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2009年3月

2009年3月30日 (月)

映画53・・ボーイ・ミーツ・ガール

ボーイ・ミーツ・ガール(1983・フランス)

51b1wl3xpfl監督・レオス・カラックス、出演・ドニ・ラヴァン、ミレーユ・ペリエ・・

タイトルは、月並みな話という物語の類型の一つの言い方。

アレックス三部作の初長編で、ゴダールの再来と云われ「ポンヌフの恋人」へと続く。

恋人フロランスに振られたアレックス(ラヴァン)、いつも悲しげなモノローグをパリの街に浮かべるような孤独な男。彼女が残した傷から、自殺しようとしたメモを、部屋の壁のパリの地図に貼り付ける。遠い世界で暮らすミレーユ(ペリエ)も、恋人ベルナールと喧嘩別れ。別々の夢かのような二つの世界は、徐々に距離を縮め・・親友に恋人を奪われ殺そうとして思い留まるが、同じような境遇のミレーユを知り、彼女が向かうパーティ会場へ潜り込む。すぐに恋に落ちるが、彼女は別れた恋人との悶着を引き摺って・・ミレーユのアパートに行くと、部屋から水が、床に蹲ったミレーユの背中を抱きかかえると、ミレーユの胸に赤いシミが広がる。彼女はその手に鋏を持っていた・・

青春時代の孤独感、焦燥感、自意識過剰、自己中心。夢想と現実の間に取り残される感覚、互いに自閉症的な男女の刹那的な生き方を、スタイリッシュな映像(夜間のみの撮影でモノクロ)で描く。

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2009年3月25日 (水)

映画52・・ホワイトナイツ

ホワイトナイツ(1985・アメリカ)

3abd3aba_1269698519763監督・テイラー・ハックフォード、出演・ミハイル・バリシニコフ、グレゴリー・ハインズ、・・

主題歌はライオネル・リッチー「セイ・ユーセイ・ミー」でアカデミー賞。

ロシアからアメリカに亡命した天才バレエダンサー、ニコライ・ロドチェンコ(バリシニコフ)は世界的なスターになるが、東京公演に行く途中、故障で飛行機がソ連の空軍基地に緊急着陸。ニコライは重症を負い、犯罪者としてKGBの監視下に。その監視役にタップダンサーのレイモンド(ハインズ)と妻ダーリャが当たる。レイモンドはベトナム戦争で悲惨な経験をし、アメリカへの失望で脱走しソ連に亡命。KGBは、ニコライを再びキーロフ・バレエに演させようと、レイモンド夫妻とレニングラードに住まわせる。そこはかつてニコライが住んでいた豪華マンション。ニコライとレイモンドは、衝突しながらも次第に友情を感じ始める。ニコライにはキーロフへ復帰する気は無く、かつての恋人で今はキーロフの芸術監督をするガリーナに再会しても変わらない。やがて、ガリーナの好意でアメリカ大使館への通報が成功、レイモンドが囮となりニコライとダーリャは大使館に駆け込む・・数日後、レイモンドは連れ出され、国境にはニコライとダーリャが。捕虜交換が成立し、レイモンドを取り戻す。

バリシニコフは当時37歳で、彼自身もアメリカに亡命し、アメリカン・バレエシアターの芸術監督を務めた。ハインズはタップダンス界のスーパー・スターで、俳優、歌手、監督も。二人のダンスシーンは絶品。

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2009年3月22日 (日)

本34・・王妃マルゴ

王妃マルゴ・・アレクサンドル・デュマ著

978430946133519世紀フランスのロマン派。「椿姫」は息子デュマ・フィス作。

16世紀フランス、サン・バルテルミ(聖バルテルミー)の虐殺と、実在の王妃マルグリット・ヴァロワ(マルゴ)の悲恋を絡めた歴史大作。史実に基づいた事件を展開させ、時代の一大壁画を壮大に描く。カトリックとプロテスタント、新旧の宗教の対立。シャルル九世の時代、母后カトリーヌ・ド・メディシスが暗躍、弟アンジュー公とアランソン公も王位を狙い、妹のマルゴはプロテスタントの旗頭ナヴァール王アンリと政略結婚させられる。マルゴとラ・モル、ココナスとアンリエット、母后カトリーヌ、シャルル九世、アンリ・ド・ナヴァール、ギーズ公等の実在人物と実際の出来事をそのまま配し、ヴァロワ王朝の実体とその時代の雰囲気と特徴が描かれる。ルネサンス期の地理や風景描写も正確だが、宗教戦争に明け暮れたフランスとヴァロワ王家の内幕を描くための毒薬と悪魔適人物が印象的で、駆使される毒薬は飲み物や手袋の中、本の中や香料、唇に付ける軟膏等と暇が無い。史実の捉え方の正確さ、時代に対する史観の鋭さ、ヒロイン・マルゴの波瀾に富んだ圧倒的な存在感(時代的にアンリにもマルゴにも愛人がいるものの、夫婦としては団結し協力し合う)。

その後のマルゴ(史実)・・シャルル九世の死後、アンリはガスコーニュ地方へ逃れ、アンジュー公がアンリ三世となり、マルゴは王廷関係から白眼視され、後にアンリのもとへ行くことを許されるが、お互いに新しい愛人が出来パリに召還される。アンリ三世からの圧迫は続き、その後再度夫のもとに帰るが、ナヴァール王のプロテスタント軍とアンリ三世・ギーズ公のカトリック軍の闘いに巻き込まれ、カトリック軍に捕らえられたマルゴはオーヴェルニュ地方の孤城に18年間幽閉される(35歳から53歳まで)。その間に元夫アンリは四世となり、王妃はマリ・ド・メディシス。ルーブル宮の対岸に邸を与えられたマルゴは、夜毎懐かしいルーブル宮の灯火を見詰めていたそうな。

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2009年3月19日 (木)

映画51・・シエスタ

シエスタ(1987・アメリカ)

Kf36_l_2監督・メアリー・ランバート、出演・エレン・バーキン、ガブリエル・バーン、チャーリー・シーン。

メイン・テーマ曲はマイルス・ディビス。

彼女が見たものは束の間のシエスタ、まどろみの中の出来事か。

耳をつんざく轟音で目覚めるクレア(バーキン)。何故か青空が目の前に広がり、飛び立つ飛行機の底が見える。真っ赤なドレスの裾を乱して、飛行場の滑走路近くの空き地で気絶していたらしい。自分が誰なのか、どうしてここに居たのか思い出せない。立ち上がってふらふらと歩き出すが、ドレスが血に塗れている。誰かを殺してしまったのだろうか・・少しずつ蘇える記憶。アメリカで夫(シーン)と暮らし、夫のプロデュースでパラシュートの無いスカイダイビング・ショーをするはずだった。その直前、手紙を読んで、スペインにいるオーグスティン(バーン)に逢いに来た・・

1人の女が記憶を辿って浮遊する、エキゾチックなスペイン。オーグスティンには妻マリーがいるが、クレアの死のスカイダイビングを止めさせようと。彷徨う彼女は、やがて衝撃の事実に・・彼と抱きあい、恍惚の時を過ごす。ナイフ片手に襲いかかってくるマリー。ナイフで殺されたのは、クレアだった・・

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2009年3月16日 (月)

映画50・・去年マリエンバートで

去年マリエンバートで(1960・フランス)

B0068787_0131796原作・ロブ・グリエ、監督・アラン・レネ、出演・デルフィーヌ・セイリグ、ジョルジュ・アルベルタッツィ、サッシャ・ピトエフ・・

黒澤明の「羅生門」に触発され、芥川龍之介の「藪の中」がモチーフ。

現在、Xの回想、Aの回想、実際の過去、の4つの視点から成り立つ。シュールでストーリーも無い、幻と現実の中の人間の意識をモノクロで描く。

1人の男X(アルベルタッツィ)が、バロック風の古い城に迷い込む。優雅なパーティーが繰り広げられ、バルコニーで1人の女A(セイリグ)を見つける。去年マリエンバートで逢ったと伝えるが、彼女は記憶にないと。男の話を聞いているうちに、朧気ながら記憶があるように思い出す。男が言う「去年愛し合い、一年後に再会する約束だった。迎えに来ました、一緒に行きましょう」と。Aの夫M(ピトエフ)は、去年マリエンバートで何があったのか知っている(遠くから彼女を監視しているような、もう一人の男、多分彼女の夫である男によって表現される世界)のだが・・女は男の言うまま、共に男の誘う世界へ旅立って行く。愛か、詩か、自由か、それとも死。狂うほどの醒めた白日夢の世界・・

マリエンバートは、プラハの西方にある保養地。

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2009年3月13日 (金)

機織り・・その25

08120733_0095枚で3セット(+無地1本)その3の③

ベージュ地。色紙枠に模様と地紋。

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2009年3月10日 (火)

本33・・永遠の夫

永遠の夫・・フョードル・M・ドストエフスキー著

Photo_2永遠の夫というより、万年寝取られ亭主の話。妻ナターリャに次々と浮気されるが、その妻にしがみつくしか能が無く、彼女の死までその事実に気付かない亭主トルソーツキー。一方、ペテルブルグで訴訟の明け暮れで神経をすり減らすヴェリチャーニノフ。

ヴェリチャーニノフに、帽子に喪章をつけた男が影のように付き纏い、ある日とうとう彼を訪ねて来る。その男が9年前まで親交のあったトルソーツキーであり、かつてその妻と関係があったことを思い出し、その夫から彼女の死を告げられる。請われて、トルソーツキーのもとを訪ねると、娘だという少女リーザに対する虐待まがいの行動に、もしや自分の娘ではと思い里親に預けるよう進言し実行するも、リーザが死亡。その間もトルソーツキーは飲酒と女遊びに現を抜かし、知り合いの15歳の娘と結婚すると言い出し、その尊大さと卑屈さで皆から嫌われる。

妻の死後、手紙によりその不貞を知った男が、屈辱感と復讐心に揺れ動き不可解な行動に。彼とヴェリチャーニノフは、お互いに核心を突くことなく腹の探り合いをし、牽制し合いながら関わり合う不可思議な心理を描く。

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2009年3月 9日 (月)

映画49・・11:14

11:14(2003・アメリカ)

51hzlusnkml_2監督・グレッグ・マルクス、出演・ヒラリー・スワンク、パトリック・スウェイジ、レイチェル・リー・クック、ヘンリー・トーマス、クラーク・グレッグ・・

夜11時14分を起点に錯綜する5つの事件が織り成す、タイム・ミステリーのオムニバス。

∇ジャック(トーマス)は、深夜に恋人に会うため酒を飲みながら運転中、突然車に衝撃を受け、顔の潰れた男をトランクに隠している所に警官が・・

∇ティミーは友人二人とふざけながらドライブ中、エディが窓から小便をし余所見をした途端、道路上の人間を撥ね、そこに現れた男が逃げる車に発砲。

∇フランク(スウェイジ)が犬の散歩中、墓地で男の死体を発見。近くに娘のチェリー(クック)のネーム・プレート、事件を隠蔽しようと男をトランクに入れ陸橋へ。

∇バジー(スワンク)が雑貨店で働いていると、友人のダフィから、恋人チェリーの中絶費用のため嘘の強盗事件を持ちかけられ、ダフィが持ってきた拳銃を弄ぶうちに誤って発砲しガラスケースを割り、共犯を受け入れ自分の腕を撃たせる。

∇チェリーが墓地で浮気相手とセックス、墓石の銅像の首が彼の頭を直撃し即死。ダフィに罪を被せるため店に行き隠蔽工作、墓地に戻ると死体が無く、車のエンストで恋人ジャックに迎えの電話。

∇パトカーの警官(グレッグ)は、腕に怪我をしたバジーを助け病院へ向かう途中、チェリーの交通事故に遭遇、傍にいた男が通報の男とそっくりなので逮捕し、バジーが共犯を告白。二人を乗せた後、鹿が撥ねられたの通報の現場でジャックに・・

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2009年3月 7日 (土)

映画48・・リバー・ランズ・スルー・イット

リバー・ランズ・スルー・イット(1992・アメリカ)

6000485原作・ノーマン・マクリーン「マクリーンの川」、監督・ロバート・レッドフォード、出演・ブラッド・ピット、グレイグ・シェイファー、トム・スケリット・・

1910~20年。モンタナ州、ミズーラの雄大な自然と、ブラックフット川のフライフィッシングを描く、著者の自伝。

スコットランド出身の厳格な牧師の父(スケリット)、真面目で秀才の兄ノーマン(シェイファー)、陽気で才能はあるが生きる道を見出せない弟ポール(ピット)。兄はシカゴで大学の講師、弟は地元で新聞記者。兄弟は対照的な性格だが、事あるごとに共に父から教わったフライフィッシングをする。ポールは破天荒でギャンブルに嵌ったり、人種差別の時代にジプシーの女性と付き合うが、フライフィッシングを極め非凡な才能を示す。その後ポールは、ギャンブルの縺れで、右手を潰され、拳銃の台尻で殴り殺される。父が詳細を訊ねるも、ノーマンは明かさない。時が移り、ノーマンは教職をリタイアし地元に戻り、フライフィッシングを続ける。父の晩年の説教「そのものの全てを知らなくとも、その全てを愛することは出来る」を思い。

人生は様々だが、時の流れの中で、川は変わらぬ姿で流れ続ける。陽射しに反射する川の輝き、緩やかに流れる川が突如として見せる激しい力強さ。分け隔てなくありのままでいられる場所、果てることのない川、澄んだ川の流れと瑞々しい森の緑。

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2009年3月 6日 (金)

本32・・貧しき人びと

貧しき人びと・・フョードル・M ・ドストエフスキー著

Mazushiki処女作であり「カラマーゾフの兄弟」へと続く、深刻で複雑な思想を異常に醗酵させていく。1844年、「ネワ河の幻影」と名付けた心的体験から著わしたとされる。

暗い貸間、正直で心の清らかな初老の九等官と、辱しめられた不幸な乙女。その主人公達の心理的ドラマの生活環境を、正確なリズムで再現。社会的矛盾と、ペテルブルグの民衆の貧困が背景にある。世間から侮蔑の目で見られている小心で善良な小役人のマカール・ジェーブシキンと薄幸なワーレンカの生活が、心情的に描かれる。往復書簡で成り立ち、社会的に疎外された人々への人間回復のアピールとも取れる。社会の吹き溜まりに住む人々の孤独と屈辱を訴え、人間的自負と社会的卑屈さの心理的葛藤が現れている。

薄幸で不幸な彼女を金銭的に援助し続けるも、彼もまた不如意極まりなく、彼女が他の地主の元へ嫁ごうとするところで物語は終わる。

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2009年3月 5日 (木)

映画47・・情婦マノン

情婦マノン(1948・フランス)

Manon1原作・アベ・プレヴォー「マノン・レスコー」、監督・アンリ=ジョルジュ・クルーゾー、出演・セシル・オーブリー、ミシェル・オークレール・・

44年、レジスタンス運動に参加していたロベール(オークレール)は、ドイツ兵との売春で村人にリンチされていたマノン(オーブリー)を救い、彼女の虜になる。ロベールは運動から脱落、彼女を連れて解放に湧き立つパリへ。マノンはロベールを愛していないわけではないが、真面目な結婚生活を説くロベールに耳を貸さず、娼婦家業も厭わない。マノンの兄レオンは闇屋で羽振りがよく、マノンの歓心を買うためロベールも闇屋に。贅沢な暮らしに憧れるマノンを唆し、アメリカの金満家と結婚させようとするレオンを殺してしまい、逃げるロベールをマノンが追う。イスラエルに向かう貨物船で、密航者である2人に同情した船長は他のユダヤ人等とパレスチナの海岸に上陸させる。砂漠を旅する一行はアラビア人部隊に襲撃され、銃撃を受けマノンは死ぬ。

マノンは「ここで死ぬために私は来たのよ、あなたの傍で死ぬために。もう私達の恋を邪魔するものは何もないわ」と。彼女の死体を逆さに担ぎ砂漠を歩くロベール。顔だけ残して砂に埋め、キスをして口説き、顔を寄せて絶命。「僕は幸せなんだよ、君が死んで。君はもう僕のものだから。愛しているよマノン」。

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2009年3月 3日 (火)

絵画10・・鶴田一郎

鶴田一郎(1954~)

熊本県出身。1976年に多摩美卒、84年アメリカでアート・ポスターに。87年からノエビア化粧品の広告。2001年パリで個展。

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