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2009年2月27日 (金)

本31・・ドリアン・グレイの肖像

ドリアン・グレイの肖像・・オスカー・ワイルド著

41r056mam6l__sl500_ワイルドはデカダン派の唯美主義者か、グレイは世紀末の小型ファウストか。

画家のバジル・ホールウォードは、ドリアン・グレイの輝く美貌に惚れ込み彼の肖像画を描く。ドリアンはバジルの紹介でヘンリー・ウォットン卿と知り合い、その多大な影響力で背徳や退廃に染まっていく。肖像画が出来上がり対面したドリアンは、自分の若さはこのままで絵の方が老い込んでいくのならどんな代償も厭わない、魂だってくれてやると。ドリアンは小さな劇場で可憐な女優シビル・ヴェインを知り婚約を交わすが、彼女が彼との現実の恋に因り舞台上の演技に生気を失ったため関係の終りを告げる。彼女は絶望し自殺するが、ドリアンには改悛の情も無い。以来、ドリアンの悪徳の度に絵に変化が現れ始める。彼は誰の目にも触れさせないため寝室の奥の屋根裏部屋に絵を隠すが、その絵はドリアンに影のように纏い付き(ドリアンの良心とも云える)逃れることが出来ない。ある日、絵を観たがって訪れたバジルを逆恨みし殺し、弱みを握るアラン・キャムベルに始末をさせ、アランはその後自殺。誰にも咎められることなく、しかし現在の自分を恨めしく思うあまり、絵と対峙して絵の中の自分にナイフを(良心と刺し違える)突き刺す。元通り美しいドリアンの肖像画の前で、醜く変貌したドリアンが胸にナイフを刺したまま事切れる。

生身のドリアンとその肖像は、現実と芸術、実生活と虚構の世界を表し、現実が芸術を支配するのではなく、作られた第二の自我が生身の人間を引きずり破滅に導びく。

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