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2010年4月11日 (日)

本136・・ルーヂン

ルーヂン・・イワン・ツルゲーネフ著

9784003260838田舎の地主・ラスンスカヤ邸に偶然現れた、30代半ばのルーヂン。沈滞し切った古い環境の中で、彼は泥沼に舞い降りた鶴のような颯爽たる感じを与え、縦横に発揮される溢れるばかりの才気や鋭い警句、情熱的な雄弁は周囲の者達を感嘆させ、殊に夫人達は彼を天才だと思うまでに。このような輝かしい人物は、さぞかし社会的にも立派な活動をしているように想像するが、実際には彼の生活は失敗の連続で、一見素晴らしい才気に富んだ男はただ人生の落伍者に過ぎない。ルーヂンの大きな欠陥は、現実を直視してこれに適応する能力を欠いていることで、いたずらに思想や計画を空に弄ぶばかりで、実行するための不屈の意思を持っていないこと。やがてラスンスカヤ家の令嬢ナターリヤにも、見掛けと違い意志が弱く現実に適応出来ない無責任さを見抜かれ、彼は邸を後にすることに・・時は移り、学生時代からルーヂンを知っていたレジネフは、初めこそ快く思わず疎遠であったが、年月を刻むうちルーヂンの良さをも認めるに至る。ラスト、レジネフはある宿でうらぶれたルーヂンと再会し、酒を酌み交わし、心のうちを話し合い別れる。その後、ルーヂンはパリでの国民暴動で、軍に撃たれ死亡。

ルーヂンのように憐れな惨敗者として消えていくロシアの知識人は多かったようで、本人の欠点もさることながら、封建的な社会機構が、その才能を活用し得る舞台を与えなかったこともあるそうな。

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