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2009年10月16日 (金)

本71・・アドルフ

アドルフ・・バンジャマン・コンスタン著

41zc5t5c72l__sx230_若くして倦怠に悩みながら田舎町に住むアドルフは、愛されたい、女を征服したいとの動機から年上の貴族の情婦エレノールに恋心を抱くが、望みを果たしてみると耐え難い重荷を感じて彼女と手を切ろうとする。情熱の解放を求めながらもひとたび愛を得ると冷却し、その負担に悩む男のエゴイズムを分析し追及。著者の自伝的作品。

焦燥を抑える力も無く、一時の悔恨で塞いだ傷口をまた開けてしまうような仮初めの憐憫。何とか説明がつけばそれで言い訳が立つという自惚れ。自分の行った悪を語りながら、自身のことのみを気に掛け同情を勝ち得ると自負、自分は無傷のまま人の破滅を見下ろし、後悔も無く自己分析するような虚栄。自身の無力を他人のせいにし、悪は周囲の中にあるのではなく己の中にあることの解らぬ弱さ。何一つ決まった道も辿らず、何一つ役に立つ職にも就かず、気紛れにずるずると引き摺られ、焦燥をただ一つの力として才能をすり減らし、場所を変えても自分が矯(た)め直されず、いたずらに未練に後悔を加え苦悩に過失を加える。本心を知った彼女はショックで死んで行くが、それでもなお惑い続ける。

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