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2009年5月13日 (水)

本38・・武器よさらば

武器よさらば・・アーネスト・ヘミングウェイ著

Photo_2_3第一次大戦のイタリア戦線を背景に、戦場に芽生えた恋愛を描く。

絶望的で過酷な戦争、情熱的で生命力に満ちた恋、そしてキャサリンの妊娠。戦況の悪化、カポレットの退却に続く ヘンリーの脱走と生還。ヘンリーは戦争一般に纏わる大儀を捨て単独講和する。戦争が別世界のものとなり、二人はスイスへ逃れる。幸福は続かず、キャサリンの死産で唐突に物語りは終りを告げる。ヘンリーは自己の重荷を背負い、素手のまま世界の無意味さと愚劣さに耐える姿に存在理由があるかのよう。冒頭の戦場の情景とカポレットの退却の描写はいかにも戦争小説のようだが、外部世界と孤立した人間との対立が軸になる。ヘンリーと牧師、そして戦友のリナルディ。彼等は混乱に満ちた外部世界に対し、彼等なりの規律と節度を持って共感し身を処す。戦争という暴力が、三人のささやかな結びつきさえ断つ。キャサリンとの仲も儚く打ち砕かれ、人間としての運命に次々と敗北するが、弱音を吐かず黙って耐えるヘンリー。

雨の中で自分が死ぬところが見えると恐れるキャサリン、カポレットの退却、ヘンリーが脱走の貨車の中でキャサリンを想う時、二人で湖水を渡りスイス領へ脱出する時、キャサリンを喪って立ち去って行く時、運命的な象徴として雨が絡む。

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