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2014年4月17日 (木)

本273・・火のみち

火のみち・・乃南アサ著

51apf3e8nrl__sx230_育てて来た炎が踊り狂おうとし、地の底から響く釜鳴り・・
両親を亡くし、貧しさのどん底でその葬儀代の僅かな借金の形に、小学生の妹を連れ去ろうとする男を撲殺した次郎。姉弟は離散し、服役中も渦巻く憤怒を抑える術を知らない次郎(小学校もまともに出ていない)が、妹と文通するために漢字や言葉をを学び、備前焼と出会った事で心が静まって行き、10年を経て出所。
妹は女優になり、行き来も儘らないが、過去を封印し陶芸家として成し独立。弟弟子や押し掛け居着く女、不明だった知的障害の弟、年を経て行き来できる様になった妹等との狭間で煩悶する内、奇跡の様に現れ幻の様に消えた「汝窯の青磁」の神秘さに心を奪われる。時に魔となり悪霊となる野心、その再現を目指し身を削って行く壮絶さ。「火のみち」を読める者が汝窯の秘密を知る。それは窯の中だけでなく、人生の密意に繋がるものか。
半身不随となり、窯跡が見付かった汝窯を訪れ、その地から古の職人達の誇りや苦悩、怨念を聴き、仲間として共感し号泣。帰国後、過去は塗り潰され「汝窯の青に魅せられ、その天青色に殉じた男」として、55年の生涯を閉じる。
芸術の中に存在する絶体絶命の孤独・・

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