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2014年1月 5日 (日)

本263・・半落ち

半落・・横山秀夫著

C0113733_2102821捜査一課の警視・志木に、上司から「現職警察官に因る、妻殺人の取り調べを担当せよ」と。自首した犯人・梶(信頼される教養科警部であり、穏やかで澄み切った眼を持つ)は、アルツハイマーの妻を殺害した動機・経緯は話すが、出頭するまでの「空白の二日間」の供述を拒否。家宅捜索等で、歌舞伎町へ行ったらしい事が判明し、自宅には「人生五十年」という書。志木は供述をじっくり取ろうとするが、「歌舞伎町」に因るイメージを恐れた上層部は、梶に虚偽の供述をさせるよう志木に強制。

事件は検察に回され、志木に捜査を託された検事・佐瀬は、供述の捏造を見抜き、県警の調査に乗り出そうとした時、横領の疑いで内偵を受けていた検察内部の人間が置き引きで逮捕される。県警は検察に「逮捕は検察内部の調査で行われた」事とする代わりに、梶の供述の捏造を黙認するよう持ち掛け、検察が応じた事で、県警の不正を暴こうとした佐瀬の努力は葬られる。

佐瀬と同期の弁護士・植村は、被害者の姉(梶の義姉)康子から梶の弁護を依頼され、康子から梶が歌舞伎町に行った事を確認するが、梶からは証言を得られず。不完全な証言では不利として、康子の証言を伏せる。

副裁判官・藤林は、警察発表に疑念を持ちつつ初公判に臨むが、警察・検事・弁護士までが、「空白の二日間」に口を噤む。裁判官だった藤林の父もアルツハイマーで、梶の妻と同様に「自分がまともなうちに殺してくれ」と、妻に頼んでいた事を知る。裁判で、佐瀬は懲役4年の短い求刑。藤林は本当の優しさは殺さない事だと信じ、執行猶予を付けず。刑務官・古賀は、新参の受刑者・梶(自殺の恐れあり)の処遇に困る。梶を案じる志木から度々電話が入り協力を求められる。

13歳の息子を白血病で喪い、病の進行を恐れる妻の懇願で手に掛け、失う物は無い(直後に自殺未遂)筈。何故、妻をそのままに歌舞伎町へ行き、尚且つ秘匿するのか・・6年前、息子と同じ歳・病いの少年のドナーに。歌舞伎町のラーメン屋で働く少年に、正体を明かさず一目会いに行った。せめてもう一人救えたらと、51歳のドナー制限の日まで生きる事に。志木が現在19歳の少年を発見、共に梶を訪れる。少年の感謝と命の繋がりへの哀訴に梶は咽ぶ。

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