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2009年11月

2009年11月30日 (月)

本94・・大工よ、屋根の梁を高く上げよ

大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア・序章

・・ジェローム・ディヴィッド・サリンジャー著

41xm04m7e5l__sl500_aa240_前出の「ナイン・ストーリーズ」の中の短編「バナナフィッシュにうってつけの日」で、シーモアの突然の拳銃自殺(妻の眠る傍らで)が描かれており、この「ナイン・ストーリーズ」は本作品より前に書かれているが、位置的には「大工よ・・」と「シーモア・序章」の間のもの。

「大工よ、屋根の梁を高く上げよ」・・この文句は、兄妹の好きな、アーヴィング・サッフォという作家の詩の一節からの引用とされる・・繊細な感受性と鋭敏な洞察力を持って、個性的に生きようとするグラース家の7人兄妹の姿がそこかしこに描かれるが、シーモアはその長兄。「大工よ・・」では、兄シーモアの結婚のいきさつが、すぐ下の次男バディによって語られる。いかにも異質な人間同士のようなカップルのシーモアとミュリエル。兄妹の精神的支柱だったシーモアの人間像(卑俗な現実を嫌悪し、そこから飛翔しようと苦悶)、終に本人が現れずに終った結婚式の経緯と、「シーモア・序章」では、その後の自殺の真因を、弟バディが愛と崇拝を持って探って行くのだが、明らかにされず仕舞い。 

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2009年11月25日 (水)

本93・・即興詩人

即興詩人・・ハンス・クリスチャン・アンデルセン著

51s93kh9hl__sl500_aa240_北欧デンマーク出身のアンデルセン憧れの地、南国イタリアを舞台に、親友の貴族ベルナルド、薄倖の歌姫アヌンツィアータ、小尼公フラミーニア、盲目の美少女ララ、サンタ夫人、そしてヴェネチア一の美女マリア等の美男美女を配し、イタリア各地の名勝旧跡、風光明媚な自然の佇まいを情熱を込めて描写。

ローマはピアッツア・バルベリイニ(バルベリーニ広場)の貧しい家に生まれた繊細な少年アントニオは、思いつくままに詩を紡ぐ即興詩人になることを夢見ていた。幼くして母親を亡くすという悲劇にあったものの、彼の才能を買ってくれる名家(ここの公爵に因って、馬の下敷きになり母親が死亡)に教育を授けられ、アントニオの運命は順風満帆と見えたが、ローマの謝肉祭、復活祭の中での歌姫アヌンツィアータとの悲恋、親友で恋敵でもあるベルナルドとの出会いと決闘を経て(死んだと思っていたベルナルドは助かる)、アヌンツィアータに逃げるように言われ・・占い師フルヴィアの助けでナポリに逃れ、数奇な運命に巻き込まれることに。ナポリでは馬車で出会ったサンタ夫人に引き立てられ即興詩人として奉られもし、盲目の麗しい少女ララを知るが、詩人などに重きを置かない公爵の下へ行った後やむなくその婿と共にローマに戻る。その娘フラミーニアは純真で心が通じ合うが、彼女は教会に召され、失意のアントニオはベネツィアへ旅し友のポッジョを得、市長の姪であるという美しいマリアを知る。ある日、寂れた小劇場でアヌンツィアータと再会するが、病後で美貌も声も廃れ、彼女は何処ともなく去り・・マリアからアヌンツィアータの手紙と形見を受け取り、その経緯と彼女の死を知る。その後、悲しみから逃れるためヴェネチアからイタリア各地を遍歴するが、神経性熱炎を起こし、マリアの告白で彼女がララであると知らされ、結ばれる。

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2009年11月24日 (火)

映画88・・悪魔のような女

悪魔のような女(1955・フランス)

41cu2pwmy1l原作・ボワロー&ナルスジャック、監督・アンリ=ジョルジュ・クルーゾー、出演・シモーヌ・シニョレ、ヴェラ・クルーゾー、ポール・ムーリス・・

妻クリスティナ(クルーゾー)の財産で、パリ郊外の小学校長をするミシェル(ムーリス)は、妻に教鞭を執らせ、同女教師ニコール(シニョレ)と公然と通じていた。乱暴で利己的な彼に二人の女は我慢出来ず、共謀でミシェル殺害計画を立て、休暇を利用しニコールの家でミシェルを呼ぶ。クリスティナは怖気付くが、気の強いニコールは彼女に命令し、ミシェルに睡眠薬入りの酒を飲ませ眠ると浴槽に漬け窒息死させる。翌朝二人は、死体をバスケットに詰め小型トラックで学校に運び、夜闇に乗じ死体をプールに。校長失踪が話題に。生徒がプールで校長のライターを発見、プールの水を干すが死体が無い。ミシェルの服がクリーニング屋から届けられ、クリスティナは洗濯屋から住所を開き、そのホテルヘ行くが止宿人はいない。また、校長に似た溺死体がセーヌ河に浮んだという新聞記事を見、死体公示所へ行くが人違い。公示所で彼女から事情を聞いたフィシェ老警部は、学校に来て調査。生徒がガラスを割って校長に叱られたと言い、記念撮影で校長らしい人物が写ったりで、クリスティナは持病の心臓病が悪化し寝込む。ニコールは学校を辞めた。その夜、クリスティナを脅かす足音がし、廊下から足音を追い浴室に来ると、浴槽に殺したミシェルが・・彼女は心臓発作で絶命。ミシェルとニコールの共謀だったが、フィシェに捕まる。事件は解決したが、かの生徒は今度はクリスティナ夫人に会ったと・・

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2009年11月23日 (月)

本92・・阿片

阿片・・ジャン・コクトー著

Zu081117131924年、ラディゲの死による寂寞の地獄に落ち込み、人生にも芸術にも興味を失ってしまったコクトーを救おうと、友人ルイ・ラロアが勧めた「阿片」の世界。「当時の僕は、絶体絶命の窮地にあった。二つの自殺の内、手軽な方を選んだ」と回想したコクトー。この、自殺の心算で始めた阿片が、彼の最も重要な芸術活動に影響を与え「恐るべき子供達」「オペラ」を産む。コクトーは、阿片から最小の犠牲から最大の美徳を引き出すべく利用し、廃人とはならずに済んだ。阿片の弊害が出始めた頃、友人達の勧めで療養院に入院し解毒治療を始め、この「阿片」は、入院中に書かれたノートとデッサンから成る阿片脱出の日記であるが、治療の過程を描いているのではなく、文章論・精神論・創作論について述べる、自己探求の書。

コクトーは、後も阿片と手を切ったわけではなく、適当に愛用し、作家・劇作家・映画監督として多彩な活躍をした。

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2009年11月19日 (木)

本91・・嘲笑う闇夜

嘲笑う闇夜・・プロンジーニ&マルツバーグ著

C_running田舎町で凶行を重ねる「切り裂き魔」。精神科医は、犯人には犯行時の記憶が無く、自分が殺人鬼だと自覚していないと言う。猟奇的な連続婦女殺人だが、女たちは置くとして、恐怖に覆われた町で戦慄する男たち。未だ大人に成り切れていない記者・クロス、感情を制御出来なかった過去ある町の治安官・ケラー、落ちぶれた元舞台俳優・フック、潰瘍を抱えた州警察警部スミス・・切り裂き魔は自分ではないのか? それぞれの疑心暗鬼と狂気が暴走するフーダニット。ケラーはフックに異様に執着、追い詰めた所で自分が切り裂き魔だと絶叫、追っ手を逃れ自殺。町に平安が訪れ・・入院中のスミスはケラーの無実(アリバイ)に気が付き、真実を突き止めようと行動を起こそうとしたところで憤死。ニューヨークに移ったフックと恋人の記者ヴァレリー・・ヴァレリーが彼女のアパートで惨殺される。

ジョン・ラッツとの合作「同居人求む」・・映画では「ルームメイト」

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2009年11月15日 (日)

本77・・絵のない絵本

絵のない絵本・・ハンス・クリスチャン・アンデルセン著

Feb7cf95世界の隅々を照らす月が絵描きに物語るという形を採った、絵よりも美しい絵画詩。自らの体験に基付く、ヨーロッパ各地の民衆の喜びと悩みの人生を語り、一方に於いては空想の翼に乗って、思いは遠くインド・中国・アフリカなどにまで及ぶ。一つ一つの短い物語の中に、温かく優しい感情と明るいユーモアが流れ、浪漫的香りの高い詩情が溢れる。

一生の間旅から旅へと流離って歩いた作者の、1839年から40年頃に書かれ、33編から成る。

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2009年11月13日 (金)

本76・・遠い声 遠い部屋

遠い声 遠い部屋・・トルーマン・カポーティ著

209502「心は万物よりも偽るものにして甚だ悪し 誰かこれを知るをえんや」。傷付き易い豊かな感受性を持った少年が、自我を見出すまでの精神的成長の途上で辿る数々の内的葛藤を象徴。近付きつつある青春前期の予感に慄く怯えた少年の目には、何でもない驚きや期待が拡大され途方もない重さで圧し掛かる。失われ行く少年期への痛ましいゴシック風挽歌。

父親を探してアメリカ南部の小さな町を訪れた13才のジョエルの前に現れる、トラック運転手ラドクリフ、スカリーズ(髑髏の館)へと連れて行く使者ジーザス、少女アイダベル。館では外界との連絡を絶たれ、ジョエルを待ち受けていた気味の悪い物音や話し声、歪んで映る鏡、音も無く開くドア、揺らめくランプの灯影、窓から手招きする女・・義理の母となる華やかだった南部全盛時代の思い出に生きるエイミイ、その従兄弟で「未来の全ては過去に存在する」と言い世界中の郵便局に手紙を出すランドルフ、廃墟のホテルを守る世捨て人のリトル・サンシャイン、二つのガラス目玉になって身動き出来ない父親のエド・サンソム。過去の夢を齧りながら生きている「時」の囚人ばかり。孤独と絶望に追い込まれ、距離と時間の二重の足枷を掛けられたジョエルは「遠い声」と「遠い部屋」に慰めを求め心の中への逃避を始める・・ある日、アイダベルと物理的に脱出するも、雷雨に打たれ連れ戻され、高熱に魘されて病床生活。叔母の訪れさえ知らされず遠避けられるが、高熱から覚めたジョエルの目は、いつしか少年の持つレンズの歪みを無くし、周りの世界も魔法が剥ぎ取られ、子供の恐怖から抜け出た彼は、今や大人の恐怖の世界へ踏み込みつつあり(窓から手招きする女装のランドルフに応じるべく、その方へ)、抜け出てきた少年の日々の姿を懐かしむように後ろを振り返る・・

「今世紀の最も輝かしい破壊の天使」と云われ、「麻薬常用者でアル中でゲイで天才」と自称したカポーティ。1984年の夏、友人宅で麻薬の乱用により変死体となって発見される。13才のジョエルは、彼の出発点でもありゴールでもある。

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2009年11月11日 (水)

映画87・・蜘蛛女のキス

蜘蛛女のキス(1985・アメリカ=ブラジル)

B6806205原作・マヌエル・ブイグ、監督・ヘクトール・バベンコ、出演・ウィリアム・ハート、ラウル・ジュリア、ソニア・ブラガ・・

南米の刑務所。二人の男が同房に。一人は政治犯のバレンティン(ジュリア)、偽造パスポートで現行犯。もう一人のモリーナ(ハート)はホモセクシュアルで風紀罪。まるで別の世界を持つ二人。映画好きのモリーナは、観た映画の話をバレンティンに聞かせるが、バレンティンはうんざりし、拷問と同志との連絡が取れない日々。第2次大戦ナチ占領下のパリ、シャンソン歌手レニ(ブラガ)とドイツ将校の恋、今モリーナが語る映画の内容だ。バレンティンにも嘗ては愛する女が。政治家と癒着する大資本家の娘マルタ(ブラガ2役)で、反体制活動家の彼は、活動のため彼女を捨て旅立った。実はモリーナは、バレンティンの地下活動を探るため同房に入れられ上手く行けば刑を免れる。機密を聞き出すための彼への献身工作は愛情へと変わり、騙すという自責に駆られる。向いの房の顔を覆われた男が拷問で遂に死ぬ。曝された顔は思想家のリーダーのアメリコ博士で、偽パスポートでバレンティンが国外逃亡させようとして失敗した男。落胆するバレンティン。モリーナがそれを所長に告げ釈放へ。去る前にモリーナは蜘蛛女の話(南の島で、自分の蜘蛛の糸に絡め取られ、流れ着いた瀕死の男に愛を注ぐ)をする。バレンティンは、モリーナに重大なメッセージを頼む。別れのキスをして出所したモリーナ。母親や友人等との対面の後、バレンティンから頼まれた電話番号を回す。金を下ろし母親を仲間に頼み、約束の場所に出向いたモリーナは、追っ手に銃で撃たれ瓦礫の中に捨てられる・・房のバレンティンは、拷問の後モルヒネを打たれ、モリーナの語る映画の中で南洋の海辺で愛するマルタとボートに乗る。

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2009年11月10日 (火)

本75・・ダロウェイ夫人

ダロウェイ夫人・・ヴァージニア・ウルフ著

2003020007711923年、6月のある水曜日。第一次大戦の影響が残るロンドンで、クラリッサ・ダロウェイは、自宅で開くパーティのため花を買いに街に出る。心地よい空気が満ち溢れたセント・ジェームズ公園を、ダロウェイ夫人は歩く。五十の坂を越して、自分がとても若いような気もするし、お話にならないほど老けたような気もする。人間のたゆたうような意識の流れを、心に雨のように注ぎ込む瑞々しい生命力に溢れるロンドンを歩きながら、ダロウェイ夫人の意識は青春時代と現在を自在に行き来し、心に無数に降り注ぐ印象を記す。一見何の繋がりも無いかように、登場人物達それぞれの心象風景がロンドンのそこかしこで綴られる。

あらゆる過去の一日が充満した一日を、「意識の流れ」の手法で、生、死、「時」を描いた、モダニズム小説の代表作。

映画では「めぐりあう時間たち」

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2009年11月 8日 (日)

映画86・・ゴールデンボーイ

ゴールデンボーイ(1998・アメリカ)

Untitled原作・スティーヴン・キング、監督・ブライアン・シンガー、出演・ブラッド・レンフロ、イアン・マッケラン・・

潜伏するナチ戦犯と、接近して話を聞くうち己の内部に巣食う邪悪さに目覚める少年の姿を描く。

ロサンジェルス郊外。成績優秀な高校生トッド(レンフロ)は、ナチスドイツのホロコーストの実態を知りたく思う矢先、バスの中で戦犯ドゥサンダーらしき人物を目撃。トッドはイスラエル政府の手配写真と指紋(自ら細工して取る)で彼の身元を確信、デンカー(マッケラン)と名乗る老人を訪ねる。デンカーはアウシュビッツで副所長として悪名高いドゥサンダー。普通の少年に正体を掴まれ動揺するデンカーに、トッドは事実を明るみにしない換わり、ナチス時代の残虐行為を話すよう頼む。毎日のように訪ね話を求めるトッドの熱意で、生気を取り戻すデンカー。成績が落ち、指導カウンセラーのフレンチから両親に呼び出し。ミーティング当日、トッドがフレンチの部屋に入るとデンカーが。祖父と偽り、両親が離婚寸前と嘘を言い、成績が学期末試験でオールAなら水に流すという条件を得る。無理だと詰るトッドに「猛勉強しろ。二人は一蓮托生だ」と。結果、成績はオールA。デンカーは殺意を抱くトッドに、二人の関係を書いた手紙が銀行の貸金庫に、自分が不測に死ねば明るみに、トッドは一生スキャンダルを背負うと。デンカーは浮浪者のアーチーに請われ家に入れ、隙をみてナイフで刺す。アーチーは地下室に落ち、デンカーは心臓発作、後始末にトッドを呼ぶ。トッドは地下室でアーチーに止めを刺し死体を埋め救急車を。デンカーを見舞うトッドに、例の手紙は嘘だと別れを告げる。隣のベッドの患者がアウシュビッツの生き残りで、デンカーを告発。イスラエル政府機関とFBIがデンカーを訪れ、回復次第連行すると。トッドは首席で卒業。デンカーの正体が暴露され不安なトッド。事情聴取は切り抜けたが、新聞でデンカーの写真を見たフレンチが詰問。フレンチが成績操作の見返りに性的関係を迫ったと触れ歩くと脅す・・トッドは邪悪に目覚め、デンカーは病院で点滴に息を吹き込み自殺。

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2009年11月 6日 (金)

機織り・・その33

090903_35_0033セット、その5の①

色紙枠に、柄とパステルカラーの暈し。

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2009年11月 3日 (火)

映画85・・シャーロット・グレイ

シャーロット・グレイ(2001・アメリカ)

20080906001248原作・セバスチャン・フォークス、監督・ジリアン・アームストロング、出演・ケイト・ブランシェット 、ビリー・クラダップ、ルパート・ペンリー・ジョーンズ・・

第二次世界大戦中、占領下のフランスのレジスタンス運動に身を投じた女性の情熱的な魂の旅を描く。

看護婦のシャーロット・グレイ(ブランシェット)は、汽車で乗り合わせたリチャードに誘われたパーティーで、パイロットのピーター(ジョーンズ)と出会い恋を。その折、リチャードからはフランスのレジスタンス運動に誘われる。数週間後、ピーターは行方知れず、彼女はフランスへ。地元レジスタンスのリーダー、ジュリアン(クラダップ)は、彼女をユダヤ人の幼い兄弟を匿う父ラヴァドの元へ。指令をこなす中で多くの仲間を失い、ジュリアンもシャーロットも、誰も信じられなくなる。彼女の体を狙っていたルネックと役人が、ユダヤ系のラヴァドか子供達を引渡すよう迫る。ジュリアンは父を引き渡すが、その後、子供達も連行される。ジュリアンは密告者のルネックを殺しシャーロットに逃げようと誘うが、彼女はまだ出来ることがあると残る。彼女は収容所へ向かう列車に乗るラヴァドに、「幼い兄弟の親から」として自ら書いた手紙を託す。その後ロンドンに戻り、死んだと思っていたピーターに再会するが時は戻らないと彼に別れを告げ、平和の戻ったフランスへ。再会したジュリアンに初めて自分の名を明かす。

レジスタンスに命を懸けるジュリアン、二人のユダヤ人の少年達、祖国イギリスとフランスへの想い、が彼女の生き方を変える。

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2009年11月 2日 (月)

本74・・人間とは何か

人間とは何・・マーク・トウェイン著

51a9918wsql__sx230_人間不信のペシミズムと決定論的人間観。人間の意志と気質との問題、果たして人間は自由なのか。意思的に動いているようでも、案外事実は外的要因で動かされているのではないか。人間というのは、生来の気質と環境によって左右され、最終的には自己の満足のために行動する存在だと。

人生に幻滅している老人は、青年に向かって、人間の自由意志を否定し、「人間が全く環境に支配されながら、自己中心の欲望で動く機械に過ぎない」ことを論証。人間社会の理想と現実に存在する利己心とを対置させた、トウェイン晩年の対話体評論。

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2009年11月 1日 (日)

映画84・・マイケル・コリンズ

マイケル・コリンズ(1996・アメリカ)

D0127934_22254415監督・ニール・ジョーダン、出演・リーアム・ニーソン、アイダン・クイン、アラン・リックマン、ジュリア・ロバーツ・・

アイルランド独立運動の英雄マイケル・コリンズ(1890~1922)の半生を描く。

1916年。12世紀以来700年、英国に支配されたアイルランド。独立を求めコリンズ(ニーソン)は、ヴァレラ(リックマン)等指導者のもと「イースター蜂起」と呼ばれる武装蜂起を決行するが失敗。釈放されたコリンズは同志で親友のハリー(クイン)等と語らい「アイルランド義勇軍」なる親衛部隊を率い、新たな独立運動を展開。処刑を免れたヴァレラを獄中から救出、協力者のブロイ警部の手引きで英国警察の諜報網を掴んだコリンズは、命知らずの青年達に命じ英国の官憲等を暗殺、大胆な戦略で敵を翻弄し独立運動を支えた。安らぎは、彼とハリーを見守るキティ(ロバーツ)の存在。英国はソームズ率いる冷酷無比な予備隊「ブラック&タンズ」を送り暗黒政治を敢行。コリンズは予備隊の幹部等を暗殺し反撃、ブロイは拷問死。21年、英国が休戦布告。ヴァレラの命でコリンズは英国に赴くが、アイルランドの独立は認め、国の分断と英王室への忠誠をという条約を巡り、賛成派と反対派が決裂し国内は二分。ヴァレラは反対派の領袖となり内戦が始まる。反対派のハリーは暗闘の中死ぬ。キティと婚約したコリンズは、内戦の停戦条約のため反条約派のウェスト・コークへ。ヴァレラとの会談が目的だったが、彼は血気に逸る謀反者等の待ち伏せで頭を撃たれ死亡。22年8月22日、享年31歳。葬儀には多くのアイルランド国民が参列、大統領ヴァレラは「彼の名は歴史に残る。私の愚かさと共に」と。

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