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2009年10月 8日 (木)

本68・・トニオ・クレーゲル、ヴェニスに死す

トニオ・クレーゲル、ヴェニスに・・トーマス・マン著

5c2de9bdfcdcda637c3f01985e954121∇「トニオ・クレーゲル」・・憂鬱で思索型の一面と、優美で感性的な一面を持つ青年が、孤立ゆえの苦悩とそれに耐えつつ芸術性を頼りに生を支えて行く姿を描く。読書家で内向的なトニオは、明るく社交的なハンスに愛情にも似た友情の念を持ち、お嬢様気質で美人のインゲボルグに気付いた時には恋をしていた。両親亡き後故郷を後にし、時が経ち、詩人として名を成した後、トニオは芸術とは何かとの答えを求め、まず故郷を身分を明かさぬまま訪ね、その後デンマークへ旅行。旅先のホテルで偶然にも、学生時代の憧れだったハンスとインゲボルグを目撃。懐かしさと愛情とで話し掛けたいトニオだが、彼等に映る「理性的(俗世的)」な華やかさを見るにつけ動揺。理性で隠さない感情を大切にすべきか、それとも芸術的高尚さを目指すべきか。トニオは一人孤立しながらも自分の信じる芸術を頼りに生きねばならないと決意。反面、悔恨と郷愁に堪えられず、すすり泣く。

∇「ヴェニスに死す」・・死に魅惑されて没落する初老の芸術家の悲劇を描く。20世紀初頭のミュンヘン。著名な作家アッシェンバハは、執筆に疲れて英国式庭園を散策した帰り、異国風の男の姿を見て旅への憧憬を募らせる。アドリア海沿岸の保養地の後、ヴェネツィアへ。ホテルには長期滞在している上流階級のポーランド人家族がおり、その十代初めと思われる息子タージオの美しさに魅せられてしまう。やがて海辺で遊ぶ少年の姿を見るだけでは満足出来ず、後を追けたり家族の部屋を覗き込だりするように。栄誉に包まれた「威厳ある」作家である彼は、こうして美少年への恋によって放埒な心情にのめり込んで行く。だが、ヴェネツィアにコレラが迫り、滞在客達が逃げ出し閑散とする中、アッシェンバハは美少年から離れられずこの地を去れない。少年とその家族が遂にヴェネツィアを旅立つ日、アッシェンバハはコレラに感染し死を迎える。

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