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2013年12月22日 (日)

本261・・鏡子の家

鏡子の家・・三島由紀夫著

51bkqi8vhl無限に自由な少年時代は消えたと自覚する4人の青年は、目の前に大きな壁を感じている。「その壁をぶち破る」と峻吉。「壁を鏡に変えてしまおう」と収。「その壁に描き、壁画に変えよう」と夏雄。「壁自体に化けてしまおう」と清一郎。

世界の崩壊を信じるエリート社員・清一郎、私大の拳闘選手・峻吉、天分豊かな画家・夏雄、美貌の無名俳優・収。彼等はそれぞれに生き方に確信を持ち、ストイシズムを自らに課し、他人の干渉を許さない。名門資産家令嬢・鏡子の家に集まって来る4人の青年達が描く生の軌跡を、朝鮮戦争後の退廃した時代相の中に浮き彫りにする。

物語は、1954年からの2年間に、彼等の運命が上昇し、下降して行く4本の平行線条を描く。鏡子すら彼等の運命に影響を及ぼさず、彼等が自分達を映す鏡の役割のみ。4人のそれぞれの生活圏で、その拡大や収縮が走馬灯式に旋転する。

清一郎は赴任先のニューヨークで妻をゲイに寝取られる。峻吉は日本チャンピオンに成った晩、チンピラに拳を潰され再起不能となり右翼へ。収は自堕落な母の借金で高利貸の女に身売りし、サディスティックな遊戯の内にこの醜女と心中。4人の内、夏雄だけが破滅から立ち直る。青木ヶ原の樹海で虚無に陥り描けなくなるが、ある朝、枕元の一茎の水仙の形象美が彼を現実と和解させる。財産を使い尽くした鏡子は、追い出しその後豊かになった夫を迎える。

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