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2011年6月19日 (日)

本192・・はつ恋

はつ恋・・イワン・ツルゲーネフ著

51wav7bhlkl__sl500_aa300_中年となった独身の主人公が、ある日客に呼ばれた家で自身のはつ恋について語る。

モスクワで両親と暮らす16才のヴラジーミルは、大学への入学準備。父は母より10才も若く、気取り屋の美男子で財産を目当てに結婚。一人っ子なのに両親共に子に構わない。その夏、別荘として借りた地主屋敷に滞在。敷地内の古びた離れ屋に、零落した公爵夫人が21才の娘ジナイーダと移り住む。夫人は年中訴訟騒ぎを起こす俗人で、ジナイーダはいつも男たちの取り巻きと過ごす美しく気まぐれなコケット。彼女に一目惚れしたヴラジーミルは、取り巻きの一人に。「自分が見下さなければならないような男には興味が無い。興味があるのは自分を服従させる人だけ」と彼女。そのうちジナイーダが青ざめて塞ぎ込み、遊びにも熱が入らないのを見て、ヴラジーミルは彼女が誰かと恋に落ちたと直感。男達の一人に唆され、ある夜見張っていると彼女のもとに忍んで行ったのは父。唆した男の手紙でその不倫が母にバレ、モスクワへ戻る。その後のある日、乗馬に出掛けた父がジナイーダと密会しているのを目撃。 彼女と口論していた父は明らかに苛立ち、 手に持っていた乗馬用の鞭で彼女の手を打つ。物陰から見ていたヴラジーミルは思い知る、これが恋なのだと、愛欲というものなのだと、自分がいかに幼なかったかと。2ヵ月後、大学へ。その数ヶ月後、家族でペテルブルグへ移り住むが、父が脳溢血で亡くなる前、母に懇願してジナイーダにそれなりの金を送って貰う。4年後、ヴラジーミルはジナイーダの取り巻きだった一人と偶然再会、彼女がある男と結婚して近くに来ていると聞く。会いに行くつもりが1~2週間経ってしまい、行ってみるとお産で死んだと知らされる・・青春の日々に自分は何を望み何を期待したのか、そして何が得られたのか、だが人生の斜陽に指し掛かった今、あの日々の記憶以上のものがあったかと思う。ジナイーダの死後、同じアパートに住む貧しい老婆の臨終に立会い、ジナイーダと、父と、そして自分自身のためにもしみじみと祈りたくなるのだった。

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