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2009年6月 5日 (金)

本41・・イワン・イリイチの死

イワン・イリイチの死・・レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ著

Photo_519世紀ロシアの一裁判官の死。不条理な死が、精神の覚醒の切っ掛けとなる。

主人公はアレクサンドル2世時代の司法改革の尖兵として働き、人生の盛りで控訴院判事という要職に就くが、些細な事故(梯子から落ち脇腹を打つ)を切っ掛けに病を得(最後まで病名は不明)、3ヶ月程の闘病生活後に死ぬ。1881年に死んだ実在の裁判官がモデル。心理学者の描く、病や死の受容の諸段階(恐れ→拒絶→怒り→戦い→取引→絶望→鬱→受け入れ)を踏む。死とは、誰にも代わってもらえぬ固有な経験であり、他者との交渉が断絶する孤独な経験であり、その向こう側が見えない究極の可能性であり、絶対確実な可能性と共に時間的に規定できない未決定な可能性である。様々な価値が二極化(世俗的な価値が、精神的な価値によって相対化)される。

トルストイの世界では、人格としての復活や来世の感覚は無く、死に直面して真実の価値に目覚める瞬間が新しい誕生で、人生を浄化してくれる恵みであるとする。

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