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2009年12月25日 (金)

本100・・冷血

冷血・・トルーマン・カポーティ著

2095061959年、実際の殺人事件を著者が取材し、加害者を含む事件の関係者にインタビューし、事件の発生から加害者逮捕、加害者の死刑執行に至る過程を再現したノンフィクション。自分と同じ様に悲惨な境遇に育った加害者の1人(ペリー)に同情し、「同じ家で生まれた。一方は裏口から、もう一方は表玄関から出た」という言葉を残す。

1959年11月16日、カンザス州のある寒村で、農場主の一家4人が自宅で惨殺される。農場主は喉を掻き切られた上、至近距離から散弾銃で撃たれ、彼の家族は皆、手足を紐で縛られやはり至近距離から撃たれていた。その惨い死体の様子は、まるで犯人が被害者に対して強い憎悪を抱いているかのようだったが、農場主は勤勉かつ誠実な人柄で、周辺住民とのトラブルも一切存在しない。捜査を担当したカンザス州捜査局の捜査官は、強盗の仕業である可能性も視野に入れるが、女性の被害者には性的暴行を受けた痕がなく、被害者宅から殆ど金品が奪われていないなど、強盗の仕業にしては不自然な点が多い。捜査官等は、事件解決の糸口が掴めず苦悩するが、偶々、犯人を特定する有力な情報(刑務所の過去の同房者から)が齎され、捜査は急速に進展し加害者2名を逮捕。加害者等が捜査官に対し、この不可解な事件の真相と自らの生い立ちを語り始める。犯人の一人ディックは普通の両親に育てられたが抑制を知らない自己中心的な大嘘吐きで、ペリーは粗暴な父親とインディアンでアル中の母親との間に生まれた混血で、一人を除いては兄姉達も不慮の死を遂げていた。物語は、二人の死刑が執行される1年前、捜査官の農場主一家の墓参りで終わる。今では珍しくないが、理由無き殺戮事件。

表題の「冷血」は、これといった理由もなく落ち度もない家族を惨殺した加害者を表すとされるが、表向き加害者と友情を深めながら内心では作品の発表のために死刑執行を望んでいた作者自身を表すのではないかとの説も。映画化「カポーティ」。

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