« 2010年4月 | トップページ | 2010年6月 »

2010年5月

2010年5月27日 (木)

本149・・犯罪文学傑作選

犯罪文学傑作選・・エラリー・クイーン編

51wg6k8j95l__sl500_aa300_☆「園遊会まえ」W・サマセット・モーム著・・ある日の園遊会を前にして、娘の夫の実際の死の経緯が明かされる。アル中の精神錯乱で自殺と発表されたが、事実は発見者の娘が夫の酒に耐え切れず殺していた。聞かされた家族は一様に動揺するが、体裁を繕うため園遊会に出掛ける。

☆「シャ・キ・ペーシュ亭の殺人」エドナ・セント・ヴィンセント・ミレー著・・レストランの店主の男。近頃はめったに客が来ない。ある日、客に提供するため名前をつけていたウナギを捌いたことで、男と駆け落ちしていなくなった妻を、実は自分が川のボートで溺死させたのを思い出し、錯乱が始まる。

☆「モナ・リザの微笑」オールダス・ハックレー著・・病弱な妻を持つ男には、若い恋人や話せる年上の女友達もいる。女友達が彼の家に招かれた後、彼は出掛けるが戻ると妻が死んでいた。その後若い恋人と結婚したことで、嫉妬した女友達が彼を妻殺し(毒殺)で告発。新しい妻までが彼を疑い、裁判は不利に進行。元の妻の罹りつけの医師が、女友達の罪を見抜き彼女も認める。

☆「評決」フランク・スウィナトン著・・才能ある女優だった女の弁護士である夫が、彼の妾だった金持ちの老婆殺しで逮捕される。献身的に毎回法廷に現れる彼女を見て、陪審員達が夫を無罪に。夫は東洋に出奔し、彼女は姿を消す。女が女優に復帰しようとした矢先、夫が戻ることを知り衝動的に川に車で突っ込む。一番身近にいた友人は、裁判の評決が下った時の、何故か呆然として絶望的に驚愕した女の表情を思い出していた。

☆「アン・エリザベスの死」ファニー・ハースト著・・40才の妻が妊娠し、高齢初産のためか、妊娠中に少しずつ妄想が高じ狂気の片鱗を見せるが、誰からも守り抜いて欲しいと夫に訴え、出産と引き換えに死ぬ。娘が17才になり結婚したいと言い出された父は、手元に置いて娘を守るため反対する矢先、母と同じような娘の狂気を知り、自殺した娘の裁判で、苦悩の内に娘殺しで服罪すると発言する。

☆「修道士」ウィリアム・フォークナー著・・不幸な生い立ちの、先天的な白痴の男が殺人の罪を問われ、少壮気鋭の検事と素人同然の弁護士のもと終身刑となり服役。5年後に濡れ衣に因る無実と判り赦免されるものの、刑務所の生活に馴染み、所長を慕っていた男はこれを拒否。その1週間後に所長を射殺し、間も無く絞首台の露に・・同房にいた囚人に誑かされ、「自由の天地を耕すため」の名の下、自由を奪い鍵で囲っている所長を殺すに至った。

| | コメント (0)

2010年5月24日 (月)

映画105・・アメリ

アメリ(2001・フランス)

128335351115416128724_amelie監督・ジャン・ピエール・ジュネ、出演・オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ・・

経質な母親と冷淡な元軍医の父親を持つアメリ(トトゥ)。母親を事故で亡くし(空から自殺者が降って激突)、孤独の中で想像力は豊かだが周囲と満足にコミュニケーションが取れない不器用な少女。古いアパートで一人暮らしながらモンマルトルのカフェで働く彼女は、ある日バスルームのタイルの中から箱を発見、中にあった子供の宝物を持ち主に返そうと探偵の真似事をして前の住人を探し、成長した元住人ブルトドーに辿り着く。箱を返し喜ばれたことで、彼女は「人を幸せにすること」を趣味に。父親の庭の人形を盗んで世界旅行をさせ、返らない手紙の返事を捏造したり、家宅侵入して意地悪な人を懲らしめたり、小さな悪戯や犯罪すれすれの方法で人々を幸せな気分にしほくそ笑むアメリだが、彼女に関心を持つ人物は現れない。ある日、近くのポルノショップの店員で、スピード写真のボックス下に捨てられた他人の証明写真を収集する趣味を持つニノ(カソヴィッツ)に出会う。そのコレクションアルバムを拾った彼女は、返すことで彼に近付こうと悪戯を仕掛けるうちにニノに恋を。内気なアメリは恋に正面から向き合えず、かくれんぼのような駆け引きが続くが、ニノの前に出られない彼女を、想像上の友人である部屋の置物達や、アパートの同居人で贋作家である老人等が、思い切ってぶつかっても自分が砕けたりしないと諭す。ニノはアルバムに入っていたメッセージの送り主の写真を頼りにアメリを探し回り、彼女の撒いたヒントを辿りアメリのアパートへ。他人と向き合えなかった彼女は遂にドアを開け、ニノの腕の中に飛び込む。

| | コメント (2)

2010年5月22日 (土)

本148・・フィッツジェラルド短編集

フィッツジェラルド短編集・・フランシス・スコット・フィッツジェラルド著

41fiyah6ngl__sl500_aa300_人生は崩壊の過程である・・フィッツジェラルド

☆「氷の宮殿」・・南部の19才の少女サリーと、彼女を囲む若者達の会話や動き、それを包むジョージア州の最南端の町タールトンの気だるい佇まい。南部生まれの南部育ちで南部と一体化しているような娘が、その歴史まで含めて愛しながらも、彼女の中のエネルギーが彼女をこの地に安住させない。彼女を駆って北部のハリーとの結婚を考えさせるまでに至るが、ハリーの地への訪問での北部体験(祭りの迷路で凍えそうになったり、自分とは違う地の人達の人間性)を経て、南部の生活に戻る。

☆「冬の夢」・・才能あるデクスターが、キャディーをしていたゴルフ場で富豪の家の小娘と出会うが、彼女は気ままに彼の前に現れたり去ったりする。仕事や恋に打ち込みながらも淡々と溺れない彼は、煌く物や人との接触が欲しかったのではなく、煌く物そのものが欲しかった。そして自身も、煌く物を持った人間にと。時が移り、その夢の喪失を、痛み悲しむ力すら無くなっている自分を省みながら、摩天楼の向こうに沈む太陽が彩る大都会のスカイラインを眺めやる。

☆「バビロン再訪」・・バビロンとは、古代バビロニアの首都であり、ここでは主人公チャーリーが、かつてバブルに浮かれ放埓の限りを尽くした歓楽の都パリを指す。大恐慌後、妻を亡くし自身はアル中の療養中であったため、娘が亡き妻の姉夫婦のもとにおり、再起した今娘と共に暮らすべく奔走するが、まだ信用が得られない。そのパリに、静かな悔恨と不屈の魂で佇む彼の熱い思いと、人間の品性の価値が描かれる。

| | コメント (0)

2010年5月12日 (水)

本147・・アルルの女

アルルの女・・アルフォンス・ドーデー著

D4582南仏カマルグを背景として、農家の青年の都会の女に対する激しい恋、子を思う母親の痛ましい愛、いじらしい乙女の純情、老人達の慎ましい情熱などが、田園哀歌として描かれる戯曲。因みに、アルルの女は一度も登場しない。

平穏な農村で育った青年フレデリが、アルルの女を知り夢中になるが、彼女は男達と気紛れに遊ぶ身持ちの悪い女だと判る。気落ちの激しいフレデリを周囲が心配して幼馴染みのヴィヴェットと娶わせようとし、次第にフレデリもアルルの女を忘れてヴィヴェットと結婚しようとする。そんな時、アルルの女の今の情人が誰かを知り、再び彼女の噂話を聞いたことで、いくら軽蔑しても彼女を思い切れない遣り切れなさに窓から飛び降り自殺する。

| | コメント (0)

2010年5月11日 (火)

映画104・・ミスティック・リバー

ミスティック・リバー(2003・アメリカ)

10144118769原作・デニス・ルヘイン、監督・クリント・イーストウッド、出演・ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコン・・

ボストンの貧困地区。路上でジミー、デイブ、ショーンの3人組がボール遊びに興じる。ボールが排水溝に落ち歩道に落書きをした時、不審な車が少年達の傍に停まる。警官を名乗る2人連れ、3人の内からデイブだけ(家に送り親に報告)を車に乗せ走り去る。4日後、デイブは暴行を受け無残な姿で発見。

25年後、同地区で殺人事件。被害者はジミー(ペン)の娘ケイティー。捜査の担当は刑事となったショーン(ベーコン)。当夜、ケイティーは友人達と飲みに行き、その後行方不明に。死体の発見。翌日駆け落ちする筈だった恋人はジミーから疎まれていた。その夜不審な怪我をして帰ったデイブ(ロビンス)の名も捜査線上に。ジミーとケイティーの恋人の父親はその昔強盗仲間で、裏切りでジミーが出所後相手を殺し(以来、遺族に送金し続ける)、その後は娘のために更正。デイブは昔の後遺症で少年愛の男を加重暴行で殺したのだが、ジミーの詰問に混乱して白状し、殺されて河へ。ショーン達は、ケイティー事件を通報した少年2人(ケイティーの恋人の聾唖の弟とその友人)を発見し逮捕に至る(銃を弄び誤撃)が、時既に遅く、ショーンがジミーにまた遺族に送金するのか、と。

幼馴染みだった3人の男。彼等の心に渦巻く家族への愛憎、日常への苛立ち、癒せぬ過去。その均衡が崩れた時、人間は如何に愚かな存在となるものか。ミステリーの真相は彼等の心の内に・・

| | コメント (0)

2010年5月10日 (月)

本146・・ボヴァリー夫人

ボヴァリー夫人・・ギュスターヴ・フローベール著

208501田舎の平凡な結婚生活に倦んだ若い女主人公エマが、不倫と虚栄に因る借金の末に追い詰められ自殺するまでを描く。

内気な田舎の少年シャルル・ボヴァリーは、真面目で中程度の成績だが親の希望で医学校に進み、トストの開業医に。彼は両親の勧めで、持参金のある45歳の未亡人と結婚するが、彼女は嫉妬深く、自分の資産について嘘を付いたと判明、舅と姑に糾弾され、心労で喀血し急逝。シャルルは、以前骨折を直した親切な農夫の娘エマに惹かれて求婚し、田舎風の結婚式で新たな生活を。

エマは夢見勝ちな女で、物語を読みロマンティックな空想に浸るのが好きだった。実家の田舎暮らしに飽き結婚したが、この結婚生活にも、恋の情熱も湧き立つような幸福も見出せないことに幻滅、平凡な家庭や凡庸な夫が嫌になり、都会の社交生活に加われない自分を不幸だと考え出す。転地での新しい生活や出産にもエマの気は紛れず、書記のレオンに惹かれるが、互いに言い出せず進展無く、レオンは勉強でパリへ。資産家のロドルフが診療の付き添いで訪ねて来る。エマに目を付けたロドルフは、村の祭りでエマに迫る。エマはロドルフの世慣れた態度に惹かれ、誘われた乗馬に行き森の中で関係を持つ。虚栄心の強いエマは、商人ルウルーの甘言で贅沢品をツケで買い出す。エマはロドルフに溺れ駆け落ちを迫るが、自分の生活を捨てる気のないロドルフは、エマに別れの手紙を書き姿を消す。エマはヒステリックになり、夫と観劇に出掛け、レオンと3年振りに再会。2人は情熱を復活、エマは毎週レオンに会いに。

贅沢品の借金が膨らみ、エマは夫に内緒で夫の地所を売るが、裁判所から差し押さえの通知が。金策に奔走し、レオンやロドルフにまで助けを求めるが叶えられず、全てから逃げ出すように薬剤師の家に忍び込み砒素を飲む。最後の瞬間、彼女の人生を嘲るように乞食の歌う卑猥な歌が。エマは狂ったように笑い息絶える。

多額の借金を残されたシャルルは悲しみの中にいたが、ある日エマの机から不貞の証拠となる数多の手紙や写真を発見。葬式後、シャルルは庭先でエマの遺髪を握りしめ頓死、娘ベルタは遠い親戚に引き取られた後、工場へ働きに出される。

| | コメント (0)

2010年5月 7日 (金)

本145・・パリの憂愁

パリの憂愁・・シャルル・ボードレール著

51iujwscu6l__sl500_aa300_晩年のボードレールが、年老いた香具師や寡婦たち、群集や狂人、貧乏人たちを、また永久に変わることのない、蟻のように人の群れる都会であるパリの風物を歌った散文詩50編からなる。

| | コメント (0)

2010年5月 5日 (水)

映画103・・戦場の小さな天使たち

戦場の小さな天使たち(1987・イギリス)

8681c62b7e監督・ジョン・ブアマン、出演・セバスチャン・ライス・エドワーズ、サラ・マイルズ、デイヴィッド・ヘイマン・・

1939年9月、イギリス首相チェンバレンは第二次世界大戦の勃発を告げる。ロンドン郊外に住む少年ビル(エドワーズ)にも戦争は徐々に身近なものに。父(ヘイマン)は出征し、母(マイルズ)はビルと妹のスーを疎開させようとするが、駅で子供達を手放せず手許に置くことに。ドイツ軍の爆撃が始まり、ビルの町の家は次々に焼けるが、その焼跡は恰好の遊び場に、ビルの姉のドーンとカナダ兵ブルースとの逢引きの場所にも。雪の日、父が休暇で帰って来る。久し振りに皆が揃い楽しい時を過ごすが、やがて父もブルースも戦場に戻る。ある日、ビル達がピクニックに行っている間に家が火事で焼け、一家は揃って田舎のおじいちゃんの家に。ビルは森の中を駆け回ったり、クリケットや魚釣りをしたりと楽しい時を過す。ブルースが田舎の家に現われ、続いて父も帰って来る。ブルースは親戚達から祝福されドーンと結婚し、やがて赤ちゃんも生まれる。ビルには、また学校に行かなければならない季節が。だが、祖父に連れられて行くと学校も爆撃で焼けていた。ビルは再び田舎の美しい自然の中の生活へと還る。

| | コメント (0)

2010年5月 4日 (火)

本144・・病は気から

病は気から・・モリエール著

51a5ylnmajl__sl500_aa300_医者や薬剤師に食いものにされ、自分は重病だと固く信じ込んでいる男。若い後妻は、財産を手に入れようと夫の死を指折り数え待っている。娘のアンジェリックには恋する相手がいるが、父親は自身のために医者に嫁がせようとする。弟が男に、健康だから薬の副作用も無く元気でいられるなどと言ってもまるで聞く耳を持たない始末。弟と娘を思うお手伝いが一芝居打つことにし、男が死んだことにして様子を見ると、信じていた妻は財産確保に奔走すべくせいせいしたと言い放ち、言うことを聞かねば尼寺へと思っていた娘の優しさを再確認。ここぞとばかりに弟とお手伝いが、とんとん拍子にアンジェリックの結婚へと奮闘し、円く収まる。

| | コメント (0)

2010年5月 3日 (月)

本143・・アンネの童話

アンネの童話・・アンネ・フランク著

4167114046原題「アンネ・フランクの隠れ家からの物語集」

アンネの2年余りに渡った隠れ家生活で、日記の他に30編集められており、その内16編はエッセイ。14編の童話は、アンネが幼い子供たちを楽しませるためというより、アンネの中にいるもう一人のアンネに向かって夢や願望を語っているよう。エッセイでは、作家やジャーナリスト志望のアンネが日常考えていること、感じていることを理路整然と述べ、過ぎ去った平和で長閑な頃の愉快な思い出を生き生きと描く。

ドイツ系ユダヤ人だったアンネは、アムステルダムで密告に因り連行され、収容所でチフスに罹り15年の生涯を終える。

| | コメント (0)

2010年5月 2日 (日)

機織り・・その38

091105_36_005_25枚で3セット(+無地1本)その6の③

鶴羽の図形化したもの。

| | コメント (2)

2010年5月 1日 (土)

映画102・・耳に残るは君の歌声

耳に残るは君の歌声(2000・英、仏)

B1d9ce7da1_2監督・サリー・ポッター、出演・クローディア・ランダー・デューク、オレグ・ヤンコフスキー、クリスティーナ・リッチ、ケイト・ブランシェット、ジョニー・デップ・・

ロシアからアメリカへと出稼ぎに旅立った父親の影を追い、海を渡る少女の成長と苦難を描く。

1927年、ロシア。ユダヤ人の少女フィゲレ(デューク)は、母を亡くし、アメリカに出稼ぎに行った父親(ヤンコフスキー)と離れ、村を襲った暴動から逃れるため祖母とも別れロンドンへ。スージーと名付けられ、過去を封印された彼女を支えたのは、教会歌手だった父が歌ってくれた子守唄。10年後、スージー(リッチ)はロシア人ダンサーのローラ(ブランシェット)と知り合い、父探しの旅費稼ぎのためコーラス・ガールとしてパリで働くことに。アリアの名手イタリア人オペラ歌手ダンテの美声に惹かれるが、ローラの恋人である彼の人間性に失望する彼女は、やがてジプシーの青年チェーザー(デップ)と恋に落ちる。ナチスによる第二次大戦の影がパリにも迫り、ダンテにユダヤ人だと暴かれる。スージーはチェーザーと別れの夜を過ごし、ダンテと別れたローラと共にニューヨーク行きの船に。その船がドイツ軍の攻撃により撃沈。スージーは救かるがローラは死亡。ニューヨークで再び独りになったスージーは、父を探してハリウッドまで辿り着く・・そして遂に、自分が発ったのち母と娘の暮らす村が焼き討ちに遭ったことで神への信仰を捨て、成功はしたが瀕死の老人となっていた父と再会を果たす。

| | コメント (0)

« 2010年4月 | トップページ | 2010年6月 »