« 絵画16・・藤城清治 | トップページ | 本100・・冷血 »

2009年12月21日 (月)

本99・・泥棒日記

泥棒日記・・ジャン・ジュネ著

51ffvx9gv5l__sl500_aa240_一部は事実、一部は虚構の自叙伝。1930年代、ジュネはボロを纏い、飢えや蔑み、疲労や悪徳に耐え、ヨーロッパ各地を放浪。いかがわしい酒場や木賃宿。盗み、ブタ箱、そして追放。

言語の力によって現実世界の価値を悉く転倒させ、幻想と夢魔のイメージで描き出す壮麗な倒錯の世界。裏切り、盗み、乞食、男色。父なし子として生れ、母にも捨てられ、泥棒をしながらヨーロッパ各地を放浪、前半生の殆どを牢獄で送ったジュネ。終身禁固となるところをサルトル等の運動によって特赦を受けた怪物作家の、最も自伝的な色彩の濃い代表作。

この小説のテーマは、裏返された観念体系である。裏切りは究極の献身で、ケチな犯罪は恥を知らないヒロイズム、監禁は自由。同性愛、盗み、裏切りという三位一体の悪徳で、ジュネは、聖者に取って替わるものを追い求める。故に、キリスト教の用語と概念を換骨奪胎。泥棒達は宗教儀式の如く悪を営む。犯罪を準備する彼自身は、まるで「聖なる」生活を得ようと夜を徹して祈り続ける修道僧のように描かれる・・道徳法を超越した自己発見の叙事的航海であり、悪徳の哲学的表現であり、退廃の美学作品となっている。

|

« 絵画16・・藤城清治 | トップページ | 本100・・冷血 »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 絵画16・・藤城清治 | トップページ | 本100・・冷血 »