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2009年4月25日 (土)

本36・・罪と罰

罪と罰・・フョードル・M・ドストエフスキー著

201021頭脳明晰だが貧しい元大学生のラスコーリニコフ。理論に因り金貸しの強欲狡猾な老婆を殺すが、来合わせたその妹まで殺害してしまい、罪の意識が増長し心身共に病んで行く。

その理論とは、人類は凡人と非凡人に分かれ、大多数は凡人で現行秩序に従う義務があるが、選ばれた少数の非凡人は人類の進歩のために新しい秩序を作る人で、現行秩序を踏み越える権利を持つというもの。この理論で、終局的に人類の福祉に貢献するなら虱のような金貸しの老婆を殺す事くらい罪ではない、自分にはその権利があると妄信、彼を殺人に追い詰める要因(社会的貧困、病気、孤独、妹ドーニャの犠牲的結婚を知らせる母の手紙)が重なり、偶然もあり完全犯罪に近い殺人を犯す。スヴィドリガイロフは、現在を否定し、未来に展望を持たぬ絶望的なニヒリスト。悪徳の化身のようなこの男に、自分の思想の反映を見て動揺するラスコーリニコフ。スヴィドリガイロフを救えるのはドーニャだけだが、この愛に破れドーニャを解放した後、再び闇に閉ざされ自殺し、ニヒリズムの行き着く先が暗示される。貧しく家族のために身を堕としているソーニャの理論とは、愛と犠牲によって身近の人間を自分の道へ引き込み、自分の周りに正義を広めるというもの。二人は逆方向から同じ目的を目指していた。唯一人の道連れであるソーニャを失えないラスコーリニコフは、ソーニャの愛に負けて自白。シベリアの流刑地で囚人達の間に身を置いて、ソーニャの信念に負けるのである。

人間の本性を忘れた理性だけによる改革が、人間を破滅させると説く。

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