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2010年8月 5日 (木)

本161・・なしくずしの死

なしくずしの死・・ルイ=フェルディナン・セリーヌ著

519w4gpn0yl__sl500_aa300_命の無い「書き言葉」によって「話し言葉」の躍動感を再現するために文法無視で世俗的にし、テーマは自分が巻き込まれた歴史の現場で必要に応じて置き換えを生す。セリーヌの見た現実とは、戦争や貧困、病や不幸ゆえの憎しみ、それら全ての根底にあり常に存在する世界の悪の意志。

その絶望と怒りの底には、声無き弱者への慈しみも宿り、「生来負債として負わされている死を、なし崩し的に支払っていくしかない」と謳う、狂墳と哀しみとユーモアに彩られる。

当時の西欧では特別な存在ではなかったが、セリーヌは人種主義者の本性を顕しユダヤ的なるものを世界の病根であると見た。人種主義は、あらゆる邪悪と共に人の心に巣食う治癒不能な病で、現在に於いても理性ではその顕現を認めず差別と闘うが、それは何よりも己の内なる病との闘いであり抑圧の解放に他ならない、と。

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