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2014年5月 8日 (木)

本276・・春のオルガン

春のオルガン・・湯本香樹実著

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春。小学校を卒業したばかりのトモミ。祖母が死んでから、馬鹿にされ恐れられ叫ぶ怪獣になった夢を見る。
納戸の整理をし続ける祖父。余り家に帰らない父と、外で働く母。本好きの弟・テツ。捨て猫に餌をやるおばさん。頑なな隣人のトラブル爺さん。ある夕、トモミはテツとの帰り道に変質者に胸を掴まれる。
原因不明の頭痛、際限の無い眠りと奇妙な夢。大人への脱皮の痛みへの戸惑い、さり気無い日常に紛れた一つの人生の危機・・身の置き場の無い不安への荒療治として、トモミはテツと捨て猫のいる廃バスに家出する。
その夜現れた祖父に、祖母の死への罪悪感(機械に繋がれているより、もう死んだ方がいいと思った)を打ち明け、語らう。言えずにいた苦しみが頭痛の原因で、受け入れるしかない「死」からの後悔の痛みに耐え、他と共有出来ない苦しみに混乱する中で、自身を引き受け、折り合いをつけて行く事が他者と関わる事、生きる事と知る。
人間関係はバラバラで処し方が判らないが、人は勝手な事ばかりをしている訳でもなく、そうせざるを得ない事もある。善からの気持が同じ様に作用する訳でもなく、理解出来ない悪意も存在する。大人になるという事は、それ等と共存していく事なのだと。
病気で死んでいく猫達を必死で治してやろうとし、猫おばさんや姉を守るため強くなろうとするテツ。どうしようもない事も多いが、それと戦おうとするのが勇気だと、猫おばさん。
・・トモミは中学に進み、古い家は改築される事に。昔、母が弾いた壊れたオルガンを、祖父が懲りずに修理中。

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