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2011年1月

2011年1月29日 (土)

本175・・骨董屋

骨董屋・・チャールズ・ディケンズ著

978448002341419世紀、イギリス産業革命の激動の時代を背景に、祖父に引き取られた純真無垢な少女ネルの辿る薄幸の短い生涯を描く。

骨董屋を営んでいたトレント老人は、ネル可愛さの余り一攫千金を夢見て賭博に手を出し破産。ネルと老人は、高利貸クウィルプに差し押さえられた骨董屋を後にし、二人は当てのない乞食同然の旅に出る。それほど困っていなかった境遇から、一挙に転落して行く老人と孫娘の不幸。賭博に魂を奪われてしまった老人は最早生きる希望も持てず、僅かな金が手に入ると狂ったように賭博場へ向かう。ネルが必死の思いで隠していた最後の金さえ盗み出すといった狂いようで、そこには普段孫娘に見せる優しさなど微塵も無い。ネルのためと埒も無い言い訳をし、賭博に因って曇ってしまった彼の目には、その苦しむ姿も、それによって自分達がいっそう苦境に陥るということも見えない。終いには世話になった人の金に手を出そうとする始末で、それを避けようとネルは心身共に辛い自分に鞭打って、老人との貧しく苦しい旅を魂の遍歴の旅に擬して心の安らぎを得ようとする。ネルの心がそれほどまでに清らかで尊いのに対し、老人はどこまでも俗世界の塵にまみれ金の束縛から逃れることが出来ず、ネルに何もかも頼りっぱなし。自分の手で可愛い孫娘の首を絞め、命をすり減らしていることに全く気付かない。その頃、元使用人で幼馴染みのキットは、クウィルプに謀られ泥棒として訴えられどん底に落ちるが、辛くも無実を晴らすことが出来、クウィルプは逮捕寸前に誤って溺死。ネルと老人はあちこちで人の善意に守られて寂れた教会に辿り着くが、やっとキットや老人の弟が二人の居場所に辿り着いた時、既にネルは息を引き取っていた・・ネルの死は、飽きることを知らない利潤追求の資本主義と、金に取り付かれた利己主義に踏みにじられていく人間的な価値の象徴となっている。         

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2011年1月27日 (木)

絵画106・・ジョージ・W・ジョイ

ジョージ・W・ジョイ(1844~1925)

アイルランド画家。ロンドンのサウスケンジントンスクール、Rアカデミーでワッツに、パリでL・ボナ等に学ぶ。1872~1914年、Rアカデミーやパリサロンに展示。

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2011年1月25日 (火)

絵画105・・ヘインズ・キング

ヘインズ・キング(1831~1904)

バルバドス生まれのフランス画家。23才でロンドンへ。1854年リーアカデミーで学び、60年からRアカデミー出展。64年王立協会メンバー、トーマス・ファエドの影響。

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2011年1月23日 (日)

絵画104・・P・シャヴァンヌ

P・シャヴァンヌ(1824~1898)

象徴主義・フランス画家。ドラクロワやT・クチュールに師事。題材は文学・神話、静けさと詩的・夢幻的。パンテオンやソルボンヌ大学の壁画を始め、フランス各地に大画面の記念碑的作品を残す。

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2011年1月22日 (土)

本174・・恐怖夜話

恐怖夜話・・ガストン・ルルー著

51s9g3nsil__sl500_aa300_★「金の斧」・・湖畔の小さな村。逗留客5~6名。黒ベールの老婦人のピアノ演奏のお礼に、出立前に小さな金の斧のブローチを。それを湖に投げ込んだ老婦人の話。誠実な男と結婚したが、その父亡き後様子が変わり、後を継いだ夫が商用で出掛けた晩不穏な会話を聞く。その頃近所の男が殺され、夫を疑い出す。犯人の処刑が行われる日、夫が出張し自首したものと思うが、裁判所へ駆けつけると処刑は行われ、生首をぶら下げた男が夫であった。親戚に身を寄せた2ヵ月後、妻宛の遺書を残し夫は自殺・・処刑人の子は世間から相手にされないため処刑人にしかなれず、どうしても打ち明けられなかった、と。

★「胸像たちの晩餐」・・4人の船乗りがあるカフェテラスで奇談・怪談を語り合う。その一人ミシェル船長が片腕を失くした話。ある村の別荘にいた時、空き家の筈の向かいの家で物音がし、美しい女が見えない客達を来年を約し送り出す。翌年また別荘へ行くと、向かいの主は知り合いの元海兵大佐と判り、その妻の反対をよそに訪ねると、手足の無い大佐に歓迎され車椅子の男達が集まって来る。彼等はある貨客船の遭難にあった仲間。餓死寸前で、くじ引きで一人の娘の身代わりになったのが大佐で、彼女は後に妻に。彼女は五体満足で皆の世話をし、医者は両手のみ残っていた。人間の味を覚えてしまった彼等は、1年に1度人を殺し晩餐に供していた。事実を知った船長は襲われ片腕を失くし、皆は逃げるが、4日後に発見された船長が言う。浅ましい連中は私に骨さえ残してくれなかった、と。

★「ビロードの首飾りの女」・・4人の船乗りの内の元外洋艦長・ゴベールの話。役場の書記が話す(コルシカの港町であった宴会での話)。コルシカの女は美しいが、飛び抜けた「ビロードの首飾りの女」がいると。その女が男連れで現れるが、ギリシャ彫刻の亡霊の様。彼女はギロチンに掛けられたのでビロードを取ると首が落ちると。女は、書記の上司の信用ある商人で町長でもあった男の妻であり、そこの職人と不倫。それに気付いた町長が、年に1度の祭りの催しで、妻の望み通りマリー・アントワネットを演じさせることにし、本物のギロチンに掛けてしまう。古い刃が上手く働かず首が落ちるまでは行かなかったが、町長は失踪し、数週間後に首にビロードをして現れた妻は不倫相手と再婚。10数年後、再びその地を訪れたゴベールは書記から後日談を聞く。不倫相手が町長になりそうな時、町長が現れ元妻を殺し、その首を完全に切り落とした。不倫相手は妻の生首と共に元町長を追う旅に。ヴェンデッタ(コルシカ流の復讐で、当事者一同が死ぬまで終わらない)。

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2011年1月21日 (金)

絵画103・・T・シャセリオー

T・シャセリオー(1819~1856)

ロマン主義・フランス画家。1821年パリでスケッチの才能を見せ、30年アングルのアトリエで愛弟子に。師のイタリアへの留守中ドラクロワのロマン主義に傾き、36年サロンに初出品しアングルとの師弟関終了。その後アルジェリアの影響でオリエンタリズム。37才の若さで病死、シャヴァンヌやモロー、後のマティスやゴーギャンにも深く影響。

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2011年1月18日 (火)

絵画102・・トーマス・ファエド

トーマス・ファエド(1826~1900)

スコットランド画家。1849年スコティッシュアカデミーエディンバラ校でダンカンに、61年Rアカデミーで学ぶ。貧しい人々を描く。スコティッシュアカデミー、64年Rアカデミーメンバー。

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2011年1月17日 (月)

絵画101・・アンリ・シダネル

アンリ・シダネル(1862~1932)

モーリシャス出身の新印象派・フランス画家。パリでカバネルに師事、1894年からサロンや1900年万博に出展。原色を避けた落ちついた色調、夕暮れの詩情に独特の趣き。

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2011年1月15日 (土)

絵画100・・ルイ・ジャンモ

ルイ・ジャンモ(1814~1892)

ラファエル前派・フランス画家。1831年リヨンのボザールに学びゴールデンローレル賞。33年パリでアングル等の影響、36年サロンドパリで高評価、45年以降ボードレールの後ろ盾でサロン出展。教会のフレスコ画を描き、ボザール教授。

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2011年1月14日 (金)

本173・・ヴィヨンの妻・人間失格

ヴィヨンの妻・人間失格・・太宰治著

Neobk550931★「ヴィヨンの妻」・・元男爵の次男とされる帝大出の詩人・大谷。小金井の家はボロ家で、3人家族の家計はよく熱を出す育ち遅れの子供を医者に連れて行けない有様。大谷は数日も帰らないこともあり、ある時、入り浸っている中野駅の飲み屋から運転資金を盗み、追って来た経営者夫婦に辻褄の合わない言い訳を並べ逃げる。妻も金が入るから返すと嘘をつくが、その夜大谷が女連れで現れ金を返す。妻はそれ以前の借金の肩代わりにとその小料理屋で働き出すが、自分もある客と出来てしまう。翌朝店に行くと大谷がコップ酒を飲んでいて、新聞に人非人と書かれたが違うと言うと、人非人でもいいと妻は言う。詩人・矢野目源一がモデルとされ、「ヴィヨン」の云われは大谷がフランソワ・ヴィヨンについて論文を書いたというだけの繋がり。

★「人間失格」・・他人の前では面白可笑しく道化て見せ、本当の自分を曝け出せない男の人生(幼少期から青年期まで)をその男の視点で描く、自伝的小説。

①はしがき・・第三者の視点に依る、ある幼年時代や学生時代、奇怪な写真の感想。

②第一の手記・・恥の多い生涯を送って来ました、で始まり、まともに人と会話が出来ない自分は、人間に対する最後の求愛として道化を行うが、その本性は、女中や下男に犯されるという残酷な犯罪さえ語れず力なく笑っている人間で、結果的に欺きあう人間達に対する難解さの果てに孤独を選んだ、とする。

③第二の手記・・中学校時代、自分の正体を隠蔽し得たと思った矢先、竹一という白痴のような少年に「ワザと」失敗したと見破られ、発狂しそうな恐怖を覚える。東京の高校時代、画塾で知り合った年長の与太者・堀木にたかられ酒や煙草、淫売婦を覚え、堀木自身は興味も無い共産主義の会合に連れて行かれ、信奉者ではないがその非合法が逆に居心地よく、参加を続けるが忙しくなるに連れ気持ちが離れ、果ては人妻との情死事件を起こし自分は助かってしまう。

④第三の手記・・父の子飼いだったケチな渋田に引き受けられるが、逃げ出し堀木のもとを訪ねて邪険にされ、漫画家として売れ始めるとまたぞろ近付かれる。最後に求めた無垢な女性が出入りの商人に犯されても咎めも出来ず、堀木には罪人で死に損ないと見られ抗議も出来ず、絶望しアルコールを浴びるように呑み、ある晩、見付けた睡眠薬で発作的に再び自殺未遂。 その後は体が衰弱し更に酒を呑み、遂に喀血し薬屋で処方のモルヒネを使い中毒に罹る。実家に無心すると渋田と堀木が現れ、脳病院に入れられ狂人としてのレッテルに「人間、失格」と確信。父亡き後苦悩する能力さえ失い、故郷に引き取られるが27才にして廃人同然で、不幸も幸福も無く一切は過ぎて行く、という自覚の自白で終わる。

⑤あとがき・・第三者の視点に戻り、友人を訪ねた千葉の喫茶店のマダムから、葉蔵が送ってきた古いノートと写真を借り、狂人の綴った手記を寝ずに読む。翌日マダムを訪ね、自分達の知っている葉ちゃんは素直な神様みたいな子だったと聞かされる。

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2011年1月13日 (木)

本172・・晩年

晩年・・太宰治著

519nckdkgwl__sl500_aa300_☆「逆行」の中の「決闘」・・遊び好きでケチな高校生である私。チマチマ貯めた5円を持って気取ったなりでカフェに飲みに行く。異国の役者に似ているとかでモテ始め、女級達の手相見で的中した勢いで隣の男のウィスキーを盗み飲み。冗談に取られず外でやりあうことになるが、頼みの女級達に止めても貰えず男にやり込められ、無様に溶けた雪の泥中に倒される。

☆「彼は昔の彼ならず」・・働きもせず持ち家を人に貸して暮らす男が、女にだらしなく風来坊のような男に貸したことで、家賃を払って貰えず相手のペースに巻き込まれて難儀するのだが、相手は自分と瓜二つ。

☆「玩具」・・贅沢好きの貧乏嫌いで、どうにかなる、なるだろうと、困れば臆面も無く実家に無心し果てはその土蔵の物を盗みなどし、その日暮らしをしている売れない小説家が、おのれの3才から0才までの想い出を叙述・・誰にも知られず、2才の冬に狂いそして治った。生後8ヶ月目に、ろうたけた祖母に抱かれていたが、祖母はそのまま死に見る間に皺だらけなって、その懐から耐え難い悪臭が這い出た、など。

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2011年1月10日 (月)

絵画99・・マリアンヌ・ストークス

マリアンヌ・ストークス(1855~1927)

英・ビクトリア朝のオーストリア画家。ミュンヘンで受賞、パリでJ・B・ルパージュの影響。1885年以降Rアカデミー等に展示、ニューリンスクールメンバー。風景画や中世の聖書を基に描き、王立水彩画協会教授。

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2011年1月 8日 (土)

絵画98・・E・フィレンツェ・ハリソン

E・フィレンツェ・ハリソン(1877~1955)

アールヌーヴォーのラファエル前派・イギリス画家。1877年からRアカデミー出展、イラストレーターとして出版社と契約、詩や絵本の挿絵を描く。

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2011年1月 4日 (火)

絵画97・・ダグラス・ヴォルク

ダグラス・ヴォルク(1856~1935)

オランダ系アメリカ画家。1873年からボザールでJ・L・ジェロームに師事、78年からパリサロン展示。79年からNYのクーパー研究所で教鞭、その後ミネアポリスアートスクールディレクター。1919年アメリカ8アーティストの一人。

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2011年1月 3日 (月)

絵画96・・T・クーパー・ゴッチ

T・クーパー・ゴッチ(1854~1931)

ラファエル前派・イギリス画家。アントワープのボザールとパリのJ=ポールローランスの後、ロンドンのスレイドスクールで学ぶ。1880年からアカデミー展示、91年イタリア訪問後、宗教・歴史がモチーフ。1913年からRブリティッシュコロニアル学会長。

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2011年1月 2日 (日)

絵画95・・オズワルド・アッヘンバッハ

オズワルド・アッヘンバッハ(1827~1905)

ドイツ画家。ナポリ湾やローマ、アルプスの風景を描き、1863年から地元で絵画教授。ドイツ現代アートの重鎮で「ナポリ湾の花火」や「古代ローマ遺跡のある風景」等。

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