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2011年3月25日 (金)

本179・・蝮のからみあい

からみあい・・フランソワ・モーリヤック著

71wyoidxtdl__sl500_aa300_タイトルは、どうにもならない精神的な葛藤を表す。冷血貪汚、我執に強く、復讐の妄念に憑かれた男。

新婚早々から妻に愛されぬことを知り、所有欲と復讐心を持つに至った主人公。以後50年に渡って自らとその家族をも苦しめ続けた彼が、死を目前にして綴った回想録。醜悪ともいえる孤独な精神的偏執人物が、濾過されて到達した境地は・・肉親から敵視され、憎悪と吝嗇に蝕まれた心は醜いものではあるが、その惨めな生涯を通じて忌まわしい欲に囚われて身近な光を悟れない。男が愛したものは金ではなく、息子に半狂人とも呼ばれる彼は復讐の血に飢えていたのでもない。その愛の本当の目的とは、思いがけず妻に先立たれ、自らの死によって途切れている未完の告白に現れている。

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