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2013年3月27日 (水)

本242・・土曜の夜と日曜の朝

土曜の夜と日曜の朝・・アラン・シリトー著

B13_2自転車工場の工員アーサーは、父親から上司、政治家に至るまで権力と名の付くものが大嫌い。浴びる様に酒を飲み、人妻を誘惑し、気に入らないヤツに喧嘩を売る日々。

ノッティンガムの下町。15歳から旋盤工として働く21歳のアーサー。「金の値打ちは下がるし、ヤンキーがいつ発狂してモスクワに水爆を落とすやら。そうなれば何もかもおさらばだ」と、再び世界の雲行きが怪しくなるまでの束の間に、出来るだけ人生を楽しもうと、「ばかげた法律なんぞは俺みたいなやつにまんまと破られるためにある」と嘯き、「ずるっこく立ち回ること」を武器に、彼を高賃金で雇う工場と居酒屋と同僚の女房の寝室の間を、慌しく懸命に駆け回る。彼は悪党ではあるが犯罪者ではない。しかも母親思いで、幼い子供達にも優しい好青年である。

戦前の長い不況下で、失業保険のみで5人の子供を抱え、無一文、稼ぐ当て無いどん底生活の一家だった。今は、賃仕事を背骨の折れる位やればまともな金が入って来る。18才で軍隊へ行ったアーサーは「戦争を始めて見やがれ、俺がどんなに悪い兵隊になれるか見せてやる」と、国家への忠誠心など皆目持たず、怒りの根源は格差社会の矛盾に対しての漠然とした腹立たしさであろうか。

人妻が妊娠したり、別の女の亭主から2人掛りでボコられたりと痛い思いもしながら、2年が過ぎる頃には年下の彼女が出来もする。ある日のんびりと釣りをしながら、「結婚なんて厄介なものだろうし、俺の人生は最後まできっとごたごたの連続だろう。けど、広い世界に未だ挨拶状を出していないことに気付いていさえいれば、へこたれさえしなければ、つまるところいい人生だ」と、ニヤリと笑う。

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