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2015年7月 5日 (日)

本293・・蒼い記憶

蒼い記憶・・高橋克彦著
41iexbvpsdl_sy344_bo1204203200_∇「幽かな記憶」・・幼い頃に父が死に、母に捨てられて祖母に引き取られ、その後養父母に育てられた自分。40歳、同窓会で盛岡に帰郷し、ふと出て来た昔の電話番号。記憶を手繰ると、蒸発した母の死と父の死の姿が浮かぶ。気になり調べ生家を訪ねる。蘇る記憶・・母は父のDVで殺され、我が子をも殺そうとした父は母の幽霊を見て自殺・・山奥の夜道を祖母の家へ辿る乳母車。幸せな幼い自分、それを押す幽霊の母・・母が投げ込まれた庭の井戸、母の愛をやっと思い出した事を詫び、井戸に詰まった石を一つずつ取り除き始める・・
∇「棄てた記憶」・・仕事関係で精神科医の診断を受けた事により、自転車と父親に対して異様な忌避感を持ち破壊願望まであるとされ、不安に陥り盛岡に帰郷。幼い頃、図らずも児童誘拐を攪乱し未解決事件にしてしまった事がトラウマになっていた。事件の記事を調べるうちに記憶が・・5歳、自転車を欲しがり、たまたま見掛けた補助輪付き自転車、その日も翌日も乗って遊んだが、怖くなって川に捨てた。時系列や自転車の発見場所等の狂い・・医者だった父は現在弟の病院に入院中だが、自宅で開業もせず家を売ろうともしなかった。古い実家へ。真っ先に棄てた記憶・・夜中に見た、庭の土蔵の中で父は壁に向かって泣いていた。当時詐欺に遭い金に困窮した父、だが自分の妄想に違いない。得体の知れない怖さを父に感じていた幼い頃。父と自分の間に立ちはだかる壁、破壊願望。土蔵の中、金槌で箪笥を倒し、隠れていた壁を叩き出す。脆く崩れた穴の向こう、あの時の父の様に泣き続ける・・そこには小さな骨が悲し気に立っていた・・

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