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2016年2月20日 (土)

本300・・ロシッキー父さん

ロシッキー父さん・・ウィラ・キャザー著

51ux4ozg8ll∇「ロシッキー父さん」・・チェコ人のロシッキー父さんは、貧しい家に生まれ、継母の迫害を逃れるために、まだ小さいうちにロンドンへ出て仕立て屋の小僧になるが、そこから偶然の機会にアメリカへ渡る。NYで働くが、都会の生活の味気なさに堪えられず、ネブラスカの開拓地に移り、農業に従事。彼は生命の根元である大地を愛し、それから切り離された都会の生活は人間の魂を乾からびさせる事を知っている。長男のルドルフは、町の女と結婚してから百姓の生活に不満を感じ、折りが有れば都会に出ようと考えている。ロシッキー父さんは子供達の繕い物をし、息子夫婦の幸福のために、彼等が大地を捨てないよう心を使い、草取りの遅れを手伝おうと、医者に止められている重労働をして、心臓病で急死する。しかし彼の愛情と信念が、焦り気味のルドルフ夫妻の危期を救い、彼等の将来の幸福の基礎を確立することになる。
∇「ハリスお祖母さん」・・故郷のヴァージニアを後にして、娘家族と運命を共にするために、中部地方に移住したハリスお祖母さんが、自己犠牲の生涯の幕を閉じる前の、最後の月日が描かれる。隣人の聡明なユダヤ人のローゼン夫人や、老婆の意識からの視点から、周囲に起る様々の事件に対する彼女の反応、判断を通して、彼女の性格が知れる。ヴァージニアの封建的な社会から、中部の民主主義社会に移った一家は、この土地の人々の生活態度と合致しないために苦しみ、傷付けられる。利己的な美しい娘のヴィクトリア、経済力の足りないその夫、自分の事に没頭して他の事が見えない孫娘ヴィッキー・・その中で、最後まで家族のために黙々と働き、日頃望んでいた通り最後に長患いもせずに死んで行くお祖母さん。死の直前、彼女は生涯を顧みて、自分は幸福であったと思う。子供や孫のために尽くすことの中に自分の意義と満足を見出すことが出来たのである。

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