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2015年10月17日 (土)

本295・・怒りの葡萄

怒りの葡萄・・J・スタインベック著

51caxau5ygl_sx349_bo1204203200_世界恐慌と重なる1930年代。大規模資本主義農業の進展や、オクラホマ州を始めとするアメリカ中西部で深刻化した荒廃した土地での砂嵐に因り、所有地が耕作不能となり流民となる農民が続出した。
本作は、土地を失ったオクラホマの貧農家族の悲劇的な運命を描いた一大叙事詩である。
長男トム・ジョードは酒の上での諍いで相手を殴り殺し、4年の懲役刑から仮釈放で実家に戻った。生活に窮した家族はオクラホマを引き払い、仕事が有ると耳にしたカリフォルニアに一族上げて引っ越そうとしていた。トムは説教師ケイシーと共にカリフォルニアへの旅に合流。ジョード一家は全ての家財を叩き売って買った中古車でルート66を辿り始める。
祖父母はアリゾナ砂漠やロッキー山脈越えに体力的に耐えられず死亡(まともに弔えず)し、従兄弟ノアは逃亡するなど苦難の旅の末、一家は人間らしい生活が出来ると思っていたカリフォルニアに辿り着く。
しかしカリフォルニアでは、土地を失った25万の農民が流れ着き労働力過剰となっており、一家の希望は無残に打ち砕かれる。
移住者達はオーキー(オクラホマ野郎)と蔑まれ、貧民キャンプを転々とし、農園主の言い値の低賃金で日雇い労働するしかなかった。労働者を組織して地主に対抗しようとしたケイシーは赤とされ撲殺される。居合わせたトムは恩ある(それ以前に、赤狩りで知り合いを殺されたトムが反抗し相手が死亡、ケイシーが身代わりとなった)ケイシー殺害の警備員を殺し、家族と別れて地下に潜る。
家族を次々と失って行くジョード一家のキャンプ地に、豪雨と洪水がやって来る・・物語は終っていない。
・・全編30章に分かれるが、奇数章は物語の背景、偶数章は具体的な物語が描かれる。旧約聖書「出エジプト記」をなぞる。
「怒りの葡萄」とは・・過酷な運命に翻弄され、飢えた農民の怒りが沃野に実を結んだもの。

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