2008年6月26日 (木)

今夜は本の話 その22

殺人図像学(マルコス・M・ビジャトーロ著)

31934123_2 「褐色の街角」の続編。テネシー州・州都のナッシュビル署殺人課刑事ロミリアは、28歳のシングルマザーで息子セルヒオ(3歳)がいる。白人優位の中でラティーナであり「レディ・イン・レッド」(セクシーな美女を指すが、セクハラにもなる)と呼ばれもする。前作で活躍するが頸部に重傷を負い、療養中に否応無くパソコンをあてがわれ、シリアル・キラーについて調べ始める・・7年前姉がウィスパラー(ささやき魔)に殺され、殺人課刑事になったのである。その頃3件の事件が・・6年後、メンフィスで新事件が・・共通点が無い様に思われたがFBIは同一犯と・・情報を非公開にしている為アクセス出来ず・・テクン・ウマン(グアテマラ出身の麻薬ディーラーで、前作で辛くもロミリアに命を救われ・・)が事件資料をハッキング・コピーした物を彼女の元に・・ロミリアには物証に封じ込められた情報を見抜く観察眼があり、ウィスパラーの犯行メッセージを古典文学趣味を生かし解き出す・・ウィスパラーも「文学的殺人者」であった・・FBIと共にウィスパラーを追い詰めていくが、彼のとっさの策略で彼女が襲われ・・テクン・ウマンが現れて彼女の助太刀を・・テクン・ウマン の人物造形が丁寧に描かれ(ナッシュビル進出の野望をロミリアに阻まれ、逃亡中の身でありながら彼女の便宜を図ろうとし・・プロの犯罪者として孤独な境遇に生きる事を好むが、危険を冒して母親に会おうとし・・敵や裏切り者には自ら手を下して報復をし・・)、ウィスパラーは(父親が姉に乱暴を→姉は自殺)、「ダンテの地獄篇」をカンバス上に現代風に解釈した物を元に、罪ある者を地獄へ導く「ミノス」としての使命(犯行現場と犠牲者に奇妙な装飾を施し)を果たし行く・・

街の描写、ミステリー性、ロミリアの復讐の炎・・一気に読み終えた。

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2008年5月15日 (木)

今夜は本の話 その21

殺人者の烙印(パトリシア・ハイスミス)

00415912 原題・慈悲の猶予

売れない作家シドニー。時折諍いをする妻アリシアが再び家を出た。その翌朝早く、シドニーはかねてからの空想(妻を殺して・・)をシュミレーションすべく、古い絨毯を丸めて担ぎ出し森に埋めに行く。妻の死体を包んだ積りで重そうに運び、隣家のリリバンクス夫人が見ているかもしれないのも承知であった。普段からの妻への鬱屈した感情のはけ口と、作家としての好奇心を押さえられずで、ちょっとした悪戯の積りである。執筆する作品が悉く鳴かず飛ばずであり、作品にリアリティを出す為の言動が次第に不審を買い、警察に目をつけられ、妻の両親や友人たち、理解ある隣人にも疑われだす。新聞にも掲載され、まるで殺人者扱いであった。その頃妻は、一人でのんびりしていたのだが、その内以前知り合った男とロンドンの郊外で半同棲を始めていた。アイディアが溢れ出すようになり仕事も順調になるシドニー。妻の不在が長くなるにつれ、やっと周りの目も気になりだしたシドニーは妻の行方を捜さざるを得なくなり・・妻を見つけ出すのだが、友人や警察にも知らせない。事の成り行きを見てみたい、本に生かしたい、妻が自分で名乗り出るべきでは・・などの思いで。共作の友人は利益を独り占めにしようとし、隣人も警察へ・・妻とその愛人も次第に追い詰められていき・・ここへきて、やっとシドニーは妻に手紙や電報を出す。浮気をしても自分に有利に離婚したいやら、両親に気兼ねして連絡もしない妻・・妻の死によってシドニーの疑いは晴れるが、それを知らない隣人が死亡・・男のところへ乗り込み無理やり睡眠薬を飲ませるシドニー・・

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2008年4月14日 (月)

今夜は本の話 その20

検察側の証人・・アガサ・クリスティ著

Photo_2 元々は戯曲として書かれた物だそうだが、法廷での弁論の緊張感が 読んでいてこちらにも伝わってくるようだ。そして、その事実と真実とは・・。ある金持ちの未亡人である情婦を殺したとして、主人公の夫が逮捕されるところから物語が始まる。夫と仲違いしているとはいえ、妻は検察側の証人として出廷する・・。1959年、ビリー・ワイルダー監督、マレーネ・ディートリッヒ主演で「情婦」として映画化された。そのキャッチコピーが、あの有名な「この結末は誰にも・・」である。

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2008年3月31日 (月)

今夜は本の話 その19

見知らぬ乗客・・パトリシア・ハイスミス著

04251802_2 新進の建築家・ガイは 妻と離婚するため故郷へ向かう列車の中で、見知らぬ男・チャールズに出会う。富豪ではあるが父親を嫌悪していると言うチャールズに、ガイは妻とのトラブルについて語り・・チャールズは交換殺人を持ちかける・・その心理と行動は・・。チャールズは実行し、ガイに返礼殺人を迫る・・

ヒッチコックが映画化している。

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2008年3月13日 (木)

今夜は本の話 その18

シャーロック・ホームズ・・アーサー・コナン・ドイル

          朝靄の中を駆け抜けて行く馬車・・51hv7jmkn7l__aa240_・ホームズといえば、洞察力・合理性・正義感を持ち人嫌いであり、コカインを常用し、ヘビースモーカーであり、バイオリンを奏で、今も多くのシャーロキアンが後を絶たない。

ホームズシリーズの役者、ジェレミー・ブレット。秀でた額を持ち思索に沈む表情や、両手のひらを顔の前で合わせたり人差し指を唇に当てる仕草は殊に印象的である。

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2008年2月22日 (金)

今夜は本の話 その17

ジャッカルの日・・フレデリック・フォーサイス

199999253701 1954年、泥沼のアルジェリア紛争(アルジェリア民族の解放と自決)。1958年、シャルル・ドゴールにより第5共和制なる。1962年、戦争終結し、アルジェリアでの破壊活動(秘密の軍事組織)やドゴール暗殺計画など起こるが、悉く失敗・・ここまでが史実である。

組織外のプロの暗殺者をと・・イギリス人の男、コードネーム「ジャッカル」。ジャッカルは決行日・決行地点・特注の狙撃銃・出入国経路など、綿密に計画準備する。フランス官警はそれを察知し徹底的な捜査をするが、追い詰めるに至らず・・当日まで縺れ込み・・

原作者は60年代にフランスに特派員として駐在し、実在の組織や人物を書いている。1973年、映画化(フレッド・ジンネマン監督、エドワード・フォックス主演)されたが、フォックスのクールさが際立つ。

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2008年1月24日 (木)

今夜は本の話 その16

アンデスの聖餐・・クレイ・ブレア・Jr

Andes ブラジルやアメリカで何度か映画化されているドキュメンタリーである。

1972年10月、ウルグアイの大学ラグビーチームの一行45名がチリに向かう途中、その小型飛行機が雪のアンデス山中に墜落。この時点では32名生存。負傷者も多く雪が深いため脱出は無理だった。残った胴体部の整備をし、少しでも寒さを凌ごうとするが次々と凍死し・・互いに団結し励ましあうが、やがて食料が底を付き始め・・このままでは皆共倒れに・・死んでいった人々の脳や肉に手を・・地獄のような日々・・捜索が打ち切られ、雪崩に遭い・・19名生存。2ヶ月が経ち、最後の望みとしてその内の2名が過酷な脱出の旅へと・・10日後、チリの牧童に発見され・・16名が生還する。

その後、カニバリズムではとすっぱ抜かれ、会見告白へ。「キリストが人類救済のためにその肉体と血を与えたように・・仲間の人々はその肉体と血で我々を救った・・」

・・想像を絶していて、一概に感想を述べられるような事ではないので・・

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2008年1月16日 (水)

今夜は本の話 その15

そして誰もいなくなった・・・アガサ・クリスティ

Photo イギリス・デヴォン州沖の孤島であるインディアン島に、お互い見知らぬ男女10人が、ある人物によって招待され集まる。主人も居らず、晩餐が始まったが・・。晩餐の最中、レコーダーに吹き込まれたそれぞれの過去を暴く声がし、童謡「10人のインディアン」(マザー・グース)に載せた連続殺人が始まる。一人殺され、一つの人形が減り(同じ殺され方)・・。

巧みなトリックと人物描写、深まる疑心暗鬼、息詰まる緊張感・・。孤島で10人しかいない・・10人が殺されてしまった・・犯人は・・・

クリスティ作品の中で、ストーリー展開の面白さではこれが一番だと思う。

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2007年12月13日 (木)

今夜は本の話 その14

ホワイト・ジャズ・・ジェームズ・エルロイ

515wbenrxgl_aa240_ 暗黒のLA四部作の最終章(1937~1958)。タイトルになっているのはい白人達(マフィア、富豪、ハリウッドの人間は言うに及ばず、ここでの主役は悪徳の司法行政関係者達)の狂乱のジャズ。エルロイについては過去2回記しているのでここでは多少省くが、情念と暴力の作家と言われ、権威の名の下に悪事を働く白人どもを描きたかったそうな。ドキュメンタリータッチに一人の警官の目で語られ、事件は目まぐるしく果てしなく続く。彼は、周りを狂おしく巻き込み巻き込まれ、凄まじく破滅への道を転がり落ちていく。語られる陰謀と肝計、血を血で洗う暴力、裏切り、賄賂、でっち上げ、捻じ曲げ、隠蔽・・などなど。「秩序、モラルなど*****、そもそもアメリカが清らかだった事など無い、人間が善良だった事も。この世は歪んでいる」・・とか。やっと読み終えて、正直かなり疲れてしまった。人によっては結構落ち込むかも。

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2007年12月 9日 (日)

今夜は本の話 その13

名言大語録(今泉正顕著)その1

4837972861 「愛すべし、狎れしむべからず。愛さるべし、狎るるなかれ」

北野隆春さんの「私の選んだ格言」の中にある言葉です。本来誰の言葉だったのかが非常に興味の尽きないところですが、これがかの清水の次郎長だとか。驚きです!そうかぁ・・フ~ン・・ということで俄然、清水次郎長を身近に感じられるようで不思議ですね。義侠の世界にいて、こんなことも想っていたんだぁ・・ネ。勝手に解釈すると、愛しても愛されてもそれに慣れて狎れ狎れしくするな、ですかね。きっと男女の仲に限らず、人との距離の取りよう、対する節度の必要性を説いたものなのでしょうね。ウ~~ン、深い。

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2007年10月24日 (水)

今夜は本の話 その12

モンテ・クリスト伯・・アレクサンドル・デュマ

Photo_3 商船の若き一等航海士エドモン・ダンテスは人望も厚く親思いの青年で、船長の亡きあと後任を託され美しいメルセデスと婚約。しかし、それを恨み貶めようとする会計係や横恋慕する仲間、奸計を弄する検事補らにより政治犯として無実の罪(偶然流れ着いたエルバ島で、ナポレオンから「帰還」に関する手紙を託され・・手紙の内容は知らず、宛先は検事補の父親)で逮捕され、マルセイユ港外の石の牢獄へ。

石壁に「神は私に正義を与えてくださる」などと彫りながらも、絶望の中9年が過ぎる頃、同牢のある司祭によって自分の事件の真相を知る。司祭からあらゆる知識や剣術などの教えを受け、諭され、信頼関係を築いていく。司祭亡き後授かった地図により入獄から14年後脱獄し(司祭の死体に成り代り)、一人の仲間を得て財宝を手に入れる。入獄中に父親が、息子の無実を信じ続け餓死していた事も知る。財宝を手に入れてから時が満ちた10年後、復讐を実行し始める。イギリス商人やイタリア神父などを経、モンテ・クリストとしてヨーロッパ社交界へ。メルセデスは裏切りの友の妻に。ダンテスが死刑になったと聞かされていたとはいえ、メルセデスは自分の罪は背負うが息子だけは助けてくれと。その息子は・・。

ダンテスは過去に決着をつけ、凍った心を溶かし、再び人として生きて行こうと決心する。「人生は果てしない自分探しの航海だ」とし、娘のように思う不幸な女性と再び旅立って行く。終わりの一節・・「待て、而して希望せよ」

・・私の最愛の書。

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2007年10月 2日 (火)

今夜は本の話 その11

緋文字(スカーレット・レター)ナサニエル・ホーソーン著

Photo ヘスタは地味な粗衣をまとい、人の群れを離れ海辺の茅屋に住み、苦行七年の贖罪の日々を送る。「暗い色の紋地に赤い文字A」・・ラストの言葉であるが、解釈はさまざまの様。17世紀新天地を求めアメリカ大陸に渡った人々。その初期ニューイングランド、戒律の厳しいピューリタニズム。暗い真紅の文字は罪の色、地獄の火の色、娘パールはその化身。緋色A・・adultery

原作は、ヘスタが胸にその文字を記して曝し台に立つところから始まる。七年後、牧師は罪の告白にふさわしいところで懺悔したと信じ死に、元夫は懺悔も告白も無く救いの無い地獄へ。牧師と元夫の死後、ヘスタは娘とその地を離れるが、娘の自立とともに再び彼の地へ戻り懺悔の日々を送りながら少しずつ人格を磨いていく。報われなかった想い、時が過ぎ、死後も遺骨を交えることなく・・原作のホーソーンは、判事だった祖父が魔女裁判のように巫女の血を流した・・という罪意識が元となり、一度犯した罪は魂の穢れとして永久に消えない、と信じていたそうだ。

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2007年9月20日 (木)

今夜は本の話 その10

Photo 昨日の記憶・・高橋克彦著

前世の記憶の内のラストの話です。30年ぶりにあの子からの電話。たまたまその前に、懐かしい音楽を聞いていて。友人がいよいよ危ないと。父の転勤で昔いたあの故郷へ。あの子はその友人と結婚し、昔は彼女が自分に気があると・・たいてい友人も一緒で・・彼は30年も目覚めず、あの子が昔からその友人を好きだったと今気がつき、友人が曖昧で、あの子は自分と付き合うふり、彼女は事故の責任が自分にあると(別れの手紙)、実は自分に責任が(彼女とのテープだと聴かせ)。友人は老けていず、彼に詰め寄る、何故自分を信じた・・嘘ばっかりだったのに。二人にとって自分は死神のような、友人はとっくに死んだものと思い、その後のうのうと暮らしてきた。あの頃が目の前に・・映画館の席に二人がいて、仲良く。二人に近づこうと自分が扉のところに・・今、邪魔をして二人に近づかせず・・せめてもの二人への詫び。気が付くと林の中に、二人ともいず、足元に病院の間取りのような礎石が。たぶん二人はとっくに死んで・・または二人との出会いを遮ったことで、二人は別の人生を。自分だけが別の世界に放り出され・・それでもかまわない。

・・人が、思い出したくないものを記憶の奥底にしまったまま、意識の上では無かったことのように生きられるものだとしたら・・というより、それが出来ないと・・キツイ、かも。

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2007年9月13日 (木)

今夜は本の話 その9

凍った記憶・・高橋克彦著

何年かぶりに故郷へ。昔(小学校の頃)父の転勤でその地に数年いた。時代に取り残された町がそのまま辿れるようだ。思い出の映画館、初恋の相手。四年で転校のはずが・・三年で? 小学校が火事になり・・ 好きだった女の子の家が・・その子の母親に嫌われて? 小学校の教室、板塀の節穴。その女の子の父親はひき逃げされて死に・・ そのすぐ後の集合写真に自分が写っている。記憶が一挙に解けてあふれ・・ 父が女とあの子の父親をひき逃げし、小学校を火事に(消防車などの轍で、事故の痕跡が消える)・・ 自分はそのストレスで(いつ発覚?)二ヶ月入院し、新校舎が出来てからの転校と間違え・・ その後も父の女遊びは止まず・・ 穴からメモが・・ユリちゃん、ごめんね(父の罪を背負おう)いつかきっと幸せにするね・・。 ・・彼女を探して謝ろう。

・・無意識のどこかに、こんな凍った記憶があって、不意に蘇えったとしたら・・

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2007年9月 6日 (木)

今夜は本の話 その8

知らない記憶・・高橋克彦著

昔お気に入りだった番組のシリーズコレクションが出て購入。狂喜して見たが、一つも思い出せない(記憶とは何なのか・・それを支えに生きて・・核の部分さえ印象が薄くなるなど酷いし悲しすぎる)。気分転換に、久しぶりに故郷へ。一番仲の良かった友人の消息を聞くが、ひどい話ばかり。高校時代、一緒に下宿していて(そんな奴ではなかったはず)。その友人には恋人がいて。

数年前、私の父に生前世話になったと匿名で金を返してきた。彼の家(店)へ。父を強請っていたのか(最低の男)。最低の男にしたのはお前の父(その差し金で、退学・・子供を堕ろさされ・・不妊に)だと。父の不倫相手が政敵の妾で、その政敵は殺され、それを知った友人が邪魔で・・。それ以来状況がどんどん悪くなり、魔が差して保釈金をと手紙を出した(復讐)。今回返した金は、その後店を出すために貯めたもの。会いたかった、お前があの当時そばにいてくれたら、きっと頑張れた・・.と。やはり一番大切な友だった。これからはそばにいる。

・・知らなかったとはいえ、長年のこんな複雑な行き違いはホント悲しい・・

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2007年8月23日 (木)

今夜は本の話 その7

匂いの記憶・・高橋克彦著

友人から知り合いの小父さんが亡くなったと聞き、火葬に立ち会う事に。子供の時その小父さんに絵を習って・・。父の蒸発小父さんの引越し母の再婚夢の中で、ある匂いが・・幸せな匂い、鮮やかな原色の光景(空、山、草花)、父と母と・・父の匂い?子供の時の絵が出てきて・・父の後自分も行方不明になり、三日後に小父さんの土蔵から、昔母は小父さんの家のお手伝いを、絵を見た次の日父が失踪、その絵は夢の中の懐かしい光景で(夢の中の父は小父さん)。

現実の中であの匂いが・・吐き気が・・思い出す。父が小父さんの土蔵に隠れて、母が父の傍についていろと、土蔵に鍵をされ、父から甘酸っぱい匂いが、父が天井を開け上へと、自分も一緒に・・母に引き戻され(母の僅かな親心)。事件の発覚を恐れ小父さんは引越し、母は再婚。その後、小父さんはボケ症状で隠していた事をポロポロと・・あの匂いは、亡き父の時の経過によるそれで・・恐ろしくも大切な匂・・

・・自分が鼻だけ効くせいか、匂いによる記憶の揺り戻しが一番強烈な気がする。どちらにしても現在は情報が豊富で迅速なだけのこと、今も昔もいろいろで・・

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2007年8月14日 (火)

今夜は本の話 その6

熱い記憶・・高橋克彦著

夢の中で妻が喫茶店で働き、自分は文学を。自分は惰性で生きている(死んでいるも同じ)。5年毎のクラス会。夢に出てきた友人とは、その北の地で会っていた。不思議なので調べてみることに。昔の雑誌が・・応募していた・・(記憶が・・)北の地である女と暮・・夢の友人と自分が一緒に海で行方不明に・・誤解からの嫉妬でその友人を・・自分は戻るつもりが溺れ、記憶を失い生き延び・・女と暮らした場所へ。彼女は別の世界に・・自分にも熱い時代・・悔いはない、彼女が待っている・・

・・記憶を全て失う、なんて傍から見ると如何にもドラマチックですが・・

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2007年8月 9日 (木)

今夜は本の話 その5

傷の記憶・・高橋克彦著

40年ぶりに法事で友人達と故郷へ(5歳以来)。前夜温泉で語り合い、それぞれの古い傷の話。自分の肩甲骨の大きな傷。今は亡き父から、釘でかぎ裂きになったと聞いていた。医者の友人は、槍のような物で刺した傷だと。その夜、され・・火事のサイレンの音、山の上の方が赤く・・肩の傷が痛み吐き気が。実の母の妹がまだこの地に居ると聞き、叔母から父が大の釣り好きだったと(聞いたこともなかった)。母の墓参りへ、夕焼けが・・吐き気が襲う。向こうの見覚えのある病院、夕焼けで火事のよう。母は聞かされていた結核でなく、火事で死に(自分の怪我で母が付き添って)・・昔のアルバム、釣りをしている父の写真、右手に黒い鉤を持ち(魚を刺して引き上げる物)・・。この鉤を振り上げる父の姿が、母の頭を狙って、それが母が抱いていた自分の肩に。自分まで殺そうと・・自分は助けられたが母は殺され、火事を起こし・・。 たかが不倫(妻の)、好きにさせよう、恥をかくのは少しの間。殺せば父と同じ顔に、母が私の殺意を思い留まらせたのか、肩の痛みは消・・

・・古い傷は、時折何かの拍子に痛むような気がします。

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2007年7月29日 (日)

今夜は本の話 その4

針の記憶・・高橋克彦著

久しぶりに友人と会い、耳で聞いた昔の音の話をしたことで思い出の一部が・・レコードの。どの歌だったかが分かり、聞く。4歳頃・・田舎の大きな家での様子(事情があり預けられ)、音のするほうへ誘われ・・ある部屋でお姉さんとお兄さんがその歌でダンスを(かくれんぼをしているとか)・・何日か遊んでもらって(寂しさを救ってくれた)。

家に戻り・・やがて忘れた。あのお姉さんたちは誰だったのか・・。叔母さんとその恋人・・あの頃は既に・・。あの本家を訪れ、その部屋(昔から開かずの間)・・無残に荒れ・・涙が・・蓄音機だけが古びてもいず埃もせずに・・触るとレコード盤が回り・・あの曲が・・(今も聞いているんだね)。

・・昔の縁のある家を思い出す。

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2007年7月26日 (木)

今夜は本の話 その3

前世の記憶・・高橋克彦著

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母の入院で、その会社で副社長をするようになってから頭痛が・・友人に薬を処方され、ストレスなら専門家へ、と。医師から父親のことがストレスでは、と催眠術を。過去にさかのぼり、小学校の遠足(友人たちの顔は知っているが、自分の記憶ではない)、不安。地名など皆存在し(前世の?)。前後を考えると前世で三年で死に、その悔しさが前世の記憶を留めさせ(無念さ)、次に生まれ変わった時にそれが蘇える(三歳までに訴える)。オキシトシンという陣痛を起こすホルモンが安産だと少ないので前世が残る。

その町に行ってみる。前世の恩師に会い、三年の時母と祖母と一緒に殺されたと。古いアルバム、父親の顔、頭痛が・・豆っこが・・(豆っこの子供として生まれ変わり)、自分を殺そうとする父を母がすりこぎで・・。電話が鳴っている・・母が死んだのか・・もう謝れない・・

・・三歳以降は現生活に馴染んでいくそうな。

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2007年7月15日 (日)

今夜は本の話 その2

乱調文学大辞典・・筒井康隆著Photo

随分昔に読んだのですが、久しぶりにパラパラと拾い読みしてみると・・。やっぱり、ふふふ、へへへ、クククッ、と ひとり笑いしてしまうのです。たとえば、「アイロニー」・・昔ジョージ・アイロンという詩人がいて、無知なためさまざまな間違った言辞を弄し、これまた無知な読者が間違いと思わず優れた反語・皮肉だと絶賛。ここからこの言葉が生まれ、現在でもそういう文が書かれている場合その作家の無知による間違いであることが多い。など・・たくさんあるのですが(それに吉行淳之介さん解説が・・ククッ)、ちょっと疲れていたり落ち込んでいたりしていてもこういう文を目にすると、フフッ・と気分が軽くなって肩の力が抜けるんですねぇ。とても有り難いです。筒井さんの本はけっこう読ませていただいていますが、また随時他の本の感想も書きたいと思います。

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2007年7月 5日 (木)

今夜は本の話 その1

「真実の行方」 原題・・Primal fear(根源的な恐怖) 原作・・ウィリアム・ディテール

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まず大司教殺害という事件が起き、その従者だった少年(?)が現行犯逮捕される。その少年が事件の記憶を失った純真な被疑者となり、そこへ偽善的で売名家の弁護士が現れ少年の弁護を無償で引き受ける。法廷劇でもあるらしいが、司教の宅地開発絡みや悪魔祓いと称する罪があってもなお、揃った証拠や現行犯であることなどからどう見ても不利であったが、裁判が始まると弁護側で精神医を指定し二重人格であるということで無罪を主張する。そして・・というのがあらすじです。

1996年に映画にもなっていて・・弁護士がリチャード・ギア、少年がエドワード・ノートンでしたが先に原作を読んでいたせいで映画のほうはちょっとがっかりでした。よく有りがちな話ですが・・原作を先に読むということは、既に登場人物達のイメージが出来上がっているんですよね。そのつもりで映画を見ればいろいろ不満が出てもいたしかたありません。それに見る人によって感想もそれぞれでしょうし。ただ、そして少年は・・弁護士と精神医のヒロイズムは・・映像はともかく話としてのラストは・・鳥肌ものです。ここで原題の意味を悟る仕組みになっているんですねぇ。一気に読んでしまう、かなり唸れるストーリーです。

Photo_1 この花、ノウゼンカズラ・・でしたっけ? 記事とは関係ありませんけどきれいだったので。

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