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2009年5月12日 (火)

本37・・日はまた昇る

日はまたアーネスト・ヘミングウェイ著

Photoロスト・ジェネレーションの代表的作家とされる。失われた世代を指し、第一次世界大戦の体験で宗教も道徳も人間的な精神も押しつぶされ、希望を失い絶望と虚無に落ち込んだ戦後派作家に与えられた呼称。

表面的喪失と内心の肯定との二つの相の交錯が、語り手で作家志望の新聞記者ジェイク・バーンズによって表現される。彼は戦傷のため性的不能に陥る。一見奔放で美貌な、元イギリス貴族の女性ブレット(婚約者がありながら、ロメロとも恋愛)。感覚世界の単なる道楽者で、ブレットを追い掛け回す若手作家のロバート・コーン。放蕩が哲学的意味を持つと考えるジェイクやブレット。ブレットと婚約しているマイク・キャンベル。ジェイクの親友で同じ作家志望のビル・ゴードン。スペインの若手闘牛士ペドロ・ロメロ。ジェイクの、芸術家としての人間性の嘘と誠を嗅ぎ分け、女性に対しても単に我が物としようとするのではなく、女性の真実の姿に対する認識として見(ブレットに対しても同じ)、内面の掟に従って自己の行動を律することを尊ぶ有り方。後半になるに従い、人物間の葛藤が劇的に高められ、個人の情熱の高まりとフィエスタ(祝蔡)の集団的な情熱である興奮とが歩調を合わせる。

良かれ悪しかれ個人主義で、芸術至上主義であり、終生変わらぬヘミングウェイの姿勢が見える。

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