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2010年3月27日 (土)

本131・・自由への道

自由への道・・ジャン=ポール・サルトル著

51ocjwskbsl__sx230_第二次世界大戦が近付く、パリ3日間の物語。大人とは? アンガジュマン(参加=拘束)とは? 自由とは? 

1938年6月。マチウ、34才。自由を主義とする高校の哲学教師。7年間付き合って来た恋人マルセルが妊娠。堕胎の金策に走り回るマチウ。悪の意識を研ぎ澄ます同性愛者の友人ダニエル。青春を疾走するイヴィックとボリスの学生姉弟。旧友である共産党員のブリュネと再会し、理想を目指し活動するブリュネと、その誘いにも乗れず、矮小な個人的トラブルに悩む自分とのギャップに愕然とするマチウ。堕胎が罪である世の中で、危険の少ないユダヤ人医師による手術には4000フラン(40万円ほど)掛かるが、中絶の金策に行き詰まりながらも現実から逃げるようにイヴィックやボリスと遊ぶマチウ。マチウを苦々しく思う羽振りの良いダニエルには借金を体よく断られ、転身したブルジョワの兄ジャックには分別を持てと諭される始末。残された手は一つ、窃盗・・煩悶するマチウを魅惑する、イヴィックの自暴自棄な若さの輝き。マチウへの復讐を企むダニエルの深い自己嫌悪。ボリスの年上の愛人ローラから5000フランを盗むが、マルセルとは気持ちの擦れ違いで別れる。詰め寄るローラに、盗んだ金はダニエルから返金される。マチウは、そのダニエルに男色を告白されマルセルと結婚すると告げられる。

保証付きのモラル、覚めたエピキュリスム(快楽主義)、ストイシズム(禁欲主義)。失敗した人生を、知ったかぶりで刻一刻と味わう。主題である「分別ざかり」の只中で、モラトリアム(猶予)期間を脱せられるか、ストレートに対峙する「自己とは何か」の問い。

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