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2008年12月15日 (月)

本20・・地下室の手記

地下室の手記・・フョードル・M・ドストエフスキー著

201009ジッド云わく「ドストエフスキーの全作品を解く鍵」。

20世紀初頭(これが書かれた頃)、ドストエフスキーに訪れた突然の転機。人道主義から実存主義へ。その思想弾圧により、転向を余儀なくされた知識人に深刻な影響を与える。チェルヌイシェフスキーの「何をなすべきか?」・・女性解放、革命家のモラル、ユートピア的な未来社会を描き、各人が自分の合理的な欲望を追求することによって調和と幸福が得られる、への反論として書かれたと云われる。

主人公は、この西欧合理主義・空想的社会主義を仇敵として愚弄する。ドストエフスキーの言う「ロシア人の大多数である人間を描き、その醜悪で悲劇的な面を暴露した」を、醜悪さを自覚した地下室の逆説家が、その哲学の重みを体現。現実の苦痛の叫びが、逆説のテーゼで快楽に変わり得ると。自身の本性に反した理想(他人への愛と犠牲)を追求するも不可だと苦悩し、この状態を「罪」と名付ける。苦悩と犠牲との釣り合いが、地上的な均衡を生み出すのだと。絶望の中でもなお「生」を営み、「生」を享楽しようとする人間の業とは。主人公云わく・・病んだ人間であり、意地悪く人好きもせず、中等の役人で生活の糧を得るためだけに働いたが、遠戚が残してくれた遺産で仕事を辞め、地下室に篭城。自意識のみ強く、精神的な腐敗・あるべき環境の欠如・生きた生活との絶縁。地下室で養われた虚栄に満ちた敵意、いかに人生を無駄に葬ったか・・

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