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2016年11月14日 (月)

本313・・ジャン・クリストフ

ジャン・クリストフ・・ロマン・ローラン著

51ryc9fs7l音楽家の血筋を引く主人公ジャン・クリストフは、ドイツのライン河畔の小都市で生誕。クリストフにはベートーベンの印象が強いと云われる。音楽と自然への目覚め、貧困と屈辱による挫折、友情と初恋の経験もし、母方の叔父ゴットフリートに支えられながら、伝統的偶像に反対し、崇高を目指す青年に成長して行く。
真っ直ぐで激情型の彼は祖国の偏狭な空気に窒息しかけ、傷害事件に巻き込まれてパリに逃れる。
だが、自由である筈の大都会パリに巣食う知識人の陳腐で卑劣な言動と衝突し、自身の理想を貫くための不器用な闘争が絶え間なく続く。不安定な時代の中で、同様の使命感を持つオリヴィエ(クリストフが故郷を去る前に知り合い、自分の振る舞いで迷惑を掛けた印象的なアントワネットの弟)と出会い共同生活をする。オリヴィエはクリストフとは違い内向きの繊細な詩人だった。
時が経ち、クリストフに誘われたデモでオリヴィエは死亡。その混乱の中で殺害事件を起こしたクリストフはスイスに逃亡。オリヴィエの死を知った彼は絶望を感じ、救われた知り合いの妻との恋愛に因り山中を彷徨し神の声を聞く。そんな時、初恋の人の従姉であるイタリア人のグラチアと再会。未亡人になっていたグラチアとは彼女の事情で清い遠距離恋愛を続け、魂の支えともなっていた彼女は数年を過ぎ死亡。
その後、クリストフの計らいでグラチアの娘とオリヴィエの息子が結婚。今や大作曲家となったクリストフは既に老い、病を得て、新しい時代を夢見ながら静かな心で独り死んで行く。
・・悩みと闘いの連続のクリストフの魂は、19世紀後半から20世紀初頭に掛けて、激動する世代を自身の恥や欠点を抱えながら生き抜いた人間の精神史であり、霊的息吹に満ちた大河の流れの様である。




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