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2016年7月23日 (土)

本309・・銀河鉄道の夜

銀河鉄道の夜・・宮沢賢治著

S1950953∇「よだかの星」・・実に醜いという外見故に小鳥達から有形無形のいじめを受け、その名前の故に猛禽である鷹から理不尽な改名を迫られる。名前を奪われるとは本質的存在性を犯されることであり、醜さは羽虫や甲虫に対する惨殺者という自分への嫌忌と表裏を成す。よだかの苦衷は全生物が置かれている食物連鎖という宿命への意識であり、死を決意して夜空に駆け上り燃え尽きる様は極めて純粋で悲痛であり悲劇的である。
∇「銀河鉄道の夜」・・貧しい孤独な少年が夢の中で親友と汽車の旅をする・・少年の貧しさと孤独の背後には、父親の不在、母親の病、同級生のいじめという環境ばかりでなく、存在自体に根差す苦悩や、(詩人の)本質的孤独が潜んでいる。夢の旅と云ってもそれは死者達の乗る汽車、その線路は夜の大空を銀河の流れに沿って何処までも巡って行くのであり、同行する親友は級友を救おうとして溺れたための死出の旅路にある・・少年はやがて「皆の本当の幸せ」を求めて行こうと心し、銀河の祭りの夜の河原で夢から覚める。そのイメージや象徴が様々な解釈をさせ、再び闇夜へ突き戻す。

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