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2010年6月10日 (木)

本151・・ザ・ロンリー

ザ・ロンリー・・ポール・ギャリコ著

28371924第二次世界大戦の最中。学業半ばにして実戦に駆り出され、軍隊という「チーム」の一員として、命懸けの「ゲーム」を否応なしに繰り返す、ロンリー(孤独)な若者達。彼等は、年端も行かぬうちから生死の間を往き来し、この世の地獄を見せ付けられる。言葉の真の意味でのロンリネスをかくも象徴的な形で味わわされた以上、彼らは最早、再び故郷の安逸に溶け込むことも許されない・・そんな彼等の一員であるジェリーは23才。アメリカ生まれで育ちが良く、故郷に婚約者キャサリンのいる彼は、ロンドンの空軍に所属して2年になるが、今や戦争の凄まじい恐怖と不安に心が酷く傷つき、医官から飛行任務を外され2週間の静養を命じられる。酒で不安を誤魔化していたジェリーだったが、英国空軍婦人部隊の女友達パッヂスを誘い一緒に休暇を取る。様々な経験をしながら二人でスコットランドを旅するうちに、ジェリーはパッヂスがありのままの自分を受け入れてくれる存在であることに気付くが、もうすぐアメリカに帰還しそこでの生活が待っているため、彼女の休暇の終りと共に別れ、独りホテルに戻るが、パッヂスの不在に改めて自分の彼女への思いを知る。その夜たまたま航空輸送部の友人に出会い、ジェリーはとんぼ返りで故郷に帰ることになり、それを機会にキャサリンに打ち明けて婚約を解消しようとするが、彼女を見かけても声を掛けられず両親には嘆かれる始末。誰も傷付けられず、任務に戻ろうと傷心の思いでロンドンに戻るが、暗い雨の夜中、心と身体の調和が失われ現実と幻想の区別が付かず、暗い深淵に取り込まれ彷徨い歩く。そんな時、灯火管制で暗い町のバス停の淡い灯りの中にパッヂスの姿を見出し、ジュリーに現実感が蘇えり、彼女の名を叫びながら駆け寄って行く・・ありのままの自分を見詰め、怯むことも打ち消すこともせず、真実に直面出来るようになってこそ人は大人になる。唯一彼の孤独な魂を癒してくれるパッヂスを得たことで、ジュリーは自分が背負うべき重荷や、苦痛を与える相手への罪の意識からの解放は無いこと、人生は無慈悲で、許される過ちはあっても弱さは決して許されないことなどを自覚する。

著者は「ポセイドン・アドベンチャアー」の作者でもある。

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