« 絵画268・・ウラジミール・マコフスキー | トップページ | 絵画269・・アウグストゥス・マルレディ »

2013年11月17日 (日)

本256・・赤い指

赤い指・・東野圭吾著

20091008221018165_2癌を患い余命幾ばくも無い伯父隆正を見舞う松宮。隆正は母の兄で、父亡き後母子を後援してくれた恩人。隆正の妻は既に亡く、姿を見せない息子恭一郎に納得出来ない。伯父は看護婦と気長な将棋。

会社にいた前原昭夫に、妻の八重子から一刻も早く帰るようにとの電話。前原にとって家庭は安らぎを与えてくれる場所ではない。同居の義母の事で夫を詰り続ける八重子。親和性に欠ける一人息子、直巳。帰宅すると、自宅の庭に投げ出された黒いビニール袋からは、白い靴下を履いた小さな足・・

少女の遺体が公園のトイレで発見。捜査上に浮かぶ平凡な家族。どんな悪夢が彼等を狂わせたのか。「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼等自身によって明かされなければならない」。加賀刑事の言葉の意味は・・

顔を合わそうとすらしない息子。その息子を甘やかし続け、夫より常に息子を優先させる妻。そして年老い、呆け始めている母。幼女を悪戯目的で殺したのは、14歳の中学生である直己だった。昭夫は警察に届けようとするも、直巳のために止めるよう懇願する妻に負け、息子の犯罪を隠蔽するために策を張り巡らすが、決して人としてやってはいけない領域まで踏み込んでしまう。

合同捜査で加賀刑事(伯父の息子恭一郎)とコンビを組み今回の事件に取り組む事になった松宮は、まだ新米感が抜けない。彼は当初、加賀の捜査方針に疑問を抱き反発もするが、上司の言葉や、捜査が進むにつれ加賀の思慮の深さや暖かさに触れていく。

捜査の手が迫り無傷では逃れられないと見た昭夫は、加賀達に死体遺棄を告白し、呆けた母親が殺したと告げる。加賀は松宮に直巳の事情聴取を任せ、母の世話を主にしていた昭夫の妹晴美を連れて来る。母親に手錠を掛けると言われ、母の古いアルバムや子供の頃プレゼントした杖の鈴に付いた名札を見せられ、昭夫は崩れる・・母親は呆けてなどいなかった。息子を思い留まらせるため、事件前に指を口紅で赤く染め、その口紅を晴美に預け、昭夫が死体遺棄に使った手袋をしていたのだ。

事件解決を待っていたように伯父が死亡。松宮が窓の外を見やると、病院の門の影に恭一郎の姿。父親の死の知らせに病室へ入った恭一郎は、幼い頃の彼とその両親の写真を松宮に見せ、死ぬまで姿を見せるなと言われていたと告げる。父親が家を省みなかったため家出した母が遠い地で一人死んだ時、息子一人に迎えに行かせ、自らも独りで死に望むと決めたのだと。

父親は桂馬を握っていた。「見事に詰みだ。親父の勝ちだよ。良かったな」。将棋の相手は、看護婦に託した恭一郎であった。

|

« 絵画268・・ウラジミール・マコフスキー | トップページ | 絵画269・・アウグストゥス・マルレディ »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 絵画268・・ウラジミール・マコフスキー | トップページ | 絵画269・・アウグストゥス・マルレディ »