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2012年8月

2012年8月28日 (火)

絵画207・・フリッツ・タウロー

フリッツ・タウロー(1847~1906)

ノルウェー画家。1870年からコペンハーゲンアカデミー、73年からデンマーク海洋画家H・グーデに学ぶ。1892年パリに移る。各国を旅し、運河や雪のシーンを描く。1877年からサロン展示等。83年オスロ芸術クラブ議長、85年アーティスト組合設立。

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2012年8月25日 (土)

映画163・・黙秘

黙秘(1995・アメリカ)

20100412235447原作・スティーヴン・キング、監督・テイラー・ハックフォード、出演・キャシー・ベイツ、ジェニファー・ジェイソン・リー、ジュディ・パーフィット・・

20年の歳月を経て結ばれた2つの事件の真相の鍵を握る、母と娘の心理的葛藤を描く。

メイン州の小島、リトル・トール・アイランド。メイドのドロレス・クレイボーン(ベイツ)は、富豪未亡人ヴェラ・ドノヴァン(パーフィット)殺しの容疑で拘留される。ニューヨークでジャーナリストをする娘セリーナ(ジェイソン・リー)は、彼女宛てに送られてきた匿名のFAXで事件を知り、久し振りに故郷に帰る。セリーナは久々に母に会うが、ドロレスは無実を主張するが詳細については一切黙秘。20年前にもドロレスを夫ジョー・セントジョージ殺しの容疑で検挙した業腹なマッケイ警部と知己の保安官補フランクの監視の下、保釈された母と家に帰ったセリーナだが、母娘の間には溝があった。

やがて、セリーナは過去と現在の2つの事件の「真相」を母の口から聞く・・20年前。セリーナの父ジョーは酒飲みの横暴な男で、事ある毎にドロレスを罵り殴打。ドロレスは娘の幸せだけを生き甲斐に、厳格な富豪婦人ヴェラのメイドとして苦しい毎日を送りながら、セリーナの学資を貯金。だがセリーナの成績は下がる一方。不審を抱いた彼女は、夫ジョーが学資貯金を使い込んだ上、自分の娘に性的悪戯を続けていたことを知る。悲嘆に暮れるドロレスに声を掛け、全てを聞いたヴェラは「所詮この世は男の社会。でも女も、時には悪女になる必要がある」と。愛人と浮気していたヴェラの夫は、彼女が仕組み交通事故死。ヴェラの励ましを支えに、ドロレスは、それから間も無く訪れた日食の日、ジョーを予ての手筈通り、古井戸に落とす。以来、彼女は町の人々から夫殺しと罵られながら、20年間、気心通じ合う仲となったヴェラに仕えた。ヴェラが半身不随となってからも、ドロレスは彼女の世話を続けたが、ヴェラは老醜を曝し続けることに耐えられず自殺を図り、死に切れなかったため、ドロレスに手助けを頼んだ。そしてヴェラはドロレスに知らせず、遺産160万ドルを彼女へと遺言していた。全てを聞き、自らのトラウマの正体をも知ったセリーナは、拘置された母のもとへ赴き、執拗に彼女を罪人扱いするマッケイ警部の前で、母の無罪を立証。釈放されたドロレスはセリーナを港まで送り、和解の抱擁の後、娘に信じてもらうことだけが自分の唯一の望みだと語り、2人は別れる。

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2012年8月21日 (火)

映画162・・ハンバーガー・ヒル

ハンバーガー・ヒル(1987・アメリカ)

1c42e64373監督・ジョン・アーヴィン、出演・ディラン・マクダーモット、ティム・クイル、ドン・チードル・・

ヴェトナムで凄惨な戦闘を強いられた兵士達の姿を描く。

1969年、ヴェトナム。テリー・フランツ(マクダーモット)が指揮する、第101空挺師団187連隊B中隊の第3分隊。彼は銃弾が飛び交う中で負傷兵を徹退させようとしていた。幸福な者だけが生還出来る地獄の戦場。分隊に新しい兵隊が配属されて来た。ベレッキー(クイル)、ウォッシュバーン(チードル)、ラングィリー、ガルバン、ビーンストックの5人。20歳そこそこの若者達。フランツが彼等に教えたことは、敵に対して畏怖を植え付けること。敵は高度な訓練と装備で身を固め、動機を持った筋金入りの北ヴェトナム正規軍。気を抜いたら殺される。フランツの分隊はマン・ロー橋の近くにキャンプを設営。一時の平穏。突然、敵の一斉射撃が始まった。ガルバンが頭を吹き飛ばされる。更にアシャウ・バレーでも集中豪雨のような銃撃戦が展開。今や兵士達の神経はズタズタだった。

そんな時、北ヴェトナム軍が要塞を敷く「937高地」を掃討せよとの命令が下る。凄惨な戦いが開始。敵は台地の上から、アメリカ軍を見下ろし銃撃。剥き出しの台地には木が殆ど無く、隠れる場所も無い。前進出来ず、次々に仲間が死傷していく。少し登っても、撃たれてずり落ち、胸まで泥濘に浸かる。ジャングルと泥、そして銃撃と味方の誤爆。誰かが叫ぶ「この高地は俺達をミンチにしようとしている!」。統制の取れない指揮、北ベトナム軍の戦力を読み誤り、無謀とも言える戦いを強いた司令部。当初、937高地の威力偵察程度に考えた司令部には具体的な作戦など無いも同然だった。

10日に及ぶ熾烈を極めた戦闘は終わった。高地の頂上に北ヴェトナム正規軍の姿は無かった。フランツ、ベレッキー、ウォッシュバーン・・14名中3名、生き残ったことが奇跡。ハンバーガー・ヒルに軍事戦略的価値があったのか、払った犠牲に比しても攻略すべき場所だったのか。僅かに焼け残った1本の木に、誰が貼り付けたのか札が揺れていた「ウェル・カム・ツゥ・ハンバーガー・ヒル」。そして、その下に小さな文字で「こんなにまでする価値があるのかよ!」と。

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2012年8月17日 (金)

本236・・心変わり

心変わり・・ミシェル・ビュトール著

51vqaa87n4l早朝、汽車に乗り込んだ「きみ」は・・と二人称で綴られる、一昼夜。パリに住むメーカーの支社長レオン(45歳)が、ローマの愛人セシルと過ごした2年間の彼岸的・神話的ローマ時間を現実のものとして実現しようとする様を描く。

彼は今、パリで彼女と暮らすためセシルの職や住まいの当てが出来たことを告げるためローマに向かっている。私的な旅行のため、急行の一等ではなく三等夜行列車で、所要時間21時間35分。パリを出た時の彼は新しい生活への希望に満ち、気詰まりな家庭から解放され、恋人の若さの刺激やその快適さへの想いが心を充たす。

だが、列車が延々と走り続け、その旅に倦み疲れてくるに従い、今自分がしようとしていることへの不安や疑問が滲み出す。恋人をパリに連れて来ることで本当に幸せになれるのか。恋人は、パリに来た途端に第二の妻になるだけではないか。彼は徐々に、彼女を恋していたのは彼女がローマの女性だからで、彼女を通してローマを見ていたことに気付く。次第に疲れの溜まる中で、愛しい恋人も夢の中の存在ではなくなり、パリに彼女呼んだ後に起こるであろう諸々やパリでの彼女の暮らしを考える内、彼女が彼にとって現実の女に変わっていく。更に、仕事で乗る急行の一等車は普段の彼の生活を反映し、三等車での疲れ果てた旅は、家族を捨て恋人を取った後の彼の生活を象徴するように思う。列車に乗った時には意気揚々とし、恋人に内緒で彼女が待ち望む答えを持ちローマを訪れるという快挙に自分が出たことを嬉しく思った筈が、ローマに近付くに連れ、もう彼女とは今までのようには過ごせないだろう、彼女をパリに呼ぶのは止めよう、今回の旅も彼女には告げず、会わずに帰ろうと考えるに至る。

パリとローマを繋ぐ過ぎ行く時間の中で、実現可能と思われた空想は敢え無く色褪せ、二人称の語りで、過去・現在・未来、推定過去や条件付未来などの空想や妄想に因り、動揺し崩壊して行く。

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2012年8月11日 (土)

映画161・・ジェイコブズ・ラダー

ジェイコブズ・ラダー(1990・アメリカ)

Efd21324de監督・エイドリアン・ライン、出演・ティム・ロビンス、エリザベス・ペーニャ、ダニー・アイエロ・・

夢と現実との区別が付かなくなり悪夢の中を彷徨う男の恐怖の体験を描く。

ある日、突然地下鉄の車内でかつてのベトナムでの体験が蘇り、何者かに刺される夢を見た時から、ジェイコブ・シンガー(ロビンス)の日常には奇妙な幻覚が交錯。見慣れた風景にも違和感を覚え、現実感覚が失われたと訴えるジェイコブに同棲相手のジェジー(ペーニャ)は「ニューヨークだから当たり前」とそっけない。だが、化物の乗った車に轢き殺されそうになり、パーティーで黒人女性に手相では既に死んでいる筈と言われ、遂に高熱を出し意識を喪う。目覚めると別れた筈の妻や子供の姿・・それも夢だったのか、再び気が付くとジェジーの部屋に。自分の精神状態を危ぶんだジェイコブは掛かり付けの医師に相談に向かうが、医師は既に死亡しジェイコプのカルテも失われていた。今やジェイコブの心の支えはベトナムで痛めた背中を診てもらっている整体治療師のルイ(アイエロ)だけ。ある時、かつての戦友ポールに会い、彼も同じ幻覚に悩まされていると知り驚くが、その直後にポールの乗った車は爆発し炎上。ポールの葬式に集まったジェイコブと同じ隊だった戦友達は全員悪夢を体験していると語り、原因が戦争にあると悟ったジェイコブは政府を相手に立ち上がろうとするが、彼の前にマイケルと名乗る医者が現われ、全ては政府が開発したラダー(階段)という幻覚剤に因るもので、ジェイコブの隊はその実験台にされたと告げる。ジェイコブは、彼を無きものにしようとする医師達からルイによって救い出され、連れられた先は交通事故死した息子ゲイブの待つ階段。ゲイブに連れられ安らかな表情で階段を登るジェイコブ・・その時ベトナムの野戦病院のベッドに横たわるジェイコブに、医師が死亡を告げる。全てはラダーが齎した死の直前の幻覚。

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2012年8月 6日 (月)

本235・・11の物語

11の物語・・パトリシア・ハイスミス著

61gtm8rhx5l★「恋盗人」・・ある男が相手の心を読み違え、一方的に結婚を申し込む手紙を送る。届かぬ返事を待つ内、ふと隣の郵便受けから手紙(隣の男を恋する娘の)を盗み読んでしまう。その手紙に返事を書き、娘と会う約束をする。待ち合わせ場所に出向き、不安を胸に不審がる娘に、一言謝りながらも笑い掛ける・・その積もりは無いと返事をしてきた相手に、なおも、やり直すべく次の手紙の文案を練る男。

★「すっぽん」・・子供の言葉を何一つまともに受け取らず、一方的に自分の考え(11歳のヴィクターに小さな半ズボンや靴を履かせ、頭ごなしに幼児扱い)を押し付ける母親。その都度、ヴィクターはソファに顔を埋め声を殺して嗚咽する。母親が料理用に買ってきたすっぽんを、可哀想に思い殺さぬよう嘆願するが、母親は表情一つ変えず湯の中に放り込む。そして、ヴィクターの心が壊れていく・・その夜、包丁を手に寝ている母親を何度も刺して殺す。

★「ヒロイン」・・雇い主に気に入ってもらいたいと願うあまり、どんどん行動がエスカレートしていく若い保母。給金の札を焼き、災難から子供たちを救うためにと雇主家に火を放つ。自分にとっての理想形をを夢想する感情が、内に内にと籠って、やがてある瞬間に「ずるり」と外へ飛び出す様を描く。

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