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2017年10月15日 (日)

本319・・外套

外套・・ニコライ・ゴーゴリ著

Gogol_palto_2ペテルブルクに住むアカーキエヴィチは万年下級役人。浄書をする仕事振りはごく真面目だが、貧しさのあまり上っ張りと称される外套は最早修繕が利かなく、新調する他なくなる。何とか工面し新調の外套で出勤し同僚達の祝杯に参加するが、その帰り道に追剥ぎに遭い大切な外套を奪われてしまう。警察署長や有力者達に嘆願するも、相手にしてもらえないどころか叱責される始末。悲しみのあまり吹雪の街を彷徨ったアカーキエヴィチは、熱病に罹り死んでしまう。彼の死後、官吏の恰好をした幽霊が外套を探して街に現れるようになる。アカーキエヴィッチを叱責した有力者は、彼の死を聞くと後悔したが、件の幽霊に出会い恨み言を言われ外套を奪われる。それ以後幽霊は現れず。
・・誰にも愛されず、誰からも顧みられぬ、生まれながらの善人で、気が弱く、勤勉で、諦め深く、病的なほどに自分の境遇に甘んじ、仕事のために命を縮めている事にさえ気がつかない様な男に、深く同情を注いだ作品。
・・灰色の霧深い首都ペテルブルクは若い著者の青春の夢を根こそぎ破った。生活に窮し、職業的俳優になろうとするが相手にされず、自費出版した田園詩は酷評され、漸くある調査局の書記補という惨めな勤め口にありつくが、そこで卑屈な子役人や尊大な高級官吏の姿をつぶさに見て、深い幻滅を感じる。灰色の冷たい都会で生活の浅ましい種々相を見るにつけ故郷のウクライナを想ったゴーゴリ。
・・「我々は皆ゴーゴリの『外套』から出た」とのドストエフスキー言。

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