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2010年4月29日 (木)

本142・・蟹工船、1928・3・15

蟹工船、1928・3・15・・小林多喜二著

Kanikousen1☆「蟹工船」・・カムチャツカ沖で蟹を獲り、それを缶詰に加工する蟹工船の博光丸。様々な出稼ぎ労働者を安い賃金で酷使し、高価な蟹の缶詰を生産する海上の閉鎖空間で、彼らは自分達の労働の結果、高価な製品を生み出しているにも関わらず、蟹工船の持ち主である大会社の資本家達に不当に搾取される。情け知らずの監督者である浅川は労働者たちを人間扱いせず、彼らは劣悪な環境の中で懲罰という名の暴力や虐待、過労と病気(脚気)で次々と倒れて行く。初めのうちは仕方がないと諦める者や現状に慣らされた者もいたが、やがて労働者達は人間的な待遇を求めて指導者のもと団結し、サボタージュしストライキに踏み切る。漁期が終わって函館に帰港した時、それらをしたのは博光丸だけではなく、監督や雑夫長は漁期中にストライキのような不祥事を起こし損害を与えたとして首になる。

☆「一九二八・三・一五」・・2ヶ月に渡って500名以上の労働者や社会運動家が逮捕され、労働組合や労農党、無産青年同盟が解散させられた、3月15日のいわゆる共産党事件を扱い、小樽に於けるその事件の検挙を中心として、闘士達のそれぞれの長所も欠点も含めたタイプと生活が描かれる。発表した「戦旗」は、多くの削除や伏字を使ったものの発禁となるが、日本の特高警察の残虐を初めて徹底的に暴露・・著者は、自家の窮迫した境遇や、当時の深刻な不況から来る社会不安などの影響で労働運動への参加を始める。「一九二八年三月十五」の発表により、作品中の特別高等警察に因る拷問の描写が特高警察の憤激を買い、後に拷問死させられる引き金となった。享年29才。

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