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2013年5月20日 (月)

本248・・人はすべて死す

人はすべて死・・ボーヴォワール著

517cvb474el__sx230_雄大な歴史の流れを背景に、無限に自分の理想を追及する不死の男フォスカが、自由とは何かを探る旅。「不死の薬」を飲んだフォスカは、戦いにも倒れずペストにも冒されないが、人類の歴史を眺める彼の深い悲しみは癒されるのか。

フォスカは永遠の生命を手に入れる。理想を追い、やり方を変えながら無限に試みられる。云わば「存在」を選び、不条理な実存(命に限りがあること)を止めたのだが、意外にも彼は自由を失い生ける屍に。

13世紀から現在に至るヨーロッパを中心とした人間の歴史の中で、終わり無く繰り返される戦と束の間の平和。進歩、自由、政治に於ける個と全体、民主主義とマキャベリズムがペシミスティックに描かれる。

周りの人間が死に行く中、死ねないフォスカは何世紀にも渡り儚い希望を追い、その度に失望する。人を幸福にすることも出来ず、自らもなれない。命を懸けることも出来ず、何処にも居ず、過去も未来も現在も持てない。何も欲せず、誰でも無い。自身の手は永久に空で、一人の異邦人、一人の死者に過ぎない。誰一人居なくなった世界の悪夢、もう眠れない。

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