだしたことを知ってシルヴィネが嫉妬し、父親も世間体を気にして反対する。ランドリーは懸命に理解してもらおうするが・・ランドリーの苦境を見かねたファデットは自分が村を出て行くと言い出し、自分への情がないと言うランドリーに本心を告げ必ず帰るからと去って行く。

家族を思い、寂しさを我慢して仕事に精を出すランドリー。一年後、ファデットのお祖母さんの危篤でファデットが戻り、葬儀後ランドリーが訪ねて来、想いを確かめ合い、ファデットはランドリーの頼みでシルヴィネの病気を治すと約束する。ファデットは、お祖母さんの残した多額の現金を持ってランドリーの父親の許を訪ね、どう扱ったら良いのか相談する。父親はファデットの身辺を改めて調査し、ランドリーの言うように身持ちも気立ても良く賢い娘だと知り、二人の縁談に乗り気となるが、ひとりシルヴィネがいい顔をせずいつものように高熱を出し病気になる。母親にも頼まれファデットがシルヴィネを見舞い、祈りで熱を下げてしまう。拗ねたままのシルヴィネだったが、甘やかされ気付かずにいた自分の振る舞いで自分も周りも不幸にしていたことをファデットに諭され、愛情深く接しられたことで反省し、自ら歓びのうちにランドリーを迎えに行く。ファデットへの想いの執着に気付いたシルヴィネは、軍に志願して旅立って行き、独り立ちする。

| | コメント (0)

2009年12月 5日 (土)

映画145・・フォーエバー・フレンズ

フォーエバー・フレンズ(1988・アメリカ)

53d8f37a34422ce6f8d57ca5f8bda69a

原作・アイリス・レイナー・ダート、監督・ゲイリー・マーシャル、出演・ベット・ミドラー、バーバラ・ハーシー、ジョン・ハード・・

57年のアトランティック・シティの海岸で出会った11歳の2人の少女の、その後30年に及ぶ愛と友情、そして別れを描く。

父親と躾の厳しい叔母に連れられ、サンフランシスコからやって来たヒラリー・ホイットニーは、海岸で迷子になってしまったところを、マネージャー兼母親のレオナ(レイニー・カザン)とともにニューヨークからやってきた歌手志望のCC・ブルームに助けられ、同じ11歳ということもありすっかり仲良しになる。CCのオーディションに追いて行ったヒラリーは、そこで彼女の歌に大感激し、離れ離れになっても必ず手紙を書く一番の友だちになることを誓いあう。それから10年、CC(ミドラー)は売れないクラブ歌手、一方のヒラリー(ハーシー)は大学を卒業し弁護士になっていた。箱人り娘で何不自由なく育ったヒラリーは、ある日ついに自分の意志で行動できない不満を爆発させ、ニューヨークのCCのアパートに家出同然で転がり込み、2人の共同生活は始まった。CCは舞台演出家のジョン(ハード)と出会ったことで、やがて端役を経て彼の劇団で主役を演じ、脚光を浴びることになる。ところが彼女が好意を抱いていたジョンとヒラリーが一夜を共にしたことから2人の仲は気まずくなり、ヒラリーの父が病気になったこともあり、彼女は実家に戻ってしまう。それでも2人の文通は続いた。父の死後、ヒラリーは弁護士のマイケルと結婚し、CCもジョンと結ばれた。夫の強い要望で専業主婦として家庭に入ったヒラリーには、ブロードウェイ進出までに成功したCCが妬ましく、ついに2人は喧嘩別れし、文通も途絶えがちになりヒラリーからは返事も来ない。友情の崩懐はCCの精神の均衡を失ってゆき、次第に落ち目になり、目指すものの違うジョンとも離婚する。一方のヒラリーも、マイケルの浮気の現場を目撃し、離婚を決意した時、彼女は妊娠していた。ある日実家近くのクラブにCCが来ることを知ったヒラリーは、早速そのクラブに足を運んだ。最初はわだかまる2人だったが、お互いの心情をぶちまけた後は、昔と変わらぬ友情を取り戻していた。CCとともにおなかの赤ちゃんを育んでゆくヒラリー。やがてCCとヒラリーの担当医ミルスタイン医師のロマンスが生まれたある日、CCは舞台復帰のチャンスをジョンから与えられ、見事にカムバックに成功する。一方のヒラリーも無事に女児を出産した。しかしその頃から、ヒラリーの体調は異常をきたし(ウィルス性心筋症)、CCのハリウッド・ボウルでのコンサートのある日、ヒラリーが倒れたという知らせが届く。ひと夏を海辺で三人で過ごし、やがて時を経ずして、ヒラリーはCCに看取られ息を引き取る。彼女にヴィクトリア(グレイス・ジョンストン)という一人娘を託して…。

| | コメント (0)

«本106・・シェリの最後