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2010年1月

2010年1月31日 (日)

映画94・・ビッグ・フィッシュ

ビッグ・フィッシュ(2003・アメリカ)

1196304483原作・ダニエル・ウォレス、監督・ティム・バートン、出演・ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ビリー・クラダップ、ジェシカ・ラング・・

自分の人生をお伽話のように人々に語る男、エドワード(フィニー)。未来を予見する魔女のこと、若き日の自分(マクレガー)が一緒に旅した巨人カールのこと、人を襲う森とその先にある美しい町のこと。そんな彼の話には誰もが楽しい気分に。しかしジャーナリストの息子のウィル(クラダップ)は、自分の結婚式でエドワードが巨大魚の話をし注目を浚った父親に憤りを抱く。ある日、母親のサンドラ(ラング)から、患っていた父の容態が悪化したと。ウィルは出産間近の妻ジョセフィーンと実家へ。エドワードはベッドで過ごしつつ相変わらず思い出話を語る。ジョセフィーンはサンドラとの恋愛話を聞かされ、そのロマンティックな内容に心を打たれるが、ウィルはそれが作り話であることに苛立つ。そんな時、ウィルは、エドワードの話に出て来た彼の戦死を告げる電報をサンドラが見付け、お伽話の中に真実があったことに衝撃を受ける。エドワードの様態が急変、人生の最期を迎える父に、枕元でウィルは父の最後の物語(皆に見守られながら、ビッグ・フィッシュとして河に帰って行く)を豊かに創作し語って聞かせる。エドワードの葬式には、彼の物語に出て来た人々が集まった。

空想の羽根を伸ばし自由に生きた父親と、それを理解出来ない現実的な息子。父の死を前に、2人は理解し合いたいと願う。父が語る荒唐無稽な冒険ホラ話を通して・・

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2010年1月30日 (土)

本109・・真夏の夜の夢

真夏の夜の夢・・ウィリアム・シェイクスピア著

19855586ヨーロッパでは夏至の日、妖精の力が強まり、祝祭が催されるという云い伝えがある。

アテネ近くの森の中、妖精の王と后は喧嘩の真っ最中。運悪くそんな折に森を訪れた二組の男女は、そそっかしい妖精パックに惚れ薬(恋の気違い菫。菫の汁を眠っている瞼に塗ると、目を開けた途端に見たものに恋する)を誤用される。薬のせいで関係がこじれ、決闘を始めそうになる二人の男を止めようと、妖精パックは必死に駆け回り、何とか円く収まる・・幻想的な月夜の晩に、妖精と人間が織り成す詩情豊かな喜劇の戯曲。

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2010年1月29日 (金)

映画93・・Love Letter

Love Letter(1995・日本)

Photo監督・岩井俊二、出演・中山美穂、酒井美紀、柏原崇・・

雪山で恋人が亡くなり、その3回忌で見せられたアルバムの住所を頼りに、死んだ恋人宛てに手紙を送ったはずが、返事が返ってくる・・

死んだ恋人の思い出を引きずる博子(中山)と、天国へ宛てた届かないはずの手紙を受け取る樹(中山2役)。博子は、国道になってしまった彼が昔住んでいた住所に、忘れられない彼への思いから、届くはずのない手紙を出す。何故かその手紙は、婚約者と同姓同名で中学時代に彼と同級生であった女性のもとへ届き、2人の不思議な文通が始まる。図書委員をしていた同名の2人。彼の本の返却は必ず彼女へ。図書カードに1番に書き込まれた名前、その87枚の短いラブレターと88枚目のラストの似顔絵のラブレター。「あの図書カードの名前、本当に彼の名前なんでしょうか」と、亡き人への想いを抱え生きることの切なさを持つ博子と、樹が後で気付く初恋の切なさ。中学時代の2人のエピソード、転校を告げずに返却を依頼する「失われた時を求めて」に込めた、88枚目の今は亡き人の想い。「最近」を知っている主人公と「過去」を知っている第2の主人公が情報を交換し、亡き人の遠い過去の想い出は貴女のものだと手紙を返す博子。自分が描かれている貸し出しカードを見た時の、現在の樹の表情が優しい。

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2010年1月27日 (水)

本108・・ペスト

ペスト・・アルベール・カミュ著

51nj77wakl__sx230_ペストに襲われたアルジェリアのオラン市を舞台に、苦境の中、団結する民衆達を描き、無慈悲な運命と人間との関係性を問題提起。医者、市民、他所者、逃亡者と、登場人物達は様々だが、全員が民衆を襲うペストの脅威に、助け合い立ち向かう。

第二次世界大戦時のナチズムに対するフランス・レジスタンス運動のメタファーではないか、更に実存主義文学の古典とも云われるが、カミュはこのレッテルを嫌った。アプローチは非情で、語り手である主人公は、自分達は結局何もコントロール出来ない、人生の不条理は避けられないという考えを力説。不条理に対する人々の反応を例示し、いかに世界が不条理に満ちているかを表す。

始まりは、医師リウーが階段で躓いた一匹の死んだ鼠。やがて死者が出始め、リウーは死因がペストだと気付く。新聞やラジオが報じ町はパニック。楽観的だった市当局も、死者の数が増え対応に追われる。町は外部と完全に遮断。脱出不可能の状況で、市民の精神状態も困憊。記者のランベールが妻の待つパリに脱出したいとし、コタールが密輸業者を紹介。コタールは逃亡者で町を出る気はない。パヌルー神父は、ペスト発生は人々の罪で悔い改めよと説教。一方、リウー、タルー、グランは必死に患者を治療。タルーは志願保険隊を組織。ランベールは脱出計画をリウー、タルーに言うも、彼等は町を離れる気はない。ランベールは、リウーの妻も町の外で病気療養中だとを聞かされる。ランベールは考えを改め、リウー等に手伝いを申し出る。判事の幼い息子が苦しみ死ぬ。罪の故だと言うパヌルーに、リウーは抗議。確かに罪無き者はこの世にいないかも知れない。パヌルーもまたペストで死ぬのだから。災厄は突然潮が退いたように終息。市外への門が開かれ、人々は狂乱のなか元の生活に戻り、唯一ペストを受け入れていた犯罪者コタールは逮捕に。ランベールは妻と再会、流行は過ぎたのにタルーはペストで死ぬ。リウーに療養中の妻の死の知らせ・・激動の中心にいて、全てを見たリウーが著したとする。

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2010年1月25日 (月)

映画92・・白いカラス

白いカラス(2003・アメリカ)

Sa260l原作・フィリップ・ロス、監督・ロバート・ベントン、出演・アンソニー・ホプキンス、ニコール・キッドマン、ゲイリー・シニーズ、エド・ハリス・・

1998年、マサチューセッツ州。名門アテナ大学の学部長コールマン(ホプキンス)は、ユダヤ人として初めて古典教授の地位に昇りつめた学者。勇退を目前に、何気なく発した言葉が黒人差別と非難され、辞職に追い込まれ妻も喪う。その後、怒りの収まらないコールマンは、湖畔で隠遁生活を送る作家のザッカーマン(シニーズ)を訪ね、自分の屈辱の経緯を本にと依頼。尻込みするネイサンだが、孤独な2人の間に友情が芽生える。1年後、コールマンはネイサンに恋人がいると。彼女の名はフォーニア(キッドマン)。義父の虐待、ベトナム帰還兵の夫レスター(ハリス)の暴力、子供の死という悲惨な過去を背負い、清掃の仕事をする34歳の女性。コールマンも自身の出生の秘密を、長年連れ添った亡き妻にさえ隠していた。実は彼は白い肌に生まれついた黒人で、社会で上手く生きるためユダヤ人だと偽っていた。互いに深い傷を持つコールマンとフォーニアは、ネイサンの忠告を無視し愛にのめり込む。コールマンがフォーニアに自分が黒人であると告白した後、2人はレスターの復讐で交通事故死。ザッカーマンは初めてコールマンの人生を小説にしようと。

白く生まれた黒人がユダヤ人であると偽りの生活をし、タイトル「白いカラス」のモチーフに。秘密を持った男が傷を負った女と出会い、初めてそれを告白し呪縛から開放される。

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2010年1月24日 (日)

本107・・なぞ物語

なぞ物語・・ウォルター・デ・ラ・メア著

Nazomonogatariimg141現実と空想が混ざり合った不思議な世界を描く著者は、多数の子供のための詩や童謡を残す。理屈と論理で成り立っては居らず、自ら「空想の世界の方が現実のそれより、もっとはっきり悟ることが出来る」と。

「アーモンドの木」・・少年の目に映った、父と母の愛と憎しみ、執着と倦怠。ヒースの原の向こうに越してきた、若く美しい女性。諍いの果て、人生に倦んで死んで行く父・・

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2010年1月19日 (火)

本106・・不思議の国のアリス

不思議の国のアリス・・ルイス・キャロル著

240101イギリスの数学者にして作家チャールズ・ラトウィッジ・ドジソンが、ルイス・キャロルの筆名で1865年に出版した児童文学。白ウサギの縦穴を通り抜けて、人間の言葉を喋る動物や人間のようなトランプの札が住むファンタジーの世界へ落ち込んだ、アリスという名前の少女の物語。

お姉さんと一緒のピクニックの間、アリスという名前の女の子は退屈し通し。外套に身を包んで「遅れちまった!」と呟いている白ウサギに興味を惹かれたアリスは、白ウサギを追いかけて穴の中に飛び込む。アリスはパラドックスと不条理と非現実の、地下世界の夢の中へと落ちる。白ウサギを追いかけるうちに、幾つもの災難に出くわし、巨人のように大きくなり、半分の身長に縮んでしまい、アリスの涙で立ち往生した動物たちと出会い、白ウサギの家にはまり込んでしまい、仔ブタに変わる赤ん坊や消える猫を見つけ、いつまでも終わらないお茶会に参加し、人間そっくりのトランプの札とクロケーをし、海岸では更にグリフォンと代用海ガメたちに会い、タルトを盗んだと告発されたハートのジャックの裁判に加わる。そして最後に、アリスはお姉さんのいる木の下で目を覚ます。

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2010年1月17日 (日)

本105・・モンテ・フェルモの丘の家

モンテ・フェルモの丘の家・・ナタリア・ギンズブルグ著

518tcrhk7kl__sl500_aa300_ジュゼッペとルクレツィアを取り巻く人々の、それなりの年を重ねた、それぞれの生活の倦怠感と新しい模索の時の流れを、書簡集という形式で描く。60年代後半から70年代にかけて、各々が謳歌した自由のツケを、遣る瀬無さと砂を噛む思いで払わされる。

「モンテ・フェルモ」とは不動の山を意味し、ルクレツィアの住む「マルゲリーテ館」は、友情の可視的な象徴として永続することを誰も疑わなかった。50才を超えたジュゼッペは生活に倦み、全てを放棄して兄の住むアメリカのプリンストン(現実感の乏しい、彼の虚構の空間)に移り住む。間も無くその兄が急死し、疎んでいた筈の嫂を二度目の妻とするがやがて病死され、それに前後して、上手く付き合って来れなかったゲイである息子アルベリーコをも、友人のイザコザに巻き込まれ殺されて喪う。ルクレツィアは理解のあるピエロの妻として暮らすが、ある不倫によって自ら結婚を崩壊(マルゲリーテ館も無くなる)させ、生まれた赤ん坊を亡くし、不実な不倫相手も失う。他の人々も、明白に妥協でしかない結婚や愛人関係に身を委ねて行く。数年の内に家も友情も惨めに崩壊し、それぞれが流され、移ろって行く。物語は、ルクレツィアがジュゼッペに宛てた切々たる手紙で終わる。

イタリア作家の著者が描き続ける「家族像」は、自身が受けた辛苦に満ちた家庭体験(最初の夫をレジスタンス運動に因り拷問で亡くし葬ることも許されず、二度目の夫にも先立たれる。ユダヤ人の伝統的な血への継承への固執が色濃い)で、物理的・精神的に欠損している家庭が描かれる。

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2010年1月15日 (金)

本104・・サキ短編集

サキ短編集・・サキ著

403349316筆名の「サキ」は、イランの天文学者の四行詩から採ったもの。本名はヘクター・フュー・マンロー。

当時のイギリス植民地であったビルマで生まれ、2才で母と死別して故国イギリスの厳格な伯母の手で育てられる(子供時代の不幸を、一生涯振り払えなかったと云われる)。学業を終えた後、父との豊かな海外旅行の経験等を活かし、ユーモアとウィットの下にブラックな風刺を隠した作品群を著した。

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2010年1月13日 (水)

本103・・サド侯爵の手紙

サド侯爵の手紙・・渋沢龍彦編集

51lavhkar0l__sl500_aa300_フランス暗黒文学の巨星と云われる、公爵マルキ・ド・サド(又は、ドナシアン・アルフォンス・フランソワ・サド)の、夫人宛の手紙を中心に編集した、牢獄文学者の(かなり独りよがり的)告白。特異な性的所業ゆえに、義母モントルイユ夫人に因って投獄され、その人生の大半を獄中と精神病院(ナポレオンによって狂人と見做された)で過ごしたサドは、苦悩・怒り・嫉妬等を躊躇無くサド夫人に打ち明ける。その赤裸々な表現は18世紀に於いてその比を見ない自由さ・大胆さに達する。サド研究の泰斗であり、「悪徳の栄え」の翻訳に当っては、当時被告となり有罪になった渋沢龍彦が「出来るだけ具体的かつ詳細な」という注釈を添えている。

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2010年1月 8日 (金)

映画91・・武士の一分

武士の一分(2006・日本)

20061127bushi01監督・山田洋次、出演・木村拓哉、壇れい、笹野高史・・

三村新之丞は、近習組に勤める下級武士。毒見役に嫌気がさすも、妻の加世と中間の徳平と平和な毎日を送る。ある時、新之丞は貝毒に因る激しい腹痛、一命は取り止めたが高熱に魘され、意識を取り戻した時は視力を失う。人の世話無しで生きられない自分を恥じ一度は命を絶とうとしたが、加世の自分もと言う言葉と忠勤の徳平の説得で思い留まる。ある日、加世が外で男と密会という噂。徳平に尾行させ、加世が番頭の島田と密会していると知る。問い詰めると、身内に勧められ、元の身分でいられるよう島田に相談し代わりに関係を迫られたと。手打ち覚悟の加代を離縁、武士の一分を胸に仇討ちを目指す。剣の師匠(緒方拳)に、生きる執念のある相手には死を覚悟する者の強みしかないと。島田の進言で身分に留まれた訳ではないと判り、騙された加代のためにも、一手でも傷を負わせるため果し合いに臨む。腕を切られ剣を握れなくなった島田は自害・・徳平の進言で飯炊き女が雇われ、煮物の味で加代だと判り、三人の生活に戻る。

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2010年1月 6日 (水)

本102・・親和力

親和力・・ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ著

41xjcj2kmsl__sl500_aa300_「親和力」とは、科学で、元素同士が互いに引き付けあって結合する力のこと。

これを人間関係に当てはめ、男女間の複雑な心の動きを描く。エドアルトと妻のシャルロッテの結びつきは、友人の大尉とシャルロッテの姪オッティリエの出現を切っ掛けに、親和力の避け難い支配によって安定を失い、やがて破局に導かれていく・・シャルロッテと大尉は情熱を抑制するが、エドアルトはオッテリエへの愛に溺れるのみで、オッテリエはシャルロッテとエドアルトの子を不注意で死なせるなどの罪を悔い絶食して死ぬが、エドアルトはその後を追うように死ぬ。

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2010年1月 3日 (日)

機織り・・その34

090903_35_0053セット、その5の②

菱を2つに分け、地色を変え、花柄で。

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