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2009年9月 3日 (木)

本56・・北回帰線

北回帰線・・ヘンリー・ミラー著

3z39792僕は金も希望も無いが、一番幸福な人間だ。自分を芸術家と思っていたが、今は文学も抜け落ちてただ存在するだけ。これは普通の小説ではなく、罵倒であり、讒謗(ざんぼう)であり、人格の毀損だ。「芸術」の面に吐きかけた唾の塊であり、神・人間・運命・愛などを蹴飛ばし拒絶する。諸君のために歌うつもりだ。諸君が泣き言を言ってる暇に僕は歌う。諸君の汚らしい死骸の上で踊ってやる・・と始まる、著者の放浪のパリ時代を奔放に綴った処女作。

アウグスティヌスではないが、「汝自身に帰れ」という自身の全存在を貫く根源的なテーマを、自己以外のものから自己を奪還するために、家庭に反抗し、社会に反逆し、アメリカを呪詛してパリへ逃避した著者の、形式を打破した生活の「足掻き」が聞こえる。

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