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2011年5月

2011年5月30日 (月)

絵画121・・ルーク・フィルデス

ルーク・フィルデス(1843~1927)

イギリス画家。Rアカデミーの後、ワーリントンアートスクールで学ぶ。貧困や不正を描き、E・ミレイの紹介でディケンズ晩年作品の挿絵。ディケンズ亡き後の「救貧院緊急宿泊所の入所希望者たち」が一大センセイション。1887年アカデミーメンバー、1906年ナイト。

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2011年5月29日 (日)

本188・・大いなる遺産

大いなる遺産・・チャールズ・ディケンズ著

61076n97n4l__sl500_aa300__2クリスマス・イヴの晩、7才のピップは荒涼とした墓場で脱獄囚に出くわし脅され、足枷を切るためのヤスリと食料を家族に内緒で持って行く。その恐ろしい経験は記憶に深く刻み込まれるが、その出会いが彼の運命を大きく変える。数奇な人生を歩むピップの物語。

父母は既に無く、20才も年上の姉とその夫ジョーと貧しく暮らすピップ。手塩に掛けて育てているという鞭を持った気性の荒い姉に、ピップとジョーは当り散らされる毎日。鍛冶屋のジョーは気立てが優しく、いつもピップを気遣う。財産家のミス・ハヴィシャムは昔愛人に裏切られ、花嫁姿のまま何十年も締め切った部屋で暮らし、ピップと同年の美しい養女エステラがいる。ピップはミス・ハヴィシャムの家に遊びにやらされ、高慢なエステラに冷たくされる。そしてジョーの徒弟になった年、同じく徒弟だった怠け者のオーリックに、その言動に因って姉が襲われ重態に。4年後、謎の人物から莫大な遺産を相続したピップは、「紳士」になるためにロンドンへ。高名な弁護士ジャガーズが遺産の後見人となり、彼を介してミス・ハヴィシャムの従兄弟マシウ・ポケットの教育を受け、その息子ハーバートとは一緒に暮らし親友に。贅沢三昧の暮らしの中で、故郷での生活は過去のものとなり、生地への忘恩の徒となっていくピップ。彼が成年に達する前に姉が死ぬ。ミス・ハビシャムは、エステラを下劣なドラムルと結婚させる。時が流れ、様々な状況に合い複雑な胸中のピップのもとをある老人が訪れる。遺産をくれたのはその老人で、幼い時にピップが救けた囚人のマグウィッチであった。自分に遺産を残したのはミス・ハヴィシャムだと思っていたピップは、マグウィッチの存在を密かに嫌悪するが、ハーバートと相談し、捕まる危険を冒してピップのもとに来たマグウィッチを匿う。ミス・ハヴィシャムは自分の不幸な身の上に因り、エステラを育て間違えたことやピップに冷たかったことを後悔。ピップはジャガーズの家政婦(昔夫の愛人を殺してジャガーズによって無罪に)がエステラの母で、その元夫がマグウィッチであると知る。船でマグウィッチを外国に逃亡させる前夜、謎の人物から生地への呼び出しの手紙が来る。それはオーリックで、マグウィッチと囚人仲間だったコンペイソンがマグウィッチを追っていることやピップの姉を自分が襲ったことを告げ、ピップも殺そうとした。ハーバート等に救けられたピップはマグウィッチの逃亡を実行するが、コンペイソンと共に官警の追っ手に阻止され、争った弾みにコンペイソンは溺死、負傷したマグウィッチは捕らえられ死刑の判決が出る。彼への嫌悪が無くなったピップに世話をされたマグウィッチは、娘が生きていることを知り安らかに死刑執行の前に死ぬ。その後重い熱病に罹ったピップをジョーが看護し、二人は昔のような関係に戻るが、ピップが治くなると自分はもう必要ないと察したジョーは帰ってしまう。ジョーと、幼馴染で姉の世話をしてくれたビディーへの忘恩の懺悔をし、出来ればビディーとやり直そうと思って故郷を訪ねると、二人の結婚の日。ピップは変わらず正しく誠実な二人を祝福し別れ、外国で働くハーバートのもとで共に働き、借財を払い終え11年が経つ。ジョー等を訪ねたピップは、そこにピップと名付けられた自分に良く似た幼い少年を見る。マグウィッチが死んだ時期にミス・ハヴィシャムも死に、ピップはドラムルが死んで2年経つというエステラにミス・ハヴィシャムの地で再会。彼女は優しい女性になっており、二人は別れるがお互いの友情を確認する。

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2011年5月18日 (水)

本187・・デイヴィッド・コパフィールド

デイヴィッド・コパフィールド・・チャールズ・ディケンズ著

407david誕生前に父を失ったデイヴィッド。大伯母ベッツィ・トロットウッドは、生れて来るのが女の子だと信じ見舞いに来るが、男の子であったことに裏切りを感じ、家を出て行く。心優しい母と陽気で献身的な乳母ペゴティー等と幸せに暮らしていたが、冷酷な男マードストンに言葉巧みに言い寄られ、世間知らずな母は再婚してしまう。結婚後マードストンとその姉は我が物顔で家に居座り、ディビッドは厳しい寄宿学校へ入れられ(そこでスティアフォースに助けられる)、母は心身衰えて赤ん坊と共に死亡。デイヴィッドは、母の死後学校を辞めさせられ酒屋に小僧に出される。貧乏人ミコーバーのもとで暮らすが、ミコーバーが負債を払い切れず捕まり、デイヴィッドは大伯母に助けを求めるためロンドンまで乞食のような逃避行。

ロンドンで大伯母に保護されると、学校に行くためその友人である弁護士ウィックフィールドのもとで暮らす。ウィックフィールドの娘で理想的な女性のアグニス、不気味な書生ユライア・ヒープらと知り合う。学校を卒業するとかつての旧友スティアフォースに出会い、その後一緒に漁師であるペゴティーの兄のもとを訪れる。しかしスティアフォースはペゴティー家の姪でデイビッドの幼馴染エミリー(ペゴティー家の甥ハムと婚約したばかり)と駆け落ちし、皆の心に深い傷を残す。

デイヴィッドはスペンローの法律事務所で学び始めるが、その後そこの娘ドーラに一目惚れし密かに婚約。ところが大伯母が破産、さらにユライア・ヒープがウィックフィールドの事務所を乗っ取ろうとしていることが判明。スペンローが突如他界すると、デイヴィッドは速記を習得し報道記者として自立、ドーラと二人で暮らし始めるが、ドーラは幼稚で伴侶として不足していることに気付く。一方、事務所を乗っ取ったユライア・ヒープに対し、その秘書となっていたミコーバーはユライアの姦計を見事に暴き証拠として突きつける。ミスタ・ペゴティーはハムを地元に待たせ、エミリーを探す過酷な旅に出ていたが、数年後スティアフォースに捨てられたエミリーが見つかり、ミスタ・ペゴティーやミコーバーらと豪州へ。

病弱だったドーラは、病に罹ると間も無く死亡。デイヴィッドはヨーロッパ大陸旅行に出掛けることを計画するが、その出発前にスティアフォースとハムの死(ハムは嵐の中遭難船を助けに行って、スティアフォースはその遭難船で打ち上げられて)を知る。傷心のうちにヨーロッパを彷徨う中、デイヴィッドは自分の心はアグニスに惹かれていると自覚。大陸で作家として成功したデイヴィッドは、イギリスに戻りアグニスと結婚。その後出世したミコーバーの伝言を持ち、エミリーと落ち着いた静かな暮らしをしているミスタ・ペゴティーが、二人の元を訪れる。大団円。

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2011年5月16日 (月)

本186・・リトル・ドリット

リトル・ドリット・・チャールズ・ディケンズ著

61iympwwvjl__sl500_aa300_人は牢獄の子供・・とする著者が、19世紀の華やかなロンドンの裏に潜む悲惨な生活や社会の矛盾、不正のしわ寄せを背負い込まされる貧しい者や弱い者達の姿を描く。

中国帰りの資産家アーサー・クレナムは、母親の家でお針子として働く、か細い体付きで酷く怯えた若い女性リトル・ドリットに出会う。興味を持ったアーサーは、ある夜彼女を尾行しマーシャルシー監獄に入っていくのを見る。リトル・ドリットの父ウィリアムは、破産し長いこと債務者監獄暮らしを家族と共にしていた。アーサーは不憫なリトル・ドリットを何とか助け出せないものかと奔走し、その結果、ウィリアムが親戚からの莫大な遺産を得、25年の監獄生活から開放される。ウィリアムとその家族は、何人もの女中や従者を連れ果てない豪華な旅に出る。監獄暮らしを思い出させる暗い影を帯びたロンドンから、明るい陽光のイタリアへ。宮殿での宿泊、上流社会での晩餐会・・環境の変化に一人適応出来ないリトル・ドリットは、戸惑いや不安をアーサーへの手紙に託す。その後ウィリアムの急死で彼女はロンドンに戻る。愛するアーサーは破産をし、マーシャルシー監獄で後悔と熱病の中にいた。クレナム家の崩壊により、アーサーの家系に関するかねてからの疑念が明らかにされる(リトル・ドリットはアーサーの母の頼みでアーサーに未だ知らせず)。アーサーに献身的な愛を捧げるリトル・ドリット。ウィリアムに因りアーサーと同じ投資で資産を失くしたリトル・ドリットとアーサーは、アーサーの債務が解けたことで結ばれ、現実の喧騒と濁流の中に足を踏み出して行く。

★アーサー・・母により、愛無く自由な意思を拘束され、積極性の欠如と優柔不断になり、親の犯した罪(弱者への搾取)への不安と恐怖に囚われている。

★クレナム夫人・・冷たく強情な女で、結婚したアーサーの父(その叔父に因り、アーサーの性格と同じ)に女と子供がいることを知り、女から子供(アーサー)と財産を奪い幽閉し死に追いやる。叔父の遺言書の補足を故意に隠し、女やその世話をしたウィリアムの弟(リトル・ドリットの叔父)への遺産も全て我ものに。

★ウィリアム・・マーシャルシーに入ったばかりの頃はまだ人間らしい気概を持っていたが、その環境の汚れに見事に染まり堕落。自分は他の囚人とは違い紳士であり獄内の大先輩として、取り巻く現実を誤魔化し、周囲の人々に平然とたかり、リトル・ドリットの自己犠牲にも目を塞ぐ。出所するとアーサー等への恩も忘れ過去を切り捨てるが、昔の知り合いが現れた途端平静を失い、自ら過去を曝し死んで行く。

★リゴー(ブランドワ)・・単なる無教養な悪人ではなく、下卑てはいるが社会的な洗練を受けた紳士的悪人で、ラストは我欲のためとはいえクレナム家の秘密を暴く。

★リトル・ドリット・・母の死後、詰まらぬ見栄に狂奔する父とどうしようもなく俗物の兄・姉の世話をし、自身は影の中で目立たぬよう暮らすが自分の信じることには強く、恋ゆえに年の離れたアーサーをリード。

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2011年5月14日 (土)

本185・・アブサロム・アブサロム!

アブサロム・アブサロム!・・ウィリアム・フォークナー著

417xt07z99l__sl500_aa300__2サトペン家の興隆・崩壊と、南部の過去・現在の宿命的な交わりを描く。

ウェスト・ヴァージニア山間生まれの、大家族の流れ者である貧乏白人の主人公トマス・サトペン。少年時代に受けた屈辱(父の言い付けである地主の元を訪ねたが、正装した黒んぼの執事に裏口へ回れと言われる)に因り家族の下を去る。南部で人間として認められるには、土地と黒人と立派な家を所有しなければならないと思い知らされたサトペンは、その野望の達成に向けて邁進するが、最初の妻に黒人の血が混じっていることを後で知った彼は妻と子(チャールズ)を捨てる。2年後ミシシッピ州に現れ、先住民を騙して広い土地を手に入れ大きな家を建てる。この間黒人奴隷との間に娘クライティが生まれる。4年後エレン(地元で信頼される商人の娘。年の離れた妹がローザ)と結婚し、ヘンリーとジューディスが生まれる。サトペン農場の廃屋に住み着いて使用人となったジョーンズとその娘。ヘンリーとチャールズがミシシッピ大学で知り合い(チャールズの母の弁護士の企み)、ヘンリーは年上のチャールズに憧れる。チャールズにはニュー・オリンズに混血女との息子がいる。エレンの画策でチャールズとジューディスが婚約状態に。チャールズが自分の息子と気付いたサトペンが二人の婚約を禁じ、3人共出征。エレンとその父死ぬ。流れに任せるチャールズを帰郷時ヘンリーが射殺。ローザがサトペン領地に移り、サトペンがローザと婚約するが、息子が出来たら入籍すると侮辱し、ローザは元の家に戻る。サトペンはジョーンズの孫娘に子を産ませるが、女だったため再び侮辱しジョーンズに殺される。クライティがチャールズの息子を領地に連れて来ると、やがてその息子が黒人女と共に住み着き、知恵遅れのジム・ボンドが生まれる。ジューディスとチャールズの息子が死ぬ。25年後、ローザとストーリー・テラーのクェンティンが、領地の廃屋でヘンリーを発見。ローザがヘンリーを町へ連れ出そうとすると、クライティが家に放火。

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