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2009年9月18日 (金)

本62・・テレーズ・デスケルウ

テレーズ・デスケルウ・・フランソワ・モーリアック著

4132b81saxl__sx230_ランド地方ボルドー。酷熱の夏と秋冬の霖雨。荒涼たる松林を吹きぬける烈風に唆されたように、何故? と問われても答えられぬ不思議な情熱に誘われて、テレーズは夫を殺して自由を得ようとするが果たせず、しかも夫に別離の願いを退けられる。情念の世界に生き、孤独と虚無の中で枯れ果てて行く女テレーズを、モーリアック独特の精緻な文体で描き、無神の世界に生きる人の心を襲う底知れぬ不安が宗教的視野で綴られる。

体面のみを重要視する周囲に、自由無く、煙草の煙の中で虚無と向き合っていたテレーズは、やっとパリでの自由に漕ぎ付ける。テレーズは思う「私が大事に思うのは、石造の建物ばかりの町でもなければ、講演会でも、美術館でもない。そこに動いている生きた林が私には大切なのだ。どんな嵐よりも猛威を振るう情熱が穴を開ける林。夜のアルジューズの松林の呻きが私の心を動かしたのは、それが人間の「呻き」としか聞こえなかったからではないのか」と。

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