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2016年5月14日 (土)

本305・・密告

密告・・P・アスリーヌ著

51wxdp0r3kl_sx324_bo1204203200_自らもユダヤ人である伝記作家が、親戚一家をアウシュヴィッツに送り込んだ密告の手紙を発見。パリ15区の一角、書き手は近所の人の良い老婦人だった。著者の、真実と悪への執拗な追跡が始まる。
ドイツが占領するヴィシー政権下、国策協力の名の下に匿名に限らず密告は多量に存在した。パリが解放された時、占領下の鬱屈した思いが一挙に爆発し、対独協力への粛清の嵐が過激化した。
この老婦人は、ドイツ軍捕虜となった兄の釈放を条件とされ手紙を書く事に応じたが、結果として履行されずに兄は殺された。
周囲の反感を買いながらも、彼女を追け回し嫌がらせをし追い詰める偏執狂的な著者の姿。彼の追及は占領下の亡霊を呼び起こし、平安に暮らす人々の過去の傷口を抉り出してゆく。
ユダヤ民族(引用)・・国土への帰属意識を持たず、キリスト教と違い土地や隣人よりも知識と財産を追求するシオニズム。売春、金貸し、奴隷貿易に深く携わり、現在はパレスチナを追う立場である。
真実を追求するという事は、自他共に傷付ける行為であり、この様に死へと追い詰め、その結果を、追求した者は引き受けなければならない。著者はノンフィクションとして発表出来ず、小説形式にした。

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