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2009年7月21日 (火)

本48・・デミアン

デミアン・・ヘルマン・ヘッセ著

20050126083847対戦前のヨーロッパの退廃的な文明や既成の社会倫理観や宗教観に批判を加えたため、初めは匿名で発表。ヘッセの仮借なき自己追及の記録だが、重傷を負った兵士の遺稿の形を採る。

少年シンクレールが、年長の友人デミアンの手引きで真の自我を求めて行く過程を描く。全ての人間の生活は自己自身への道で、真に自己自身になることは最も容易なようで最も困難。自己に忠実でないことが様々な不幸な源と。

シンクレールは、年上の不良少年に睨まれまいとして心にもない嘘を言ったことで、脅迫めいた付き纏いをされる。謎の少年デミアンに救われ、成長と共に明暗の生活を始める。悪魔をも内包する神への憧れと観念は放縦に身を持ち崩すも引き戻され、自己を求め始めた人間にとっては自分の真の運命を生きる義務があると悟る。俗習を越えた孤独の中でデミアンを求め、巡り会ったデミアンの母は無意識に慕っていた母なる恋人であった。彼等は文明の内的荒廃と共に世界の大きな運命が近付いて来るのを予感し、今や世界が生まれ出るために崩壊しようとしていると感ずる。デミアンもシンクレールも大きな運命の意志を認識し、古い世界の終りは新しい世界の始まりと悟り甘んじて運命に身を委ねる。シンクレールは戦場で最後に、結局自分の指導者デミアンは自分の似姿に他ならず、自己を導くものは即ち自己であると知る。

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