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2010年5月22日 (土)

本148・・フィッツジェラルド短編集

フィッツジェラルド短編集・・フランシス・スコット・フィッツジェラルド著

41fiyah6ngl__sl500_aa300_人生は崩壊の過程である・・フィッツジェラルド

☆「氷の宮殿」・・南部の19才の少女サリーと、彼女を囲む若者達の会話や動き、それを包むジョージア州の最南端の町タールトンの気だるい佇まい。南部生まれの南部育ちで南部と一体化しているような娘が、その歴史まで含めて愛しながらも、彼女の中のエネルギーが彼女をこの地に安住させない。彼女を駆って北部のハリーとの結婚を考えさせるまでに至るが、ハリーの地への訪問での北部体験(祭りの迷路で凍えそうになったり、自分とは違う地の人達の人間性)を経て、南部の生活に戻る。

☆「冬の夢」・・才能あるデクスターが、キャディーをしていたゴルフ場で富豪の家の小娘と出会うが、彼女は気ままに彼の前に現れたり去ったりする。仕事や恋に打ち込みながらも淡々と溺れない彼は、煌く物や人との接触が欲しかったのではなく、煌く物そのものが欲しかった。そして自身も、煌く物を持った人間にと。時が移り、その夢の喪失を、痛み悲しむ力すら無くなっている自分を省みながら、摩天楼の向こうに沈む太陽が彩る大都会のスカイラインを眺めやる。

☆「バビロン再訪」・・バビロンとは、古代バビロニアの首都であり、ここでは主人公チャーリーが、かつてバブルに浮かれ放埓の限りを尽くした歓楽の都パリを指す。大恐慌後、妻を亡くし自身はアル中の療養中であったため、娘が亡き妻の姉夫婦のもとにおり、再起した今娘と共に暮らすべく奔走するが、まだ信用が得られない。そのパリに、静かな悔恨と不屈の魂で佇む彼の熱い思いと、人間の品性の価値が描かれる。

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